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活動者の声

山形国際ドキュメンタリー映画祭2017 震災特集プログラム「ともにある Cinema with Us 2017」

活動期間2017年 7月 17日 ~ 2018年 3月 30日

活動をしてみて

映画祭での新作の震災記録映画の上映は今回6本となり、前回(2015年)前々回(2013年)に比べ数としては少ないが、被災家族の思い、動物との暮らし、コミュニティの再生、震災に対する芸術家の思いなど、多様なテーマをもつ完成度の高い作品を上映し、国内の関心の高い観客や、世界各国から来ていた映画配給・興行関係者に紹介することができた。その結果、これらのうちの数本が、2018年3〜4月にドイツやベルギーなどで上映された。質疑応答とディスカッションプログラムでもそれぞれ活発な意見交換がなされ、招聘した6名の監督は映画祭後、揃って「映画祭に参加し観客から作品の内容について多くのフィードバックを得られたことで、今後の製作の刺激になった」という感想を寄せてくれた。作る側、見る側双方に多くの収穫をもたらすプログラムとすることができた。
また今回のプログラムでは特に、これまで検討しながら様々な理由で果たせなかった二つのテーマについてのディスカッションプログラムを組むことができた。一つは震災に関するテレビドキュメンタリーの製作現場とその今後の展望についてのディスカッションである。映画よりも身近な日常にあるテレビ映像の影響力の大きさはこれまでも多方面で指摘され、当映画祭でも早々に取り上げるべきテーマとなっていた。日々現場で様々な制約と闘いながら視聴者に向けて映像を発信しているテレビ業界の作り手を招き、そのお話を聞くことで、テレビと映画の根本的な違いやそれぞれの限界、地方局の現場の実際を知り、また世にあふれる映像を視聴者としてどう見ていくべきか、といった諸問題について、具体的な問題として参加者と共有することができた。
 もう一つは、海外の映像アーカイブとの連携プログラムの実現である。国際映画祭のプログラムの一つとして開催し続けて来たこの「ともにある」だが、これまでは上映もディスカッションもほぼ国内の事象にのみ視点が留まっていた。今回は「映像アーカイブと教育」をキーワードに、大規模災厄の実態と人々の経験について、それを知らない若い世代に伝えるためにさまざまな工夫を行なっているカンボジアでの取り組みを紹介し、そこから学ぶプログラムとなった。特にスマートフォンアプリ導入の事例など、デジタル文化が普及した現代の社会状況に即した、より具体的な記録映像の保存・活用のための工夫や映画製作支援の方法を、会場の参加者とともに知ることができた。
またこのフィルムアーカイブ企画に関連して行なった2018年3月の特別上映会「震災と『地域映画』の未来」では、古い8ミリホームムービーを発掘し、その上映を通して住民同士で地域の記憶を守り、共有する三好大輔監督の「地域映画」の試みを紹介した。当日は21歳の被災地出身の学生から地元の70代まで、幅広い層の22名の観客が参加した。昔の映像や音声を見聞きし、その内容についての記憶を辿り、その詳細を若い世代とともに語り合うという、シンプルだが非常に濃密な経験が、地域の伝統文化・歴史を受け継いでいく上で重要な、世代間をつなぐ結節点の働きをすることを、三好監督のお話と作品を通して知ることができた。

