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採択活動一覧

「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」および東日本大震災記録映画上映プロジェクト2015

活動情報

活動ファンド 東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド GBFund 東日本大震災
申請時期 第12回
活動地域 山形県
活動ジャンル 映像
団体名 認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
活動名 「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」および東日本大震災記録映画上映プロジェクト2015
活動名(ふりがな) さんいちいちどきゅめんたりーふぃるむあーかいぶおよびひがしにほんだいしんさいきろくえいがじょうえいぷろじぇくとにせんじゅうご
実施時期 2015年 5月 19日 ~ 2016年 3月 31日
会場 実施場所:山形ドキュメンタリーフィルム・ライブラリー、山形美術館
所在地 :山形県山形市

活動完了報告

<1>「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」運営・管理、登録内容の充実、世界への発信

貴GBFundを始め各種助成を得て平成26年11月に設立した「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」は、27年度も引き続き、登録作品の管理、新規関連作品の調査・アプローチ、登録・保存/視聴メディアの預かり、ウェブ・データベースへの作品情報アップと周知(日英両言語)などの活動を行なった。平成28年3月末現在で登録作品は74作品を数える(5月初旬時点で77作品登録済み)。国立国会図書館の東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」とも連携を開始し、「ひなぎく」のウェブサイトでもアーカイブ登録作品の詳細を読むことができるようになった。また山形国際ドキュメンタリー映画祭2015開催に合わせアーカイブ専用チラシを作成、来場者に配布し周知を図った。
 アーカイブのある山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーでは登録作品のDVDを見ることができるが、それらを集中して見るためこの一年で幾人かの国内外の研究者が山形を訪れている。米国では、ミシガン大学図書館(日本研究部門)が当アーカイブの作品情報をとりまとめ、登録作品の購入を進めると同時に、自校のみならず全米大学図書館ネットワークへも情報提供を行い、率先して東京の取次店と一括契約し、各大学からの作品購入(輸入)手続きの簡便化を図り、その手助けをすることとなった。この取り組みにより、登録作品の全米教育機関での購入・視聴機会が飛躍的に増大した。
 また国内外での登録作品の上映の機会も増えつつある。被災地福島でも、アーカイブの登録作品の中から高校生が選び上映するというイベントが催された(「あす福セッション 出会おう!僕たちと”これから”を動かすために」(2016年1月17日、於:福島テルサ)。さらに、韓国のソウル・インディペンデント・ドキュメンタリー・ビデオ&映画祭(平成28年3月24〜31日)では、東日本大震災から5年という節目を迎えたことから「アジア・フォーカス部門」にて震災作品の特集上映を行い、その関連イベントとして、311記録映画の製作・普及状況と当アーカイブの活動についてのトークセッションが企画された。そのトークセッションには当アーカイブ担当者(畑)、山形国際ドキュメンタリー映画祭の震災プログラム「ともにある」コーディネーターの小川直人氏、映画作家の酒井耕監督(『なみのおと』他東北記録映画三部作(※アーカイブ近日登録予定)の監督)が招かれ、それぞれお話をさせていただいた。韓国の独立系映画制作者の方々からアーカイブの成り立ちや課題、福島でのアートイベントなどについてたくさんの質問を受け、関心の高さを実感した。
 以上のように、今年度は登録作品の管理とアーカイブの周知、作品情報の普及に努め、アーカイブのデータベースが国内外で活用され、一定の成果を生み出したと感じている。以下では当アーカイブが主催した自主上映・ディスカッション企画をご報告する。
※「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」特設ウェブサイト:yidff311docs.jp

<2>上映会・シンポジウム活動

●山形国際ドキュメンタリー映画祭2015「ともにある Cinema with Us 2015」
開催期間:平成27年10月10日(土)〜13日(火)(全体開催期間:8日(木)〜15日(木))
於)山形美術館1

(1)10作品の上映、監督・ゲストQ&A
『息の跡』小森はるか監督
『ちかくてとおい』大久保
『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』畠山容平監督
『首相官邸の前で』小熊英二監督
『自然と徴候/4つの詩から』岩崎孝正監督
『フタバから遠く離れて 原発避難1475日の記録』舩橋淳監督、橋本佳子プロデューサー
『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』遠藤ミチロウ監督
『Live! Love! Sing! 生きて愛して歌うこと』井上剛監督
『家族の軌跡—3.11の記憶から—』大西暢夫監督
『波のあとの明かし』坂下清監督
総入場者数:771名

○東日本大震災に関する記録映画を特集上映する「ともにある Cinema with Us」プログラムは、2011年の山形映画祭から3回継続して行なっており、震災以降の映画祭固定プログラムとして定着してきた。今年は、NHK製作の劇映画1本(『Live!Love!Sing!生きて愛して歌うこと』)を含む10本を厳選して上映。各回平均80人近い観客を集めた。どの回の質疑応答でも途絶えることなく手が挙がり、作品の内容について、あるいは現在の被災地の状況や問題について、監督らとさまざまに意見交換が行なわれた。またそれぞれの上映後、あらかじめ来場者に配布してあった感想・コメント用紙に意見を書き込んでいただき、回収。会期中それらを会場入り口のパネルに張り出し、映画祭終了後にはそのまま監督に届け、大変喜ばれた。

