今回開催した茨城県北芸術祭には77万6千人もの多くの方々にご来場いただいたが、この芸術祭がきっかけとなって、初めて県北地域を訪れたという方も多く、県北地域の魅力を知っていただく良い機会になったということも含め、地域全体のイメージアップにつなげることができた。また、地元の方々との交流も活発に行われたことで地域の活力の維持・向上につながったところ。
このように今回の芸術祭は、県北地域に新たな光を当て、交流人口の拡大による地域の活性化に寄与するとともに、地域の素晴らしさを改めて見直すきっかけともなり、住民の地域づくりへの気運を醸成するなど、大きな成果をあげたものと考えている。
今回の成果を一過性のものとせず、特に芸術祭を通じて培われた人と人とのつながり、地域づくりへの気運の高まりなどを絶やさぬよう、今後の県北地域の振興に生かしていくことが重要であると考えている。
2015年より2017年の3年間に亘り、創立50周年を記念とした様々な記念行事を実施した。企画から実施まで、荒川区役所や地域のたくさんの方々のご協力とメンバーの保護者の方々の積み重なる努力で実施する事が出来た。関係者にとっても、隊員にとっても大変意味深い節目となった。
創立50年の間で関わって頂いた方々が、一つの流れになることができ、また、これからの新しい活動開始の手がかりとなるきっかけを作ることができた。
2016年度ACC日米芸術交流プログラムにおいて、9名の個人フェローシップ及び7団体への支援、合計で16個人・団体を支援することができました。特に個人フェローシップ受給者に対しては、日本、アメリカ、タイへの渡航滞在調査において各個人のニーズに即した渡航滞在計画、ビザの発給やロジスティックスに関する支援、現地における調査目的に即した方々や団体への紹介、そして、ACCのこれまでの助成受給者の方々への紹介など、ACCのプログラムの特徴でもある、お金だけではない、人と人をつなぎ友好を育む支援を行うことができました。
もちろん、それぞれ芸術の専門家として異国で活動することで、芸術家や専門家としての跳躍台となるような機会を提供できたことも、大きな成果の一つであり、これまでのACCが継続して目指してきた活動の一つです。
グラント受給者のフィードバックは各人それぞれ違いがありますが、例えば日本からアメリカへ渡航した横山義志さんは、NYでの滞在を振り返って以下のようなレポートをいただいています:
“Thank you so much for generous supports you provided me to conduct my research in US! Because of your continuous assistance, I could meet really many exciting people, who should be my precious partners for next years. For me, this stay was extremely useful to prepare my coming ten years — it gave me a real opportunity to rethink thoroughly what I have done until now, both as theatre worker and scholar.
In my application, I proposed this topic: "Contemporaneity of Asian Performing Arts and Performance Studies". But finally, my experience in US led me to think about a larger question: Is it possible to represent the World by means of a Theatre Festival?”(原文から一部抜粋)
また、韓国出身でアメリカで活躍するダンサー Yanghee Leeヤンヒー・リーさんは、日本での滞在の成果を以下のように述べています:
“The ACC Fellowship allowed me the time and space necessary to re-engaged to my self and my work; explore new directions; and make new, lasting connections. It’s one of the best experiences I have done! My time in Japan was a very special time of exploration, learning, stimulation, and more fun. Three months of experience in Japan was like a gift for me. I was very graceful to get special attention and practical help from many people around me.