福島県沿岸部「被災者コミュニティ形成」及び「被災者支援」ミニコンサート事業

活動期間2017年 7月 16日 ~ 2018年 3月 31日

活動をしてみて

■いわき「新春ほのぼのコンサート」ツアー
富岡町がいわき市内に構える常設の交流サロン3カ所(富岡町生活復興支援センターいわき平交流サロン・いわき四倉交流サロン・いわき泉玉露交流サロン)の他、富岡町社会福祉協議会いわき支所が開催するサロンに、ジャスミン・トリオによるコンサートをお届けした。出演はクラリネット菊池澄枝、フルート櫻井希、ピアノ鷲尾恵利子。いずれも仙台を拠点に東北各地で演奏・後進の指導に当たっているフリーランスの音楽家である。富岡町社協主催のサロンは、鹿島公民館を会場の行われた。平・四倉・泉玉露の交流サロンについては、2度目、3度目の訪問となり、平日にも関わらずいずれの会場もこれ以上椅子を並べられないほどの満席となった。震災から7年が過ぎ、訪れるボランティア団体も大分少なくなったなか、プロの音楽家によるコンサートが身近に聴けるというこの機会を、毎年心待ちにしてくださってる方が多いとスタッフの皆さんからも伺った。また、震災前の富岡町で毎日時報代わりに町内に流れてた町歌「富岡わが町」を一緒に歌った。サロンには、富岡町以外の双葉郡出身の方やいわき市内の方も参加されるが、この歌を一緒に歌う時間というのは、ひとりひとりの様々な思いや願いが感じられる時間だった。鹿島公民館での開催は初めてであり、みなし仮設にお住まいの方や、既にいわき市に移住された方がお越しいただいたようだった。広い会場の片隅での開催となり、参加者同士、またスタッフとも顔なじみと言った感じではなく緊張感のある始まりだったが、演奏が始まり音楽家のトークや楽器紹介が進むに連れ、それぞれくつろがれている様子が見て取れた。アマチュアによる演奏と、プロによる演奏では、観客の受け取る印象は全く異なる。美しい音色と旋律、調和のとれたアンサンブルが与えてくれる安心感と、個々がそれぞれに音楽から受け取るものと向き合う穏やかな時間は、不安のなくならない日常にあってはやはり特別なひとときである。またマイクなどを使わずに届く距離での演奏や、演奏者自身によるトークは笑いの連続でもあり、音楽家と聴衆が直接に心を通わせられる貴重な機会である。このツアーの会場調整の、まとめ役を買って出てくださったいわき平交流サロンリーダーのSさんは、コンサートの終わりに「今日は、心の栄養をいただきました。また明日からも、今日の余韻を胸に元気に過ごしましょう」と挨拶してくださり、今も避難が続く方々に、また故郷を離れざるを得なかった方々に、今、7年経ったからこそ、必要なものは何かを教えていただいた。

■いわき内郷・宮沢団地「春だっぺコンサート」、いわき内郷・砂子田団地「春らんらん♪行ってみっペコンサート」
宮沢団地はNPO法人みんぷく、砂子田団地はいわき市社会福祉協議会からの依頼で訪問した。出演は、仙台を拠点に全国で演奏活動を行うクラシックギター奏者、佐藤正隆と小関佳宏による二重奏。いずれの会場も初めての訪問であった。宮沢団地は浪江町の方、砂子田団地はいわき市内で被災された方が多いとのことで、それぞれの地域の方言で「行ってみようか」と思わせる親しみのあるコンサートタイトルを主催者に付けていただいた。宮沢団地では20名の参加があり集会所は満席となった。この二重奏ではいつもの光景だが、最前列は若いころギター少年であった男性達が陣取り、食入るように演奏家のテクニックに見入っていた。みんぷくスタッフと住民の皆さんとが既に顔なじみであり、その安心感のあるあたたかい雰囲気が既に出来ていた。ギター二人だけでの、マイクも使わない澄んだ音色での演奏、また、高いテクニックによる白熱した演奏に、若い方もお年を召した方も、すぐに集中した様子で聴き入ってくださった。終演後のお茶会では、やはり男性陣の楽器や演奏に関する質問が集中し、若いころを思い出したような皆さんの熱中ぶりに演奏家もみんぷくスタッフも驚いていた。砂子田団地は、世帯数が非常に多いためにこうした催しはほとんど行われていない状況だったが、チラシの配布や住民の方で視覚障害のある方を支援されてる方が、地域の視覚障がい者にも聴かせていただきたいと申し出があり、自治会長が是非にと返事をされたこともあり、盲導犬が3頭の他、白杖をついた方とボランティアの方が10名近く参加してくださった。年齢層も思いの外広く、開演後も椅子を足しながら対応し結果的には40名余りの方が参加された。自治会長も「どのくらい人が来てくれるか、予想が付かない」とのお話しだったが、多くの方が参加くださり、お互いの顔も見えて非常に良い機会だったと喜んでいただけた。社会福祉協議会のスタッフからも、「いわき市内には、まだこれから災害公営住宅に引っ越される方もおり、引っ越し先でもお互い顔の分からない状況のまま暮らしているところは多い。こうして、様々な世代が一同に楽しい時間を持てることは貴重な機会なので、またお願いしたい」と帰り際にお声掛けいただいた。岩手・宮城とは状況の全く異なる福島・いわき市内では、7年が経っても落ち着いた状況にある方ばかりではないことが今回分かり、日常から一時離れて、ご近所の方、同じ境遇の方達とほっとした時間を共有できる「復興コンサート」には、まだまだ役目があると感じた。また演奏家のお二人からも、こうして被災地の現在を知る機会、そして直接にその場で様々な反応を返してくださる皆さんとの時間は、毎回とても学びがあり心に残るものでもあり、引き続き協力させてほしいとの申し出を受けた。