(2)ディスカッション
◎ディスカッション[1] 「映画/映像アーカイブは私たちをどう動かすのか」
10月11日(日)13:10 – 14:40 於)山形美術館5
登壇ゲスト:相澤久美(建築家、編集者、プロデューサー)、小熊英二(歴史社会学者、『首相官邸の前で』監督)、北野央(せんだいメディアテーク企画・活動支援室)
入場者数;67名

◎ディスカッション[2] 「イメージのなかの福島/フクシマ/FUKUSHIMA」
10月13日(火)19:00 – 21:00 於)山形美術館1
登壇ゲスト:藤井光(映画監督、美術家)、遠藤ミチロウ(ミュージシャン、『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』監督)、開沼博(社会学者、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員)
共催:DOMMUNE FUKUSHIMA!(インターネット同時配信)
入場者数:77名 DOMMUNE FUKUSHIMA!配信時延べ再生視聴回数:6,937回

○上映と並行して、二つのディスカッションイベントを行なった。[1]の「映画/映像アーカイブは私たちをどう動かすのか」では、歴史社会学者の小熊英二氏のお話を中心に、日本社会における「歴史」「記憶」とは何か、それらをとどめておくための映画の役割や、テレビやインターネットにあふれた震災の映像を「消費」し、見て終わるだけになりがちな現在の映像受容のあり方について、熱の入った議論が展開された。会場からも、「声をもたない人々」の記録をいかに残すべきかやアーカイブの使い方の政治性の問題についての鋭い質問も出て、登壇者との間で熱い議論に発展した。[2]の「イメージのなかの福島」では、世界に流布した「放射能に汚染された地フクシマ」という固定イメージを今後どう切り崩し、現地の多様なリアリティをいかに伝えていけるのかについて、それぞれに福島で野心的な活動を続ける登壇者3名に意見を聞き、議論していただいた。入場者77名、インターネット配信時の視聴回数は延べ6,937回に達した。

● 震災関連作品上映(金曜上映会)
(1)平成27年8月28日(金)14:00、18:30(2回上映)
於)山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 試写室(参加無料)
上映作品:『うたうひと』(酒井耕・濱口竜介監督、山形国際ドキュメンタリー映画祭2013日本プログラム作品)
入場者数:32名
○宮城に伝わる民話を、古老たちがそれぞれ伝統の語り方で物語る様子を記録した本作は、酒井・濱口監督の東北震災記録三部作の一つである。監督の招聘がかなわず観客も少なめだったが、来場した地元山形市民の皆さんが楽しい民話、怖い民話、それぞれの面白さを口々に語り、楽しい雰囲気の上映会となった。また震災の起きる前から連綿と継承され、だが今惜しくも消えつつある東北の伝統・民俗の豊かさを改めて感じた、との感想をいただいた。

(2)平成28年3月4日(金)14:00、19:00(2回上映)
於)山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 試写室(参加無料)
上映作品:311ドキュメンタリーアーカイブ選『それでも希望のタネをまく 福島農家2年目の試練』
上映後トークセッション・登壇者:深谷茂美ディレクター(テレビユー福島)、多田曜子(復興ボランティア支援センターやまがた)(14時の回のみ)
入場者数:51名 

○震災から5年目を迎える3月、2012年にテレビユー福島が製作し多くの放送賞を受賞した『それでも希望のタネをまく 福島農家2年目の試練』(当アーカイブ登録作品)を上映した。ゲストにディレクターの深谷茂美さん、聞き手に復興ボランティア支援センターやまがたの多田曜子さんをお迎えし、14時の上映終了後、福島の農家が放射能の除去に取り組みながら農業を続けている実状と、その言葉に尽くせぬ苦労、農地、農産物流通の今の状況などについてお話いただいた。会場はほぼ満席に近い状態となり、福島からやむなく山形・大江町に避難しそこで有機農業を始められた方や、主人公の農家・菅野さんとともに高畠で有機農業を学んだ”同級生”だったという方も参加。登壇者お二人とそうした参加者の発言に、来場者はひとしく、故郷に対する思い、自らの土地への愛着に心から共感し、心を動かされた。避難者を多く受け入れている隣県山形ならではの貴重な上映会となった。

<3>活動を終えての感想、課題

今年度は映画祭開催もあり、イベントへの参加者の反応に直接触れる機会が多かった。震災から5年目に入り、観客もそれほど入らないのではと危惧していたが、まったくその予想は外れ、どのイベントもたくさんの意識の高い市民が詰めかけ熱いディスカッションが見られた。今後も被災地隣県の映画祭として、上映の機会、話し合いの機会を作り続け、震災に対する意識、被災者への寄り添いの意識を社会地域全体で持ち続けられるよう、開催し続けていきたい。また震災関連映像作品の製作も、徐々に減っているとはいえ絶えることなく全国で続けられている。アーカイブの収集・保存活動は今後もそうした製作者の活動に目配りを続け、国内外に情報を発信し続けるとともに、その存在を通して実作者の製作意欲を刺激していければと願っている。

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