I was very impressed with how the ACC Tokyo office managed my project in Japan. Responses to questions were always prompt and friendly. This was so valuable to me, especially traveling from a long distance. I was able to really look forward to and enjoy the whole experience because of hospitality and administrative efforts were exceptional! I feel that the ACC’s generosity, depth, and kindness set the tone for a culture that carried over to the project period.”(原文から一部抜粋)
このように、ACCは、これからもそれぞれの芸術家や芸術の専門家の方々のキャリアや人生に大きな転換点を与えうる国際交流の機会を提供し続けることを第一の目標とし、かつ、これらの方々がそれぞれのコミュニティや国際社会において、長く貢献し続けることを期待し、応援していきます。
メセナ協議会様の大きなご助力により、日本でも支援の和を広げることができるようになりました。今後も日本の芸術文化を支援し続けていくとともに、それが、ひいては世界全体の芸術文化を通じた友好を育む大きな力になっていくことを心から願っています。
ありがとうございました。
報告画像①:近藤愛助:日系アメリカ人の皆様へのインタビュー
報告画像②:Johann Dietrich:京都の鴨川でのサウンドワークショップ
報告画像③:百瀬文:NYのタイムズビルにて
報告画像④:Zac Zinger:一弦琴奏者の峯岸一水氏とのプライベートセッション
報告画像⑤:恵比寿映像祭でのLei Leiギャラリートーク風景
2017年は日本から米国とアジア地域への渡航支援も例年通りの支援をさせていただきましたが、このほか、日本への渡航を希求するアーティストや研究者による優れた調査プロジェクトを多く支援することができました。
相互の理解を深めるための国際文化交流において、このような双方向(多方向)の交流がバランス良く行われることはとてもよい傾向にあると感じました。
また、ACCは、グラントにおける活動を終了した後も、ACCネットワークの一員として自身を認識してもらい、以降の自身の活動においても、ACCのグランティ(助成金受給者)ネットワーク間の交流の可能性を奨励し、ときに、お金以外で可能な支援を行っています。
2017年の日本のグランティにおいても、グラント終了後もACCとのつながりをもち、支援を提供できる機会があった例がいくつかありました。
ハワイ州における美術品修復研究を支援した橋本麻里氏においては、続いて文化庁からの助成金を受給し、ニューヨークにて1年の研修を行いました。その際、ACCが無償で米国ビザの発給を支援しています。滞在中も、ACCグランティとして、ACCを通じ多くのアーティストや研究者との出会いの機会を提供することができました。
ニューヨークおよび米国各地において、日本家屋の調査を行った蒲田友介氏については、米国での活動中に知り合った建築家アントニン・レーモンドの遺族を通じて、フィリピンにおける建築調査の縁がつながり、ACCのフィリピンオフィスのスタッフがフィリピンでの活動のアドバイスや来訪のケアを受け持ちました。
このように、短期的に継続したつながりを持つこともあれば、一方、5年10年20年と長期に渡って結実し、また、発展するACCグランティのネットワークもあります。
例えば、今回、タイと台湾で調査活動を行った小谷野哲郎氏については、2005年に氏に授与したACCフェローシップの期間中に米国西海岸で知り合った影絵の劇団を主催するACCグランティと、チェンマイの影絵の劇団を主催するACCグランティと協働調査プロジェクトとして、今回2017年、ACCとしては二度目のフェローシップを授与し、彼がACCを通じて育んだ米国とタイの同業者との交流を支援しています。
ACCはグランティとの関係を継続することによって、その後どのような活動を行っていくのか、そして、ACCのネットワークがどのような援助が可能となっていくのかを見届け、一時的な資金提供だけでない、人と人が関わり合い、時間や体験を共有することによってのみ可能となる文化の友好ネットワークを構築してくことが、広く社会における異文化の理解や芸術への理解と発展につながっていくことにつながるものと考えて、今後も末永く活動を続けてまいります。
活動をしてみて
2015年に引き続き、新たにベルリンを加えての独仏日新作公演の今回は、前回のケルンでの公演の際現実乖離で精神的に弱っている人々が多いという現状から、ダンスを通し今生きていること感じ会いたいという主旨から始まりました。Junko Okuda dance performanceの「Silent Beat」(作品タイトル)という作品は、心臓の鼓動を通して、人の生きる力をポジティブに揺さぶる、見てるだけでダンスを体感できる公演を目指しました。
長いスパンでの事業となりましたが、時間をかけることで、各公演地の劇場、アーティスト、ダンサーとの作品の練り上げとコミュニケーションを深く持つことができました。同時に各公演地の人々それ以外の人々にもこの事業活動を知って頂き気にかけて頂けたことが、「観客と作品の一体化と共有」という成功をもたらしました。
メセナを通しての寄付に関しては、今回、認定活動として頂いたことで企業の方や個人の皆様に働きかけ活動を知っていただく良い機会となりました。感謝申し上げます。一方で税制優遇を希望されない方や、ウェブ手続きが不得手な方々へのフォローが必要と感じました。
資金面で厳しい今回ではありましたが、劇場、スタッフ、ダンサーなど多くの方々の協力により、良い作品を上演できました。そして、今回の活動のクオリティの高さから、次回公演依頼と期待を劇場や新たなアーティスト、観客の皆様から頂きました。
これからもダンスを通して、人の生きる力を揺さぶり、日々が豊かになるよう、人や社会の内側にSilent Beat を刻み続けたいと思います。