障害のある人を含む多世代・多文化な東北の市民と共に作る舞台創作活動

活動期間2017年 7月 16日 ~ 2017年 9月 30日

活動をしてみて

・税制優遇制度を利用した寄付金の募集など、貴団体の交付を受けているメリットを十分に活かすことができなかった。計画した活動を予算内で実施していくことに集中してしまった。
・多様な人の交流という点については一定の成果と手ごたえを感じた。最初は緊張していた方々も稽古が進むにつれ、周囲の人と打ち解けていき、1つの目標に向かって対等な目線で全員が議論したり、お互いを支えあったりするプロセスがとても良かった。また精神障害を持つ方で、マルシェ出展者と繋がり、就労に結びつくという以外な成果もあった。
・観客の反応については非常によかった。今回の作品は「孤独」をテーマに多様な人が自分を表現するという内容だったが、視察にきた仙台市市民文化事業団職員からも「作品のエネルギー、出演者の迫力に圧倒された」という声が聞かれた。プロ、アマ問わず、1人1人が一生懸命踊りステージに立つ姿に心を打たれたという感想も聞かれた。

東京・春・音楽祭―東京のオペラの森2018―

活動期間2017年 7月 1日 ~ 2018年 6月 30日

活動をしてみて

「東京・春・音楽祭ー東京のオペラの森2018ー」は、東京文化会館にて行われる演奏会形式のオペラ上演を主軸に、室内楽、リサイタル、歌曲、タンゴ、子供向けワークショップも含めた様々なジャンルの公演を約1ヶ月間に亘って開催。今春は、11年に震災のためキャンセルになった《ローエングリン》待望の上演を軸として、恒例の「東京春祭チェンバー・オーケストラ」公演、毎年人気の高いミュージアム・コンサート、一般のお客様が指揮者に挑戦できる“Conduct Us in 上野公園”、上野内外での「桜の街の音楽会」(無料)等を開催。さらに、没後150年になる作曲家ロッシーニの楽曲を数多く取り上げ、同じく150年を迎えた明治維新に関する屋外での写真展示も行った。上野の地を活かし、クラシック音楽を中心に、多ジャンルとのコラボレーションも広がりを見せ、来春の15周年につながる結果を残した。なお、一部の公演の模様は、7月中旬より3か月間限定でネット配信が予定されている。

ダンス幼稚園〜東北巡礼〜

活動期間2017年 7月 16日 ~ 2018年 3月 2日

活動をしてみて

 南相馬市北町保育所では、3年目の実施だった。今までは、1組のダンサーしか呼ぶことができなかっただが、今回2組の参加ができたことでダンスの多様性を身体いっぱい感じていたようだった。子供達だけではなく、職員や一般の方も含め大いに盛り上がった。TAPダンスをTAP板の上に寝転がって身体全体の振動で鑑賞するなど、普段の芸術鑑賞ではあり得ない新しい可能性をアーティストも含めて感じていたようだ。
 大船渡市吉浜こども園では、初めての実施だった。最初は普段の鑑賞の時のように静かに座っていたが、別の部屋でもダンスがあると知った時にやっと動き出し始め、自由に移動しながら鑑賞していた。そういった状況がおそらく初めてだったので、どのように楽しめば良いのかを知って行動するまでに時間がかかったようだった。職員にとってもどのようになるのか実際に体験しなければわからないことが多かったと思う。
 八戸市うぐいす保育園でも、初めての実施だった。冬の開催だったため、しばらく外で遊ぶことができなかった子供達が存分に発散する機会となった。興味深かったのは、最初の挨拶では何でもなかった中西レモン氏が、実際の本番になり動きを見ていると泣き出す子が何人かいた。挨拶の時は人間だったのが、得体の知れない怪物か何かに変わって見えたのだろう。子供達の目には、大人が見ている以上にダンスを踊る人間を想像力豊かに見ているのかもしれない。
 全体を通して、今回初めて園の関係者以外の地域の方々を参加することをご了承いただけたことは大きかった。ただ、平日の午前中ということもあり、実際に参加できる数は多くはなかったのだが、例えば大船渡市の場合、近隣の釜石市や陸前高田市からも一般参加者がいて、今後の可能性が見えた。

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