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鉄道芸術祭vol.7「STATION TO STATION」

活動情報

活動ファンド SOMPOアート・ファンド
申請時期 第2回
活動地域 大阪府
活動ジャンル 美術
活動者名 アートエリアB1
活動名 鉄道芸術祭vol.7「STATION TO STATION」
活動名(ふりがな) てつどうげいじゅつさいゔぉりゅーむせぶんすてーしょんとぅすてーしょん
実施時期 2017年 11月 10日 ~ 2018年 1月 21日
会場 実施場所:アートエリアB1
所在地 :大阪府大阪市北区中之島1-1-1京阪電車なにわ橋駅地下1階

活動完了報告

(1)活動概況
・鉄道芸術祭とは
“鉄道”には、車両や沿線図、列車が走る線路や駅舎・ホームなど、先進的な技術や魅力とともに、そこにまつわる文化や歴史があります。駅のコンコースにあるアートエリアB1 では、その創造性に着目した事業「鉄道芸術祭」を2010 年より毎年開催しています。2011 年からは、本格的なアートプロジェクトとして展開し、国内外の第一線で活躍するアーティストを迎えて、鉄道という歴史や文脈を多角的に捉え、当館の場所性を活かした独創的な企画を実施しています。

・【鉄道と、身体・知覚・行動】をテーマにした企画展
19 世紀初頭、輸送手段の主役である『鉄道』は、大陸を網羅する線路や車両の規格によって、モノゴトを簡略化する工業化・効率化という世界共通の目的をもたらしました。「図形、図式、図解」を意味するダイヤグラムは、鉄道の普及以降、その運行状況を表す「ダイヤ」となり、より厳格な時間概念とマナーやルールに基づく規範を形成し、人々の振る舞いを規定・規制するようになります。また、駅名やサイン計画、アイコンといった情報伝達に関する識別の基準や記号化は、人々の認知と視覚表現の基本になると同時にそれらを次々と更新しました。
鉄道芸術祭 vol.7 では、【鉄道と身体・知覚・行動】をテーマに、メインアーティストには、文字、紙、本を主な素材やテーマに作品を展開するアーティストでグラフィックデザイナーの立花文穂氏を迎えました。

・海外文化の伝来と、天正遣欧少年使節
鉄道や印刷技術など、日本の近代化を促進した技術の多くは、海外からもたらされました。日本が戦乱の世から統治へと向かう時代、欧州の文化や近代技術を日本に伝えるため、初めて公式に派遣されたのが「天正遣欧少年使節」です。4 名の少年と随行者からなるこの使節は、織田信長が本能寺で最期を遂げる1582 年に長崎港から出航し、1584 年にポルトガルのリスボンに到着、ローマ教皇やポルトガル・スペイン両国王などに謁見した後、活版印刷の技術をはじめとする文化や技術を日本へ持ち帰りました。

・現代における使節団が駅から駅へ/「リスボン─ポルト」≒「大阪─京都」
本展では、メインアーティストの立花文穂氏、建築家の荒木信雄氏、料理家/文筆家の高山なおみ氏、作家の石田千氏が現代の使節団となって、海外文化伝来の最初の地点ともいえるポルトガルに赴き、鉄道が繋ぐ2つの都市(リスボンとポルト/大阪と京都)を現代の視点で調査しました。異なる文化を有する国と国、都市と都市、そして過去と現代を巡りながら、新たな情報や文化を輸送するものとしての鉄道と、その鉄道がもたらした人間の「身体・知覚・行動」を考察しました。

・鉄道芸術祭vol.7「STATION TO STATION」
鉄道芸術祭vol.7 では、STATION TO STATION と題して、都市から都市への鉄道の旅を通して、近代以前、海外文化伝来の地点から見えてくる【鉄道と身体・知覚・行動】を考察しました。STATION TO STATION は、デイビッド・ボウイーが「いかに異分野を取り入れるか」をテーマに制作した9 枚目のアルバムタイトルでもあり、新しい文化を取り入れるメタファーとして、タイトルに「駅」が使用されたと言われています。
本展では、ジャンルの異なる表現者が、国境と時間を超えたリサーチを元に、身体感覚や視覚・知覚的表現を独自の視点で捉え直し、作品を展開しました。そして、展覧会自体を立花氏が編集とディレクションを担う雑誌【球体7号】として表現。『美術・写真・ことば・・・さまざまな表現をぐちゃっとまるめた紙塊である』と謳う「球体」を、展覧会として実現しました。

