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なつかしい未来創造事業アーティスト・イン・レジデンスプログラム(陸前高田AIR)2015

活動情報

活動ファンド 東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド GBFund 東日本大震災
申請時期 第12回
活動地域 岩手県
活動ジャンル 美術、郷土芸能、映像
活動者名 なつかしい未来創造 株式会社
活動名 なつかしい未来創造事業アーティスト・イン・レジデンスプログラム(陸前高田AIR)2015
活動名(ふりがな) なつかしいみらいそうぞうじぎょうあーてぃすと・いん・れじでんすぷろぐらむ(りくぜんたかた)
実施時期 2015年 6月 1日 ~ 2016年 3月 31日
会場 実施場所:岩手県陸前高田市を中心とし、いわき芸術文化交流館アリオス(福島県いわき市)、女子美術大学および森下スタジオ(東京)等
所在地 :岩手県陸前高田市、福島県いわき市、東京都等

活動完了報告

【プログラムの主旨・目的】
 本プログラムは、アーティスト・イン・レジデンスを通した、陸前高田市の人々の心の復興を目的としたプログラムである。国内外のアーティストを陸前高田市に招聘し、アートによる地元資源を活用した新たな価値の創造と、東北を拠点としたアート事業者とのネットワークを通じて人々の往来を作り出すことにより、ここに暮らす人々の生きる力を与えることを目的とする。
 復興に向けたさまざまな取り組みが行われている今、人々の心に新たな希望の光を取り戻す環境が求められている。多くのものを失ってもなお、私たちの心に深く宿る記憶。アーティストによってその大切な記憶が表現され、記述されることで、わたしたち自身がその大切な記憶を取り戻し、あたらしい未来をつくるための時間。そしてまた、陸前高田市を応援してくださるたくさんの人々に、実際に陸前高田を訪れ、ともに対話する場。アーティスト・イン・レジデンスは、アーティスト、地域の人々、そして陸前高田市に思いを寄せて下さる人々とともに、そうした「時間」と「場」を共有することを可能にする。
 また、このプログラムは東北のいくつかの拠点をつなぎ実施する。私たちは、東北という文化圏に属するが、その在り方は多様である。しかし、多様な中にも、それぞれの歴史の中で大切に育んできたものの根源的な共通性を見出したいと考える。それぞれの特異性と普遍性をもちより、東北の力を再発見することにより、多くの人々に東北の豊かさ、魅力を伝え、東北に訪れる機会を作り出していきたい。アーティスト・イン・レジデンスプログラムは、この土地の魅力の再発見と新しい価値の創造し、多様な交流を生み出すことで、これからの未来を生きる、私たちの可能性の種をもたらすものとなるはずである。

本事業は下記の4つのアーティスト・イン・レジデンスプログラムで構成された。

■1 滞在(推薦)プログラム
陸前高田市に海外のアーティストを招聘し、陸前高田市の記憶をつむぎ、創造的な新しい未来へとつなぐプログラム。滞在の成果は、陸前高田市と展覧会(■4)で発表された。
◎テーマ:記憶の風景、なつかしい未来へ
◎招聘期間:2015 年11月19日〜12月28日(40日間)  
◎関連事業:パブリックプログラムの開催。陸前高田にて、12月25日に滞在の成果として展覧会を市内未来商店街にて開催。
◎招聘アーティスト:
Angkrit Achariyasophon(アンクリット・アッチャリヤソフォン、タイ、ペインター)
Katrin Paul(カトリン・パウル、ドイツ、現代アーティスト)
Tawatchai Pattanaporn(タワチャイ・パッターナポーン、タイ、写真家)

■2 ネットワーク事業 
東北の各拠点をつなぎ、新しい東北の姿をともに描き、発信するプログラムです。平成25年度より本プログラムに招聘してきたウェールズ出身の振付家、ダンサーであるショーネッド・ヒューズ氏を再度招聘し、東北、関東、関西のいくつかのレジデンスの拠点に滞在、クリエイションを行う。なお、本事業はARTizan(青森)主催のプロジェクト「国際交流ダンスプロジェクトOdori-Dawns-Dance」と共催し、多様な創造活動、成果発表の展開を試みました。
◎招聘アーティスト:ショーネッド・ヒューズ(振付家、ダンサー)
◎招聘期間:2015年7月~2016年5月(このうち正式な招へい期間は60日とする)
◎一部助成:セゾン文化財団
◎発表場所:陸前高田市米崎コミュニティセンター(陸前高田市)/ 女子美術大学、森下スタジオ(東京)/ 神戸Dance Box(神戸)

