グラントプログラム事業では、2024年度に個人6件、団体2件を採択し、助成総額は230,820米ドルとなった。個人6件については、すべてニューヨークフェローシップでの採択となった。
ニューヨークフェローシップは、ACC本部のあるニューヨークを拠点に、現地でプログラム実施のための支援を受けながら、6か月間にわたり活動を行うものである。また、アジア各地から集まる多様な分野の芸術家、研究者、芸術分野の専門家とともに過ごし、新たな文化や価値観に触れながら交流を深めることができる点に大きな特徴がある。助成規模も比較的大きく、ACCの助成プログラムの中でも重要な位置を占めている。
2024年度にニューヨークフェローシップで6名を採択できたことは、各グランティの今後の活動のみならず、それぞれの分野における将来的な交流や発展にもつながり得る、意義ある成果であったと考える。また、ビジュアルアート、パフォーミングアーツに加え、昨年度に引き続き音楽分野、さらに久しぶりに文学分野からもグランティを採択することができた。多様な芸術分野を横断して支援するACCの特徴を活かし、幅広い分野に国際交流の機会を提供する活動を継続することができた。
グランティの助成対象活動終了後には「フェローシップ報告会」を開催し、事務局スタッフのほか、財団役員、選考に携わった審査員、今後渡航を予定しているグランティなどが参加した。報告者から、画像などを交えながら、渡航中の活動内容や現地での体験、そこから得た気づきや考察について報告を受け、参加者との質疑応答や意見交換を行った。これにより、フェローシップの成果を関係者間で共有するとともに、今後渡航するグランティにとっても、現地での活動や滞在を具体的にイメージする機会となった。
また、ACCの海外プログラムで選出され、2024年度に来日したグランティは6組であった。来日したグランティとは全員と面談を行い、日本での活動に必要な助言や、ACCアルムナイをはじめとするアーティストや専門家の紹介、懇親の機会の提供など、それぞれの活動内容や目的に応じた支援を行った。
グラント授賞式を兼ねたガラディナーにも招待し、ステージ上で来日グランティを紹介した。ACCの支援によって実際に日本を訪れ、フェローシップ活動を行っている海外のグランティを支援者に直接紹介することで、ACCが行う国際的な人的交流について理解を深めていただく良い機会となった。
アルムナイエンゲージメントについては、プログラムオフィサーを中心に、展覧会や公演など、アルムナイの活動発表の場への訪問を積極的に行った。こうした取り組みを通じてアルムナイとの継続的な交流を図ることは、アルムナイとACCとの関係をより一層深めるとともに、アルムナイ同士のネットワークの形成や発展にもつながることが期待される。
イベント事業においては、スケジュール上の制約もあり、計画より開催数が減少し、日帰りアートツアー3回、トークイベントと交流会を組み合わせたイベント2回(「アルムナイ・ギャザリング」を含む)の開催にとどまった。年間を通じた具体的な計画が十分でなく、個々のイベントの企画・実施がその都度の対応となったことも一因と考えられるため、今後は年間計画をより具体的に策定し、計画的に実施していく必要がある。一方、グランティの同窓会である「アルムナイ・ギャザリング」では、懇親会に先立ち、長谷川祐子さん(ACC 1991-2012)に「日本のアートをグローバル化するために美術館、アーテイスト、大学に必要なこと」をテーマに、刺激的で示唆に富むレクチャーを行なっていただいた。懇親会では57名のACCアルムナイをはじめ、2024年度に選出された新たなグランティ、ACCの活動を支えてくださるファウンディングメンバーや財団役員が一堂に会し、世代や領域を超えて会話や交流をお楽しみいただき、今年度も有意義な交流の場となった。
広報活動については、6年ぶりにACCを紹介するリーフレットを刷新したほか、電子メールによるメールニュースの配信、およびSNS(Facebook、X〔旧Twitter〕、Instagram)への投稿を行った。メールニュースは毎月配信し、グランティのフェローシップ開始、財団のイベント、アルムナイの活動などを紹介した。これらの情報はホームページ上でも随時公開し、メールニュースのバックナンバーも閲覧可能とした。また、SNSについても継続的な情報発信を行ったほか、Instagramではグラントプログラムに関する投稿に初めて有料広告を活用した。その結果、年初には約470人であったフォロワー数が1,150人に達するなど、ACCの活動をより幅広い層に発信することができた。
今後は、グラントプログラムを中心に、アルムナイとの継続的な関係構築、イベントの計画的な実施、広報活動の充実を相互に連携させながら、ACCの活動への理解と参加を広げ、国際的な芸術・文化交流を支える基盤をさらに強化していきたい。
今年度は、これまでの活動(スペシャル応援イベント・ワークショップ)に加え、鵠沼音楽アカデミー introduces ヤングアーティストや、Open Day! など開催し、多くの方にご来場いただくことができました。そしてメインである「第4回鵠沼音楽アカデミー」を最長の7日間にわたり開催し、リハーサルや公開特別講座、ミニレクチャーなど盛りだくさんの内容で、受講生やご来場いただいた方にとって有意義な時間となったようです。これも、ご寄付いただいた方々によるご支援のおかげです。深く感謝しています。
受講生の感想
・(全体を通して)特別な場所でじっくり音楽を探求する時間をもてたこと、かけがえのない経験になりました。
・(リハーサルについて)音程やハーモニー、音の行く先を追うことの緻密な模索の時間を通して徐々に耳が開いてくるような感覚がありました。
・(公開特別講座について)期待をはるかに超えるほどの学びを得させていただきました。書物から得られる知恵と、演奏家・実践者でなければ至り得ない経験との融合を感じられました。
