本展は震災とアートをテーマに、一般の人々とアーティストの作品を同時に紹介し、人間が生きていくためのアート、困難から立ち上がり乗り越えていくためのアートの力=芸術文化について、その意味を問う展覧会でした。また、芸術文化の側面から震災の風化に向き合い、被災地への関心を促すことを目的としました。来場者アンケートからは以下回答が寄せられ、本展が震災を振り返るきっかけになっただけでなく、人間が生きていくためのアートや乗り越えていくための表現が、他者に生きる勇気や力を与えることも読み取ることができ、まさにアートの力を問う展覧会となりました。
・アートが人に与える、心に与える影響はとても大きいと思った。衣食住ではなくても救うものはあると思う。美しかったです(30代女性・多摩区)
・色々と考えるよいきっかけになりました(50代男性・大阪府)
・忘れていたことを少し思い出せました(20代・静岡県)
・再び、又は新しく考えるきっかけに感謝です(20代女性・東京都)
・当時考えたことはすっかり心のすみにおいやられていましたが、今回の展示を通し様々なことが思い出されました(20代女性・神奈川県)
・福島出身。娘と二人で来ました。やってもらって良かった。有り難うございました。(60代男性・東京都)
・考え方が変わる力をもらった。ありがとう(20代男性・埼玉県)
・生きる力を失いそうな時に勇気をもらえる笑顔たち、ありがとう(50代女性・茨城県)
・あれほどの震災にあっても力強く生きようと皆で力を合わせている表情がとても良かった。(70代女性・川崎区)
・どの位の時間と思いが込められているのでしょう。計り知れない思いが伝わってきました。(50代女性・多摩区)
・エネルギーに満ちていた。子どもたちの作品もなにもかもステキだった(50代男性・和歌山県)
・「生きる」ことを感じ見ていて涙がでそうになりました。沢山の人に見てほしい(40代女性・神奈川県)
・生きる力を失いそうな時に勇気をもらえる笑顔たち、ありがとう(50代女性・茨城県)
・とっても素晴らしかったです。今生きている、元気で生きている。力をいただいた時間でした。(60代女性・福島県)
・今まで見た展示の中でも上位に入るくらい良かった。3.11ごとにやってほしいと思う。(30代男性・多摩区)
・とっても素晴らしかったです。今生きている、元気で生きている。力をいただいた時間でした。(60代女性・福島県)
アートによる復興支援活動〈ARTS for HOPE〉の10年の挑戦を振り返る展覧会は、岩手県大船渡市から巡回をスタートした。新型コロナウィルスの影響により、福島県南相馬市で予定していた展覧会は中止を余儀なくされ、さらに、福島県沖地震による宮城県美術館の臨時休館により、大きな変更を迫られた展覧会となった。しかし、せんだいメディアテークでの展示実現により、〈ARTS for HOPE〉の活動を知らなかった多くの方々にご来場いただき、アートの力を感じてもらうことが出来た。「アートで人の心を変えられるのかと感動した」「先の地震で不安が戻ってしまったので励まされた」「作品のパワーに元気をもらった」「見たもの、感じたものを糧に明日から頑張れそうです」「震災を忘れようとしていた心に響いた」「アートの力はすごいと思った。子どもたちの表情に救われ、元気をもらった」「温かなエネルギーが作品から溢れていて、空間にいるだけでもパワーを充電してもらえるような気持ちだった」等、数々の感想をお寄せいただいた。活動拠点であるワンダーアートミュージアムの展覧会には、地域の高校生や商店街の皆さん、長きに亘る支援者の方々、教育・福祉・美術関係の方々の来場があり、ラジオやテレビなど、複数のメディアに取り上げられたことから、一般の来場にも繋がった。
2015年度のバンコク大学ギャラリーでの展示と連動して、今回はアーティストが運営するアートスペース Speedy Grandmaを中心に展覧会を企画しました。昨年度から話しを進めていたので、基本的には大きな問題もなく順調に作業はすすみました。シンポジウムにおいては、前回の反省から、翻訳、通訳を充実させていたため、複雑な問題に関してもなんとか議論が展開出来た事は有意義であったし、今後のプロジェクトの方向性についても議論出来ました。また、今回のバンコク滞在では、バンコク側の事務局の積極的な協力が得られ、バンコク市内や郊外でアートスペースやアートプロジェクトを運営している多くの人々に会う事が出来、各地でお互いのプロジェクトを紹介し合う事が出来たことも、今後の新たな展開に大きな影響を与えると考えています。少ない予算ではありますが、海外で国際プログラムを企画し、社会システムや環境が違う場所で、実際の展示やシンポジウムなどを実践することは、それぞれのアーティストや研究者、スタッフにとって、国際的な人材育成という教育的なプログラムとしても機能したのではないかと考えています。
今後は、さらに違う国の美術関係者ともプロジェクトを共同で企画していきたいと考えています。現在も、ホテルアジアプロジェクトは、韓国、インドネシアの関係者と共同企画の可能性を検討しています。
解説付きでより楽しめた、初めて観る歌舞伎とっても楽しめた、との声を多くいただきました。
開催にあたり、参加の呼びかけや、参加費を抑えるためのカンパのご協力をたくさんの方々にいただき、地域の文化力の向上につながりました。
活動をしてみて
特定の地域も対象を限定することなく、子どもから高齢者まで、被災したすべての人たちの心の元気を応援し、心の復興を担う事業として、目標を大幅に上回る活動を行うことが出来ました。全身を使ったペインティングや願いをこめたオブジェの制作、アートキャンプを通して、たくさんの笑顔が生まれました。アートならではの色彩豊かな空間と、夢中になれるひと時が心身のリフレッシュや気力の回復につながり、温かなコミュニケーションを育みました。訪問施設からは喜びの声や再訪の要望を数多くいただいており、心の応援を目的とした活動の成果をあげることが出来ました。特に支援学校の反響は大きく、宮城と福島の数校を巡回しました。2016年の熊本地震発生後も、東北での応援活動の経験を活かし、早くから避難所の支援に入ることが出来ました。
東北のメッセージを伝える展覧会には、作品を出品した仮設住宅の住民さんが予想以上に多く来場し、開催を心待ちにしていたこと、自身の作品が展示されることへの期待感や大きな喜びが伺えました。また、展覧会の開催は被災者の思いを“発信する”ことが大きな目的でしたが、多くの来場者が自身の被災体験や思いを語る場にもなりました。展覧会場が“思いを受け止める場“として機能し、話すことで気持ちを整理し、消化し、気持ちを前向きにはこぶための“場”としても、大きな役割も果たしました。内陸部や都内の展覧会では、著しい風化の一方で、今も被災地への関心が持続していることを確認できました。全国・世界中からの来場者に、被災地からメッセージを発信出来たことは、忘れられていくことが置き去り感や悲しみにつながっている被災者にとって、心の復興へ新たな一歩を踏み出す力になったと考えています。