・参加アーティスト
メインアーティスト……立花文穂(グラフィックデザイナー)
ゲストアーティスト……荒木信雄(建築家)、石田千(作家)、高山なおみ(料理家、文筆家)、長崎訓子(イラストレーター)、齋藤圭吾(写真家)、ワタナベケンイチ(イラストレーター)、ナイジェルグラフ(グラフィックアーティスト)、テニスコート(コントユニット)、中野浩二(彫刻家)、コンタクトゴンゾ(パフォーマンス集団)、マロバヤ(衣服)、太陽バンドと野村卓史(音楽ユニット)、片貝葉月(アーティスト)、藤丸豊美(アーティスト)、葛西絵里香(アーティスト)、伊勢克也(アーティスト)、島武実(作詞家、音楽家)、仲條正義(グラフィックデザイナー)、他


・都市と身体のフィールドリサーチ(2017/5月〜)
本事業のテーマを独自の視点で考察し、これまでにない表現手法を試みることが可能な共同企画者(メインアーティスト)を選出し、共同企画者とともに複数名のゲスト(出展者)を選出。都市の文脈を独自の視点で捉える調査研究を経て、作品制作へと繋げました。

・展示プログラム(2017/11/10〜2018/1/21)
異なる文化を有する都市と都市、国と国を結ぶものとしての「鉄道」に着目し、ジャンルの異なる表現者が国境と時間を超えたリサーチを元に、身体感覚や視覚、知覚的表現を独自の視点で作品に展開しました。また、会期中には、立花氏が編集発行してきた雑誌「球体」の最新号が3回にわたって発行されました。それは作品の一部であると同時に、展覧会やイベントのパンフレットでもあり、印刷メディアを用いた作品を通じて、本展のリサーチを通じた作家の思考プロセスや会期中の出来事が発信されていく新しい展覧会のあり方を実現できました。

・イベントプログラム
展覧会の会期中には、アーティストや多分野の専門家によるトーク、ライブパフォーマンス等、本事業のテーマに基づき様々なイベントプログラムを展開し、より多角的に本事業のテーマを捉える。
A. ワークショップ「電車になってみよう」
(開催日:2017年11月5日/講師:ワタナベケンイチ)
B. オープニング「立花文穂、STATION TO STATIONを語る」
(開催日:2017年11月11日/出演:立花文穂、太陽バンド)
C. 電車公演「電車と食堂とコントと」
(開催日:2017年12月3日/出演:テニスコート、高山なおみ、立花文穂)
D. アーティストトーク「車窓の旅 ポルトガル編」
(開催日:2017年12月3日/出演:荒木信雄、石田千、高山なおみ、立花文穂)
E. クロージング「IL TRENO(THE TRAIN)」
(開催日:2018年1月20日/出演:太陽バンド、野村卓史、立花文穂)
F. レクチャー&対話プログラム(4本開催)
 ・「レール曲げ方概論」(12月8日)
   ゲスト:木戸宏(京阪電気鉄道(株)工務部保線課大阪保線係主任)、
       築山拓矢(京阪電気鉄道(株)工務部保線課設計担当)
 ・「グラフィックデザインと鉄道」(12月12日)
   ゲスト:植木啓子(大阪新美術館建設準備室主任学芸員)
 ・「大航海時代のポルトガル〜その歴史と文化〜」(1月18日)
   ゲスト:東明彦(大阪大学大学院言語文化研究科 教授)
 ・「集団と群衆の心理学」(1月19日)
   ゲスト:釘原直樹(大阪大学大学院人間科学研究科 教授)

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