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Nostalgie du Futur / 未来のノスタルジー

2018年7月22日(日)、オペラシティリサイタルホールにおいて、約20年間にわたりフランスにおいて演奏家として、また指導者として活動した後に帰国した福井マナによる、フランス近現代音楽を中心プログラムとしたピアノリサイタル、「未来のノスタルジー」を開催いたします。

「Nostalgie du Futur / 未来のノスタルジー」
福井マナ ピアノリサイタル
“20世紀モダンの音楽を通して紡ぐ未来のノスタルジー。前衛たちが未来に向かって投げかけた作品、作曲家たちが想像した「未来」は、私たちにとっての「過去」であり、また「現在」でもある。同様に私たちの現在は未来のノスタルジーとなる”


プログラム

ラヴェル 
「古風なメヌエット」「水の戯れ」「優雅で感傷的なワルツ」「ラ・ヴァルス」
ドビュッシー
「映像 II 集」 「版画」
武満徹
「閉じた眼 II」  
リゲティ    
「虹」
・リサイタルのための新曲委嘱作品



開催にあたって
 19世紀末、パリにおいて4度に渡って開催された万国博覧会において浮世絵を中心とした日本美術が初めて出展され、「ジャポニズム」は熱狂を持って迎えられ、絶大な影響を与えます。 それは一時の流行に終わらず、印象主義を経てモダニズムへと変革する芸術の流れに決定的な作用を及ぼし、20世紀以降の芸術運動の発端ともなりました。

«L’art japonais est un « art nouveau » qui aura un large impact sur la créativité européenne » 
Samuel Bing

「日本の芸術は「アール・ヌーヴォー」であり、ヨーロッパの創造世界に多大な影響を与えるだろう」
サミュエル・ビング

 美術だけではなく、音楽においても、19世紀末から20世紀初頭にかけて、多くの作曲家たちがジャポニズムに影響をされました。
 1875年に生まれたラヴェルは、パリ万博の熱狂の中、多感な青年時代を過ごし、1901年、パリ音楽院時代の総括として「水の戯れ」を作曲します。 「水の戯れ」に先立つピアノ曲は「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「古風なメヌエット」等、古典的要素に形容されたものでしたが、「水の戯れ」」において、ラヴェルはペンタトニック(5音階)和声による新たな境地を開きます。

 またドビュッシーは、1903年に「版画」、また続いて「映像」を発表し、やはりペンタトニックによる東洋的世界を表現し、その後の印象派音楽のピアノ書法を確立します。
 東洋的音形は、19世紀ロマン派とは全く異なる、新たな色彩パレットを生み出し、その潮流はその後の近現代音楽世界の幕開けとなり、東欧においても、その民族的特色を生かした斬新な音楽手法が生まれました。
 ジャポニズムに影響されたアール・ヌーヴォーの中、その時代の前衛たちは訪れたことのない東洋を夢想し、未来を想像しながら作品を投げかけました。彼らの想像した「未来」において、音楽を創造している私たちの「現代」は、いずれ、未来の「過去」となります。今日、この現代社会に生きる私たちは、過去の遺産によって育まれた内面性をどのように音楽に反映し、演奏し、共有し、また私たちの想像する未来へとヴィジョンを投げかけるのでしょうか。

活動情報

活動ファンド 助成認定制度
申請時期 2018年 第1回
活動地域 東京都
活動ジャンル 音楽
活動者名 一般社団法人 オブジェ・アー
活動名 Nostalgie du Futur / 未来のノスタルジー
活動名(ふりがな) のすたるじーどふゅちゅーる みらいののすたるじー
実施時期 2018年 4月 20日 ~ 2018年 9月 30日
会場 実施場所:東京オペラシティ リサイタルホール
所在地 :東京オペラシティタワーB1F  新宿区西新宿3−20−2
寄付金額 / 目標金額
0 / 1,240,880

活動完了報告

2018年7月22日にオペラシティ・リサイタルホールにて開催されたピアノ・リサイタル「未来のノスタルジー/Nostalgie du Futur」には、およそ100名ほどの観客、招待客が詰めかけた。1部の中心となるフランス近代音楽の作曲家、ドビュッシー、ラヴェルともに、観客の耳には馴染みがあり、また馴染みやすく、集中したその演奏は、暖かい拍手を伴って労われた。また、2部の冒頭に展開した現代作曲家による楽曲(リゲティ、武満、岩田)は、前半のフランス近代音楽のもつ調性感から乖離することなく、コンセプトに沿って組み立てられたプログラム全体の中で、その透明感は現代の人々の耳にはむしろ聴き心地の良いものとして受け容れられた感がある。ピアニストの福井は、大曲が続く2部後半も、ダイナミックな演奏で観客を惹きつけ、20世紀前半から現代、そして未来へと行き来するプログラム構成によって、現代の人々がこれまでの音楽観、ジャンルとしてのクラシックを超えて、新たなる認識へと導く入り口となったことは、終演後の観客・招待客らの感想から伺い知ることができた。

第2部 抜粋
https://youtu.be/eYMiAra7cwY

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