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採択活動一覧

『ベップ・アート・マンス 2020』および『梅田哲也 イン 別府』

活動情報

活動ファンド SOMPOアート・ファンド
申請時期 第5回
活動地域 大分県
活動ジャンル 美術、生活芸術、舞踊、芸能、文学、音楽、映画、演劇、その他
活動者名 混浴温泉世界実行委員会
活動名 『ベップ・アート・マンス 2020』および『梅田哲也 イン 別府』
活動名(ふりがな) べっぷあーとまんすおよびうめだてつやいんべっぷ
実施時期 2020年 4月 13日 ~ 2021年 3月 31日
会場 実施場所:別府市内各所
所在地 :丸井戸(浜脇1-14-6付近)、中浜筋(千代町8番付近)、別府スパビーチ(北的ヶ浜町)、いちのいで会館(上原14-2)、鶴見園公園(大字南立石字中津留道北)、別府国際観光港みなとオアシス別府港フェリーさんふらわあ乗り場2階(汐見町9-1 みなとオアシス別府

活動完了報告

Photo by Yuko AMANO

1. 活動概況
新型コロナウイルス感染症の感染対策を講じたうえで、オンラインも活用しながら2つの芸術祭『ベップ・アート・マンス2020』と『梅田哲也 イン 別府』を開催した。
『ベップ・アート・マンス』は、文化や地域活動に対する市民の主体的な参画を促進し、別府市における芸術文化の振興、活力あふれる地域の実現を目的として、企画立案から実現に向けてサポートし、クリエイティビティの高い人材を育成・支援することを目指す市民文化祭である。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響も鑑み、新たな取組として、オンライン上でも企画実施を可能とした。その結果、79団体・個人による99プログラムが開催され、その内34プログラムはオンラインで実施された。その目玉事業として位置づける個展形式の芸術祭『in BEPPU』は、国際的に活躍する1組のアーティストによる、地域性を活かしたアートプロジェクトとして2016年度より始動した。今年度は、音楽・美術・舞台芸術など分野を横断しながら国内外で活躍する梅田哲也を招聘した。梅田は、別府市内全域に点在する会場を地図と音声を頼りに巡りながら体験する回遊型の作品と、それらの会場を舞台にした映画作品、またオンライン上で体験できる作品の主に3つで構成される『O滞』を発表した。

2. 現状の課題
集客面について、『梅田哲也 イン 別府』の来場者アンケートの集計結果によると大分県外から参加した割合が39%となり、昨年に比べ県外客が19%増えた(※昨年度開催した『関口光太郎 in BEPPU』では県外来場者:20%)。コロナ渦に開催した芸術祭であったが、当初設定していた来場者目標4,000名に対し、6,024名が来場し、目標を達成できた。しかし、会期中に緊急事態宣言が発令された1月から2月は来場者数が激減した。移動の自粛要請により県外からの誘客が出来なかったこと、さらに移動が制限されていない市民・県民までも誘客ができなかったことが課題である。また、会場の受付や作品監視として例年ボランティアを募集していたが、今年度はコロナウイルス感染症の影響を鑑みボランティア募集はせず、アルバイトスタッフのみで対応した。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ボランティアとの関係性を再構築することが課題である。

3. 今後の改善点
実行委員会事業が目指すべき活動指針として2020年8月15日に地元新聞紙に「想像力の源泉を枯れさせない」という広告を掲載した。これは私たちの活動の想いを別府市民・大分県民に広く伝えていく試みであり、今後もこの活動指針を堅持しつつ両事業に取り組んでいきたい。そのためには、両事業とも主に別府市民・大分県民への広報に関する課題を改めて見直し、地域住民への広報を強化しなければならない。また、ボランティアに関して、コロナ禍の状況も鑑みながら、多様な参加方法を提示しながら活動への参加を呼びかけたい。

