洋館玄関前の高舞台は、従来の芝生庭園とは別の趣があり、コンドル設計の近代名建築を背景にした特別の空間であった。温暖化の影響で、これまで5月中旬に開催していた春の舞楽会は、4月最終末に移動となり、快適な気候で上演できた。他方、秋の舞楽会は、11月上旬の天候が不安定となった。
屋外イベントの対策に費用はかかるものの、写真や映像で振り返る舞台は、音響や色彩を含めて、屋内ホールでは演出できない希少さがある。宗教行事の舞台と異なり、雅楽の芸術性を追求して、子供たちが参加して、次の世代に受け継ぐ機会である。
また、2日間全日の舞台は、通常の演奏会では時間の都合で上演が難しい大曲や歌物を一具(全編)という形で上演できる。本年も、春は新鳥蘇、秋は太平楽など、実績を積むことができた。
日本を代表するピアニスト横山幸雄を迎えて、楽聖ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番&第5番「皇帝」のプログラミングで特別演奏会を開催しました。昨年に続くプロジェクトとして、ベートーヴェン・ツィクルスの第2弾という位置づけの本公演。指揮者を置かず、横山幸雄自身の弾き振りでの演奏で、より室内楽的なアプローチが可能となり、緊密なアンサンブルが印象深いコンサートとなりました。
アンコールでは、パシフィックフィルハーモニア東京でコンサートマスターを務め今回ゲストとして登場した塩貝みつると、同じくチェロ首席奏者を務め今回ゲスト出演した松本ゆり子、そして横山幸雄の3名でベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番から第3楽章を披露。温かな室内楽の調べでプロジェクトの幕を閉じました。
ベートーヴェンの魂がこもった作品群を皆様にお聴きいただき、この時を共に生きる私たちが同じ時間と空間を共有していることの奇跡を、改めて実感したコンサートとなりました。ご支援いただきました法人・個人の皆様方のおかげで、こうして充実した音楽を多くの皆様方と分かち合うことができましたこと、感謝でいっぱいです。改めまして、ご寄付をいただきました皆様、そして企業メセナ協議会様に深く感謝申し上げます。
はじめに設定した内容とは変わってしまったけれど、今回皆さんと一緒に体を動かしたりお話ができて本当に良かった。4月に伺った時にあまりに復興がまだまだな事にショックを受け、ダンスより土木なんじゃないか?と思ったが、温泉でインタビューした時にある方が”怖い思いしたから今もドキドキしているけれど、温泉に入ったりするとああ気持ちがいい!とそのひと時は一瞬忘れられる、そういった時間がとても大切。また来てね。”の一言に押されて今回の訪問に拍車がかかった。避難住宅はまだ地盤が割れて隆起した状態のまま、その状況で暮らしているけれど皆さんとても明るく元気で、逆にこちらが元気を貰ってしまったくらい。
ワークショップもダンスもとても積極的に参加してくださった。目と鼻の先に隣の家があるのにあまり人と会わないようでこういったイヴェントがきっかけで集まるようだった。積極的に人と会わないといけないと感じているよう。こういったことは続けることが大事なのでなんとか続けられる方法を見つけて訪問したい。写真画像は表に出さないことを条件にいただきましたのでよろしくお願い致します。
東京公演は有料公演とし、かつ寄付を募って本活動費の一部として充当した。
観客からは「ゲンタケを観劇する事で被災地支援をしている気持ちになれた」「薄まっていた能登への関心が再び持てるようになった」「被災地で起こっていた事を追体験できたように思えた」などの感想があった。また、東京で活動中の俳優・作家・映像ディレクターなどにも観てもらい、活動を知ってもらう良い機会にもなったと感じた。総じて、被災地以外での公演が非常に有意義であったと感じた。また、被災地での活動資金を集めるという意味でも、結果的に必要不可欠であった。
石川県内での無料公演ツアーは、過去の活動の中で知り合った市民、劇団、施設管理者、劇場、高校職員、アートディレクターなどの協力もあり、合計4都市5か所と、想定以上に実施ができた。「家にいて鬱屈と過ごしていただけだったが、観て元気をもらった」「家から近い場所で開催してくれたので来る気になれた。来てよかった」「公演を見たいから早起きして仕事を早めに終わらせて来た」「公演を見ながら、被災直後の自分や家族がどういう状況だったのか色々と思い出した」などの声があった。いまだ復興には程遠い奥能登地域(輪島・珠洲)の方々は、「地元の集会所に来てくれる事」を非常に喜んでおり、車1台でどこにでも行ける公演パッケージのスタイルは、現地の方々の演劇に触れる機会の創出、文化的な活動による心のケアに非常に有効であると感じた。また、能登演劇堂や金沢市民芸術村の方々には、宣伝や会場設営、場内整理など非常に好意的に協力頂き、活動の継続や発展を期待して下さっていると感じた。今後は、上演した『春夏秋冬』という演目を、まだ届けられていない地域で上演する事を継続的な目標としながら、現地の方々とさらに交流しながらニーズを探り、より発展的な演目の創作が必要であると考えている。
加えて今回の石川公演ツアーでは、合間に、被災地域市民との茶話会(交流会)も開催できたため、現地の方々の肌感覚を感じる事ができた。居住する地域や、ライフスタイル、働いている業種(観光業・接客業・建設業など)によっても意見や復興度合いの感覚が全く違っているという現状がある事を知った。
さらに、現地市民や中高生に向けた演劇ワークショップも開催することができ交流ができたことは、ただ作品を上演しに行くだけよりも有意義であり、より深い心のケアに繋がったと感じた。地域全体の文化的活力を回復・発展させるためには引き続き市民自らが表現活動をする事、創作する事の機会を増やしていけるよう、企画・提案しながら活動を続けていかなければならないと考えている。
活動をしてみて
8回目を迎えた本企画は、今回も、東日本大震災とそこから派生した社会問題や個々人の生活について、それらへの関心を風化させないためのひとつの礎としてその役割を担うことができた。また同時に、地震・豪雨災害に見舞われた能登半島で、東日本大震災のその後の記録者・作家たちの取り組みを参照しながら立ち上がった記録者グループや、個々の試みとをつなぐ橋渡しができたことで、この企画が目指すところの広がりを実践・実感できた。今後も当映画祭にこのような場を設けることで、被災した方々、震災に関心を寄せる全国・世界各地の人々、そして、ドキュメンタリー映画という表現を通じて災害復興の状況を記録し続けようとする作り手たちの、それぞれの思いを支えながら、目に見える形や交流の機会を生み出していきたいと考えている。そのためには、被災地域にて継続的に記録・制作活動を続けている作家のリサーチや彼らとのコミュニケーションを続け、それら活動の成果発表とそれに対する意見交換の場としてのこの企画の意義を、今後もより深化させていきたい。