本事業では定期演奏会として大阪市中央公会堂で1公演、東京文化会館で2公演を実施した。第320回公演は毎年人気のコンテンツということで東京文化会館小ホールがほぼ満席となった。第322回公演もシューベルトの未完成交響曲補筆完成版ということで多数の来場があった。第324回公演は東京文化会館の改修工事前最後の公演となった。また、大阪公演では公演内容に合わせた会場でのグラスワインの販売もあり、会場の雰囲気は以前よりも活気が出てきている。
当協会の取り組みはポピュラー音楽のように興行として成立させることが難しいため、このような形でご寄付を頂きながら活動が継続できることは大変ありがたいことであると感じている。
展示会には多くの来場者に足を運んでいただき、西陣美術織の認知向上だけでなく、売上にもつながった。
来場者からは、
「西陣織は和装のイメージしかなかったが、これが本当に西陣織?」
「まるで写真のようだ」
「素晴らしい技術に驚いた」
といった声を数多くいただいた。こうした反響は、西陣織の新たな魅力を知っていただく機会となっただけでなく、これまで培われてきた職人の高度な技術を広く披露する場にもなった。
さらに、来場者の反応を直接感じることで、職人にとっても新たな可能性を認識する機会となり、伝統技術を生かした新しいものづくりに挑戦するきっかけになった。
公益社団法人企業メセナ協議会に認定頂いたことで資金調達も円滑にすすみ、2年間無事展示会を開催することができたと思う。
活動をしてみて
【活動者をしてみて】
◯4回目となる本フェスティバルを通じて、地方都市において国際的な舞台芸術に触れる機会を継続する意義と、その機会を地域の人々とともにつくる可能性を改めて実感した。
◯今回は、主会場のほか、宮崎県立芸術劇場及び協力バレエスタジオでもワークショップを開催した。予定していた学校での実施は中止となったものの、複数の会場で開催したことにより、子どもから大人までの市民が、日常生活の延長で国際的な舞台芸術に触れる機会を設けることができた。
◯また、公開リハーサルには、隣接する子ども園と訪問看護ステーションが、それぞれ保育や看護の一環として参加した。公開ゲネプロには、宮崎市の「文化芸術活動人材育成講座」の受講生や、劇場と同じ地域にある児童養護施設の児童・職員を招待した。舞台芸術を、保育、看護、人材育成、児童福祉等の地域活動と結び付けることができた点は、本フェスティバルの成果の一つである。
◯観客層の拡充に向けてU-18料金を設定したところ、「せいねん」世代の来場が増え、未就学児やシニアと同じ空間で作品を鑑賞する姿が見られた。また、「やさしい日本語プログラム」に加え、作品の特徴に応じた見え方を紹介する「座席のオススメ」を配布した。料金面と情報面の両方から鑑賞の障壁を下げることで、年齢や鑑賞経験を問わず作品を楽しめる環境に近づけることができた。
◯運営面では、ボランティア募集に26名もの高校生・大学生が応募し、小中高校生が平日の放課後に集まって作業するなど、あらゆる場面で若者が主体的に動くことができた。企業や地域団体からも、物品提供、広報協力、人材協力など、それぞれの立場に応じた協力を得ることができ、多様な担い手がともに支え合うフェスティバルとなった。
◯本活動が公的な認定や助成を受けた事業であることによる社会的な信用は、若者が安心して参加し、国内外のアーティストが招聘に応じるうえで、一つの後押しになったと考えている。舞台スタッフや通訳を含む制作体制を整え、作品の質を維持して開催することができた。また、森美術館、EU・ジャパンフェスト日本委員会、沖縄環太平洋国際映画祭、韓国のDance Company “MUMU”など、国内外の文化芸術関係者の来県・視察にもつながった。
◯アーティストトークでは、参加していた国内外の専門家とアーティストが、国・地域や団体ごとの課題と実践事例を共有した。特に、次世代育成や地域文化政策のあり方について活発な意見交換が行われ、将来の協働プロジェクトを見据えて、国内外のネットワークで議論を継続していくこととなった。
◯一般向けの有料配信は実施せず、公演及び関連プログラムを記録し、ダイジェストムービーやサンクスムービーを制作した。記録映像は、国内外のアーティストや専門家、教育関係者との共有に加え、本フェスティバルの広報・記録資料として活用していく。これにより、本フェスティバルの取組を宮崎県内外へ広く発信するとともに、今後の国際交流や共同事業につながる基盤を形成する。
◯一方、今回、助成認定制度を通じて集まった寄付金は0円であった。活動の広報には一定の成果があり、企業や地域団体からも様々な協力を得られたが、それを本制度を利用した寄付には結び付けることができなかった。この点が、本制度を利用した活動者として最も大きな課題である。これまでの制度利用を通じても、「かるふぁん!」のウェブサイトに活動が掲載されるだけで、企業や個人から自然に寄付が集まるわけではないことを経験してきた。今回はフェスティバルの制作と運営に力を注ぐ一方、寄付先候補の選定、制度や税制上の利点の説明、寄付金の使途や寄付後の関わり方の提案など、寄付募集のための働きかけを十分に行うことができなかった。次年度は、活動の準備開始と同時に寄付募集の計画を立て、資金調達の担当者を明確にしたい。支援によって地域の子ども・若者へどのような機会を届けられるのか、寄付金を何に使用するのかを具体的に示し、企業と個人の双方に継続して働きかける必要がある。
◯第5回となる次年度は、若者がプロデューサーやディレクターのアシスタントとして企画段階から関わり、自ら表に立つ国際ダンスフェスティバルを実践研究する。今回得られた国内外とのつながりを発展させるとともに、活動の芸術的・社会的な価値を継続的な寄付や支援へ結び付ける仕組みづくりにも取り組んでいきたい。