今年の当フェスティバルでは海外講師4名を招聘し、加えて国際的に活躍する国内講師12名の合計16名の講師陣による多彩なワークショップを展開しました。
北は北海道から南は福岡まで、未就学児から60代までの参加者が全国から集結したのに加え、フランス、カナダ、中国、韓国、香港など海外からの参加者があり、まさに国際的な雰囲気での開催となり、ほとんどのクラスが満員となり大盛況となりました。
今年はスカラー制度での参加者も過去最大の参加者となり、国際的なダンスをダイレクトに学びたい参加者の欲求に応えることができ、全国のダンサーや有識者同士の身体を介した交流を促す意味で本事業は大変有意義なものになったと自負しております。参加者からも次年度への期待の声が寄せられており、今後も国際的なダンスの学び、そして交流の場を継続し日本のダンス育成・普及に貢献してまいります。
YPAMは毎年12月に横浜で開催していますが、社会創造アーツファンド(Arts Fund)には初めてご採択いただきました。残念ながら目標としていた寄付額を達成することはできませんでしたが、一般企業へのアプローチの仕方や寄付金控除の仕組みをどう説明するのかなどについていくつか課題が見えてきたことは、本活動を通して得られた成果だと思います。今後はそれらの課題をどう解決してゆくのかを考え、実証していき、寄付金制度を活用しつつ持続可能な運営を模索していければと思います。
申請させていただいた活動は、企業メセナ協議会さまをはじめ、関係団体や地元横浜の皆さまよりご支援・ご協力頂いたことで無事開催することができました。とくに1年をかけて準備してきた「YPAMフリンジソサエティ」が設立に至ったことにより、今後のプラットフォーム/フェスティバル運営を共に考える大変心強い仲間を得たことに繋がりました。その他のプログラムに関しても、地元の企業・団体・個人よりご協力いただき、横浜ならではの舞台芸術・食・イベント・空間などを参加者に楽しんでいただけるものとなりました。今後も横浜と世界を繋ぎ、横浜から世界へ作品を発信していけるよう活動して参ります。
今年も支援してくださる企業があり大変助かっております。昨年まで使わせていただいていた友愛山荘がクローズドしてしまい、一時途方にくれましたがホール隣接しているホテル東急ハーベストさんがご協力くださり、受講生およびスタッフは泊まることができました。これがなかったら大赤字だったと思います。昨近軽井沢の夏の期間のホテル代が5年前の倍の値段になり、講師先生方のホテル費用が倍の状態です。ホール代も何もかも値上がっているので運営は正直厳しい状態です。
そんなスタッフ側の心配はよそに、講師の先生方は一生懸命生徒を教えてくださり、それに答える受講生の腕前も上がり心身共に受講生たちの成長を見させていただきました。
毎回終了後、開催してよかったと思うので来年も準備頑張ろうという気持ちに奮い立たせてくれます。
「音楽教室」には、神津小、神津中、神津高校から教職員を含めて255名が来場。教育長も臨席のもと、授業の一環として、約1時間オーケストラの演奏を聞いていただいた。演奏は指揮者のトークや「楽器紹介」コーナー、「指揮者体験」などを挟みながら進められ、中でも「行進曲」をテーマにし、一貫して現れる音型への解説に、児童生徒は聞き入っていた。指揮者体験コーナーにおいては、最初に指揮者が指揮の方法をレクチャーし、その後児童生徒は、目の前で鳴り響くオーケストラの音に圧倒されながらも、堂々と指揮を務めた。児童生徒のオーケストラ音楽への関心を深めることにより、情操教育に資するという当初の目的は、十分に達せられたものと考える。
「一般向けコンサート」は、島民142名が来場。これは、神津島村の人口約1,800人の8%近い人数に当たる。プログラムの前半は指揮者のトークをまじえ、「ウィリアム・テル」や「真夏の夜の夢」など耳に馴染みのある作品を並べ、後半はベートーヴェンの第7交響曲全楽章をじっくり聞いていただくことで、オーケストラ音楽に親しんでいただくとともに、本格的なクラシック・コンサートの実演のすばらしさを味わっていただくことができたものと考える。
活動をしてみて
長引いた新型コロナの影響を脱し、ようやく平常に国際渡航が可能となり、この間延期になっていたものを含め、予定したフェローシップ・プログラムを順調に完了することができました。
グラント事業において一例を挙げると、ニューヨーク・フェローシップで渡航した萩原雄太氏は、デボラ・ヘイのワークショップやウースター・グループのリハーサルをはじめ、ニューヨークの劇場、公演、ワークショップ、展覧会などを数多く訪れ、また、CUNY大学院センターで日本演劇を研究しているピーター・エッカーソール教授に招かれ、彼の授業に客員研究員のような形で毎週参加し、ポスト演劇をはじめとする最先端の思想を学び、多くのインスピレーションと新たな視点を得ました。また、このフェローシップは、彼にとって生まれて初めてマイノリティとしての生活を経験する機会にもなり、それは彼に「多くの新たな視点をもたらした。フェローシップを通じて 民主主義に対する認識が、社会的・政治的システムから、人間の力のよりダイナミックなプロセスへと変わった。」と語っています。そして、氏は帰国後、このフェローシップで得た情報や視点を共有する活動を積極的におこなっており、日本の演劇人のモチベーションを高めることに貢献しようとしています。
これはまさに、ACCのフェローシップ・プログラムの理想を具現化している事例です。フェローシップ期間中の体験を通じ、個人の視点や思考の変化や成長をもたらすとともに、その後の活動を通じてそれを本国に置いて還元していくことも、国際交流を通じた相互理解の促進に資すると言えます。
また、本年度よりグランティの渡航終了後「グランティ活動報告会」を開催することといたしました。報告会では、事務局スタッフの他、財団理事、選考当時の審査員、次回以降渡航予定のグランティを招き、報告者に画像などを見せていただきながら、活動内容やご体験、ご意見を伺い、質疑応答を行いました。また、支援者にもその内容を伝えるために、オンライン配信も実施いたしました。この報告会はプログラム実施状況やサポートの問題点等を色々な視点から確認することが出来、今後の改善に非常に有効であったと思います。
イベント事業においては、主にファウンディングメンバー向けに、レクチャーやアート作品鑑賞イベントを実施し、ACCの活動を紹介するとともにメンバー同士の交流を深めることが出来ました。
なお、本年はグラント授賞式をファンドレイジング・ディナー内で開催いたしました。本ディナによる収入は財団運営費に充当されるため、本プログラムのイベント事業には含めておらず、グラント授賞式にかかわる費用についても本プログラムに計上していません。
本年は期中に事務局のスタッフが入れ替わる事態となり、グランティへのサポートやアルムナイエンゲージメント、広報活動、メセナを通じたファンドレイジングのプロモーション等が手薄になったことが反省点として挙げられます。グラントプログラムへの質の高い申請者の確保及び幅広いファンドレイジングのためにも、メンバー以外の一般の方向けのパブリックイベント、その他広報活動に今後は注力が必要と感じています。