4. 自己評価
新型コロナウイルス感染症の影響により全国各地で芸術祭が中止となる中、この状況下でも開催できる芸術祭のあり方をアーティストや企画者とともに模索しながら実施した。
『ベップ・アート・マンス2020』では、リアルでの開催と同時に新しい取組としてオンラインを活用したことにより県外・国外からもZoomやYouTubeを活用した企画が生まれたほか、企画者の交流の場「ベップ・アート・マンスをつくろう会」もオンラインを活用して11回実施し、県内外の企画者の交流が実現した。また、来場者へのアンケートのうち「次回はプログラムの企画者として参加したいと思うか」の問いに対し、「はい」の回答が38%であった。観客として参加したことで「自分も表現者として何かやってみたい」という意欲が生まれることは、本事業が目的としている「別府市における文化芸術の振興」や「さまざまな芸術表現の発表機会の提供」を実現するための礎となる。この事業を通じて、これからも地域とより密接に連携しながら、別府市における芸術文化の振興と活力あふれるまちづくりに取り組むと同時に、これまで以上に地域内外の人々の交流促進につながるように、工夫したい。
『梅田哲也 イン 別府』は、会期を長く設定し、会場を限定しない新しい形の作品を発表。会場のほとんどに展示物はなく、目の前に広がる日常の風景にアーティストが制作した音を聞くことで想像力を強く刺激するような作品であり、アーティスト目線の新しい街歩きを提案するような作品でもあった。鑑賞者からは、高い満足度(来場者の93%が「よかった」「どちらかと言えばよかった」と回答)を得ることができた。また、Webサイト上でも鑑賞できる作品の配信もおこない、最終日には、映画上映やトーク、ライブ演奏などのオンラインイベントも実施した。その結果、オンラインでの参加者数は合計で43,648名になり、多くの人々にこの展覧会を鑑賞いただけた。さらに、今回の作品は別府の歴史的・地質的特徴を深く取り上げた作品であったため、地元のまちづくり関係者や歴史研究家へのインタビュー、資料提供などの協力を得て制作した。映画作品の撮影にあたっては、撮影場所の所有者の協力や市内高校吹奏楽部をはじめ多くの市民がエキストラとして出演した。このように、多くの市民が制作に関われる機会を創出できたことは成果の1つであり、今後もこのような機会を提供し続けることによって、別府ならではの創造的で活力ある地域づくりを目指したい。
また広報活動において、今年度はコロナ禍により、イベントなどの対面の広報ではなく、主にデジタルを活用した非対面の広報へ変更を余儀なくされたが、その結果、広告換算額は昨年度の約2倍(179,326,917円)となった。また、今回初めて導入したデジタル広告により、Webサイトへの誘導や映画作品の予告動画の閲覧を促し、会期終盤に向けての来場者増加の一助になった。今後もWebやSNSなどを活用した広報を継続しながら、コロナ禍に移動制限が発令された場合を見越して県内の広報先を今まで以上に開拓していく必要があると考える。

5. SOMPOアート・ファンドの助成を受けたことによるメリット
コロナウイルス感染症の影響により、県内のホテル・旅館、飲食店等からの協賛金の獲得が極めて厳しい状況にあったため、貴社の資本的なサポートは非常に有り難く、主にオンライン発信を強化するための費用として活用した。また、貴社に助成をいただいたことで、より一層の社会的信頼を得ることができた。また、来場者へかける保険について、貴社商品を取り扱う別府の保険事務所に親身に相談に乗っていただき、安心かつスムーズに付保する保険を選択することができた。

6. 活動実施における協力機関や他の協働団体の関与について団体名およびその内容
・実行委員会参画団体(大分県・別府市・県内教育機関・県内民間企業など全24団体):協賛依頼先の開拓、イベント広報、事務局業務全般への協力
・別府市自治会理事会:告知、自治会単位の回覧板での周知
・大分経済同友会:定例会での広報
・これまでの『ベップ・アート・マンス』において加盟店として交流のある店舗(飲食店など):ポスター・チラシの掲示
・別府市役所・別府ブルーバード会館ほか:『梅田哲也 イン 別府』予告動画を上映               ほか多数

7. 媒体への露出(記事タイトル/媒体名/掲載年月日)
・「梅田哲也 イン 別府『O滞』」始まる / 朝日新聞 / 2020.12.22
・刺激ある体験型アート / 文藝春秋 / 2月号
・OUR CULTURE, OUR VIEW / Love FM / 2021.02.07
・いろどりOITA / NHKおおいた / 2021,01.19
・音声を手がかりに町を回遊するアートプロジェクト「梅田哲也イン別府」が示唆するものとは? / 美術手帖 / 2020.12.16
など、新聞50件、テレビ36件、ラジオ3件、雑誌12件、Web記事41件掲載

8. 新型コロナウイルスによる影響と対応、今後の課題
【影響】
・ガイドラインの策定や感染症拡大防止対策のための準備に時間、人手、コストがかかった。
・地元企業や店舗(ホテル・旅館、飲食店など)からの協賛金の獲得が極めて難しくなった。
・緊急事態宣言の発令に伴い、来場者が激減した。県外からの視察もほとんどが中止となった。また、『ベップ・アート・マンス2020』については、移動自粛要請により出演者等が来県できなったことなどから、8つのプログラムが中止となった。
【対応と今後の課題】
国や自治体の方針および業界団体のガイドラインに沿って、本事業のガイドラインも整えることが出来た。また、オンラインでの配信を積極的に進めたことで、これまでとは違う新たな表現・発信方法にチャレンジすることができ、多様な経験・知見を蓄積することができた。今後も鑑賞者や企画者、アーティストやスタッフの健康と安全を第一に考慮し、状況に合わせて柔軟に対応していく必要がある。また、今回オンラインで遠方から企画者や鑑賞者として参加してもらった人々に、コロナ後に別府に実際に訪れてもらうための、継続的な情報発信の取組が重要である。

Photo by Yuko AMANO
Photo by Yuko AMANO
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