本年度の活動を通じて、音楽が地域において果たし得る役割の大きさを改めて認識しました。多くの公演では、演奏そのものの質の高さに加え、来場者の皆様との心の交流が生まれ、文化芸術が地域社会に活力と潤いをもたらす場となりました。
また、子どもたちや地域住民との交流機会も多く設けることができ、クラシック音楽に初めて触れる方々にも広く門戸を開くことができた点は、今後の芸術文化振興において大きな手応えとなりました。特に、初のツアー形式の導入により、これまで十分な鑑賞機会のなかった地域にも音楽を届けることができ、「身近な場所で本格的な音楽を体験できた」といった声が多数寄せられました。
一方で、クラシック音楽には「難しい」「格式が高い」といった先入観を持つ方も少なくないという現実も見えてきました。持続可能な文化事業として定着させていくためには、こうしたハードルを下げ、誰もが気軽に参加・鑑賞できる仕組みづくりが必要です。今後は、演奏内容の工夫に加えて、広報、教育機関との連携、プログラム解説やプレトークの充実などを通じて、より多くの市民がクラシック音楽に親しめる環境づくりに努めてまいります。
本年度の経験を活かし、単発のイベントにとどまらず、地域に根差した継続的な文化活動として発展させていけるよう、引き続き関係各所との連携を深めながら取り組んでいく所存です。
日本ガラス工芸協会の3年毎に開催する協会としての最大級のイベントということで、会員の3年間の集大成となる作品82作品を一堂に会した展示は他に例がなく、現代ガラスアートをガラス関係者だけでなく一般の方にガラスアートの魅力を発信する貴重な機会となっていて来場者からは高評価を得ている。
東京展では、会期中には連日出品者による作品解説およびギャラリートークが開催されたほか現代ガラスのスライドレクチャーやギャラリー内での北村英治氏クラリネット演奏会、ドラ・トーザン氏によるギャラリートークは多数の参加者があった。
姫路巡回展でも、会期中にステンドグラス関連の講演会、出品者による作品解説には多くの参加があったことは、一般の方に現代ガラスの魅力を紹介する貴重な機会になったと思われる。
石川県能登島ガラス美術館巡回展においても展覧会期間中にはギャラリートークやガラス工芸のワークショップを開催し参加者には高評価であった。
これまで奥能登の珠洲市と金沢近郊の白山市で連動した音楽イベントを開催してきた。連動して開催することにより地方のネックとなる交通費を分担して負担することができ、限られた予算の中でより良い内容を紹介できるメリットがある。
2024年の能登半島地震後、一緒に活動してきた白山のNPOやこれまで珠洲に出演してきたアーティストからのお見舞いの声を受け、同年秋のチャリティーコンサートの開催を企画したが、天候不良による交通機関の運休、その後の豪雨災害の発生で延期となり、今回の開催となった。
出演者は東京、大阪で活躍するトップアーティストばかりで、奥能登の最北端ではなかなか触れる機会のない、クオリティの高いジャズ演奏を届けることができた。
ワークショップに参加した観客は「話を聞いて続くコンサートがとても楽しみになった」とスガさんの演奏を待ちわびていたり、2回開催したスイーツづくりのワークショップでは、1回目の参加者が、「楽しいから行っておいで」と知人に参加を呼びかけていたりした。
今回、企業メセナ協議会の助成を受けることができ、能登のために演奏したい、という出演者の思いと、能登の皆さんに生の音楽を楽しんでいただく癒しの一日をプレゼントしたいという私たちの目的は形にできたが、内容が良かっただけに集客が振るわなかったことが少し残念。
震災以降能登では、復興イベントが多く開催されており、当日も近隣の町の秋祭りに加え、ほかの復興イベントが開催されていた。夏休みは特にイベントが多く、少しイベント疲れしているという声も聞いた。
今後も、一過性のイベントはせず、これまで通り、地理的ハンデを感じさせない質の高いイベントを継続的に続けることにより珠洲に住まう方々の希望への一助になることを目指します。
今回の定期公演では、「踊る秋」をテーマに、ヨハン・シュトラウス二世とラヴェル、チャイコフスキーという異なる時代の作曲家が描いたワルツの世界に焦点を当てたプログラムに取り組みました。
シュトラウスの軽やかで優雅な旋律、《ラ・ヴァルス》の壮大な展開とともに、バレエ音楽の《白鳥の湖》を取り上げた組み合わせはお客様からも好評の声をいただきました。
ゲストにソプラノ歌手の高橋維氏を迎え、アリアを含めたステージ構成とすることで、作品本来の魅力をより豊かにお届けすることができました。
また、本公演では未就学児の入場を可能とし、0~2歳までのお子さまに限り膝上での鑑賞ができる設定といたしました。
クラシック公演においては小さなお子さまの入場が制限されることも多い中、賛否両論ございますが、舞台に立つ演奏家の中には子育てと演奏活動を両立しているメンバーもおり、世代や立場を越えて音楽を分かち合うことのできる場をつくれたことは、当団体としても大きな意義を感じています。
今回の公演を通して、芸術音楽の魅力を届けるだけでなく、音楽に触れる機会をより多くの人にひらく取り組みを継続することの大切さを改めて実感しました。
今後も、多様な人々が音楽を楽しみ、音楽家が活躍できる環境づくりに努めてまいります。
活動をしてみて
今年の当フェスティバルは京都芸術センターをメイン会場に据えて、京都芸術大学とロームシアター京都とも連携して行われました。海外からの招聘講師6名、国内講師9名による多彩なワークショップを展開しました。北は岩手県から南は佐賀県まで、海外からの参加者も訪れ(USA、台湾、ベルギー、イスラエル、ポルトガル、スイス)、小学生から60代までの参加者が全国から各会場に集い、ほとんどのクラスが満員となり動員の面では大盛況となりました。
また、スウェーデンからクリエーション&リサーチを担当した講師が運営するVitlycke Centre for Performing Artsと提携し、当フェスティバル開催中にオーディションを行い2名の若手ダンサーを選出しました。彼らは今年度中に渡航し、現地で本格的なワークショップに参加するとともに国際的な環境でダンスのトレーニングを積む予定です。
今年も国際的なダンスをダイレクトに学び、全国のダンサーや有識者同士の身体を通した本事業は大変有意義なものとなりました。参加者からも次年度への期待の声が寄せられており、今後も国際的なダンスの学び、そして交流の場を継続し日本のダンス育成・普及に貢献してまいります。