■3 AIR人材育成事業 陸前高田ミーティング・未来編
AIRに求められる人材を育成するための人材育成プログラム。特に、災害地におけるさまざまな条件下のもと、今だからこそ求められる、アートやデザインの役割について学びます。平成26年度の当プログラムでは、AIRの人材育成として「つくる」・「考える」ことに焦点を当て実施しましたが、本年度はプログラムコーディネーターとして豊嶋秀樹氏をお呼びし、「くらす人々」「訪れるアーティスト」「プロジェクトを考える」を手がかりに、陸前高田を舞台に「生活すること」や「つくること」を巡る3日間のプログラムを企画。しかし参加者が予定人数に達せず、イベントとしては中止とし、日数を縮小しての豊嶋氏を交えたアドバイザリー会議に変更した。

■4 陸前高田AIRプログラム2013-2015展覧会
展覧会では、本AIRプログラムの3年の節目に合わせ、今まで陸前高田を訪れた7名の海外アーティストの活動と、陸前高田に縁のある1組の日本人アーティストの作品を、映像や音楽、写真、そして踊りなどで紹介した。
◎開催期間:2016年2月3日〜2月14日
◎開催場所:塩竈市杉村惇美術館(宮城)
◎関連プログラム:
トークセッション「生きることー記録と記憶のあいだ」(2月11日)
ショーネッド・ヒューズ踊りのワークショップ(2月7日)
◎来場者数:約2,000人

【事業の成果、補助により効果】
「なつかしい未来創造株式会社」は復興まちづくり会社として、2014年9月、陸前高田市に新たな雇用の場づくりをめざした宿泊施設「箱根山テラス」を建設した。同施設は、独立した組織へ移行、法人化され、オープン後1年半が過ぎ、順調に運営を行なっている。特に今年度は海外からの利用者数も増え、昨年は国際交流基金主催の「DOOR to ASIA」の会場としてもご利用いただいた。AIRプログラムとの直接的関連はないものの、箱根山テラスが宿泊施設であるのみならず、文化の交流の起点となりはじめたことは、箱根山テラスとAIRとプログラムとの連携によるネットワークの広がりの成果のひとつとして考えられる。
 2013年よりスタートした本AIR事業は、今年度で3回目を終え、陸前高田の人々にもその意義を理解されはじめてきたと実感している。特に、招へいアーティストへのフォローアップとともに、成果を確実なものとするために、複数年に渡るアーティストを招へいすることが、地域の人々への信頼に繋がっている。複数年にわたって丁寧に人と場所に出会うことにより、アーティストの個人的な興味の発露からはじまったリサーチは、人と人、場と記憶とをつなぐ深いコミュニケーションへと変容してきた。
 また、3年間の蓄積を、同じく大きな災害を受けた宮城県塩竈市を拠点とするギャラリー「ビルドフルーガス」の協力を得て、「塩竈市杉村惇美術館」にて展覧会を開催できたことは大変有意義なものであった。このことは、初年度から培ってきたネットワークの成果といえる。また、せんだいメディアテーク交流室長の甲斐賢治を迎えて本プログラムの中心である「記録」「記憶」に関するトークイベントを実施。また、滞在アーティストSioned Huwsによるダンス・ワークショップを開催し、現在のAIRの状況、アーティストの活動の意義を実際に伝え、多くの方からの反応や感想を伺うことによって、3年間の活動を俯瞰し、次の展開を考えるための大変重要な機会となった。
 さらに、本年度は、2015年2月に開催された「NPNアイディア・フォーラム」(災害後の文化活動の報告会)で本プログラムをプレゼンテーションしたことをきっかけに、2016年横浜TPAMに来日したNPNメンバー10名のツアーを受入れ、塩竈での展覧会および箱根山テラスでの意見交換会を実施した。
 引き続き急ピッチで進んでいくまちづくりに面する場で、国内外のアーティストとの交流により、人々のくらしに寄り添いながらその土地に根ざした文化の価値を共に共有し、発信することで、未来をつくるための一助となれるよう、これからも継続していきたいと考えている。

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