「大津純子・心のコンサートシリーズ」は、音楽を通して”人々の心の交流”を図る目的で2005年に立ち上げられた<サロン形式>の文化的企画である。開始以来 年2回(春・秋)の恒例イベントとして多くの聴衆の方々に親しまれて来ている。(2019~2022年のコロナ禍間は開催を一時中止)
コロナ感染数は未だに増減を繰り返しており、当シリーズのようなサロン形式の “聴衆と演奏者間の親密さ” を身上とする演奏会では、安全性への気配りは持続する必要があると考えている。例えば、①状況に応じての入場者数のコントロール ②会場にアルコール消毒液を引き続き設置 ③長時間に亘る会場内滞在を避けるため、休憩をとらず演奏時間を多少縮小するなど、また、当シリーズ開始以来大好評で常設していた ④コンサート趣旨に沿ったテーマによる特別ゲストを迎えてのの対談 ⑤飲食を伴うお客様と出演者を交えた懇親会(レセプション)両件の再開については未だ慎重な検討を重ねているところである。
特別ゲストとの対談に代わるものとしてシリーズその31より<音楽逍遥(音楽そぞろ歩き)>という新たなシリーズを立ち上げた。作曲家たちが作品へのインスピレーションを育み活動した都市を訪れ、その時代の社会的背景や動きなどを垣間見、名曲がどのように生まれたのかに触れながら演奏を楽しんで頂こうという企画である。
米国在住のヴァイオリニスト・大津純子が2005年より代官山ヒルサイドプラザにて毎年2回(春・秋)に企画・プロデュースする室内楽シリーズ。お客様との”距離感”を大切にした、聴衆100名前後のサロン形式のコンサートです。
今年は4月21日(日)と10月20日(日)に開催。開演時間は比較的足を運びやすい午後3時半。毎回独自の観点から選考した珠玉の名曲から一般には未だあまり知られていない作品に至るまでを幅広く紹介。それぞれの作曲家ののバックグラウンドや逸話、各作品が作曲された時代背景などをお話ししながら進めていく進行形式で、聴衆の皆様から「作品が身近に感じられて楽しい」とご好評いただいています。
2024年のコンセプトは<テーマはパリ!> 。1871年〜1872年の普仏戦争(フランス帝国とプロイセン王国間で勃発)が終わったことでフランス社会に楽観的な空気が生まれ、経済の発展、植民地の拡大に伴い、テクノロジーや科学に裏打ちされた革新的な時代ベル・エポック(Belle Époque=美しい時代/黄金の時代)が誕生しました。音楽の世界でも古典やロマン派の「形式」重視の作曲法から踏み出して、“感性”を大切にした印象派など、新しい響きを求める音楽創作が始まっていきます。その魅力的な時代に活躍した作曲家たちの作品を紹介します。
4月21日のプログラムでは、演奏される機会の少ないセビリア生まれのスペイン人作曲家、トゥリーナのピアノ三重奏曲 ≪環≫ を取り上げました。夜明けに始まり、活動的な昼間を経て再び夜の静けさに完結する“ある一日”の状況が音楽で描かれています。人々の営みを想像しながら耳を澄ませ、絵画を見る思いで聴いて頂けたら嬉しく、また、スペインの舞踊リズムがフランス音楽に及ぼした影響もプログラム曲を追いながら楽しんでいただけるのではないかと思います。圧倒的に有名な名曲、マスネによる『タイースの瞑想曲』、ドビュッシーの『月の光』、そして、彼がわずか18歳の時に作曲した唯一のピアノ三重奏曲ト長調は初々しく、ロマンに溢れた作品で1982年まで楽譜は発見されずにいました。
出演:大津純子ヴァイオリン、イリーナ コフマン・ピアノ、渡部玄一・チェロ。
詳細は以下 URL にてご確認できます:
http://www.junko002.com/