本事業では大阪市中央公会堂と東京文化会館での定期演奏会、計8公演を実施した。4月には大阪市中央公会堂でモーツァルトの交響曲第39番とベートーヴェンの三重協奏曲を取り上げた。4月末に予定していた東京文化会館での公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。7月には大阪市中央公会堂でモーツァルトの後期交響曲とベートーヴェンの協奏曲を組み合わせた公演と東京文化会館で高田泰治のチェンバロリサイタルを、それぞれ実施した。10月には大阪市中央公会堂でバッハ作曲「ブランデンブルク協奏曲」全曲公演を実施した。11月にはテレマンの協奏曲ばかりを集めた公演を、12月には毎年恒例となっている高田泰治リサイタル「バッハ作曲ゴルトベルク変奏曲」の公演を東京文化会館で実施した。1月には大阪市中央公会堂でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とモーツァルトの後期交響曲を組み合わせた公演を、東京文化会館で首席チェロ奏者鷲見敏によるバッハ「無伴奏チェロ組曲」全曲公演を実施した。
本年度は、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、当初予定していた海外からのアーティストを招へいすることはできなかったが、出演者の一部を国内アーティストに切り替えるとともに、感染症対策を万全に行い、例年どおりゴールデンウィークに春公演を開催することができた。
夏以降についても、国立工芸館、那谷寺、金沢城などの歴史的建造物を活用した公演を充実させ、年間を通じて公演を開催した。
オーケストラ・アンサンブル金沢をはじめとした県内外の一流演奏家による公演のほか、石川が誇る伝統芸能である邦楽や能舞などとクラシック音楽とのコラボレーションなど、石川の多彩な音楽文化を前面に打ち出したプログラムにより、これまで以上に多くの県民の方々に楽しんでいただくとともに、全国の音楽ファンに対して一層強くアピールできたものと考えている。
また、金沢駅周辺を基点とした金沢市中心部での公演はもとより、能登や加賀など県内各地で公演を開催した結果、コロナ禍のなか、25,000人を超える方々にご来場いただき、県内外のお客様が音楽祭の実施を求めていることを改めて実感したところである。
音楽祭の開催を通じて、音楽愛好家の裾野の拡大を図るとともに、音楽を通じた交流人口の拡大と地域のにぎわいの創出に繋がったものと考えている。
2020年の「月1コンテンポラリーダンス公演プロジェクト」に引き続き、2021年も助成認定制度の承認を得られたことで、地域の方々や参加者等に本活動をPRすることができた。寄付金こそ集まらなかったが、当法人並びに「国際こども・せいねん劇場みやざき」の視察やメディアへの露出が増えたことは、大きな成果であったと捉えている。特に、雑誌「地域創造」第47号に取り上げられたことは、文化芸術の関係者へ大きなPRになった。
活動者を2年続けて、寄付金をいただくことは簡単ではないと再認識している。しかし、芸術団体が自走するためには、資金の捻出が大前提となる。当法人としては、今後も助成認定制度を活用させていただきながら、関心を寄せてくれる方々(企業、団体、個人等)を増やし、それを地域に還元していきたい。
本事業の成果については、以下に示す。
【CandYアート塾】においては、募集人数に占める参加者数は88%。参加者数に占めるリピーター数は46%。コロナ禍の影響下、計画段階の目標値にほぼ達していた。参加者とその保護者を対象に実施したアンケート調査から、定期が不定期になったことや参加できる回数が減ったこと、内容の変更(美的創造的体験→メタバース体験)について、コロナ禍で継続するための臨機応変な対応だったと高く評価していたことがわかった。また、回答した保護者の全員が、子供の参加を、塾や習いごとに優先させていたことがわかった。「いろいろな体験ができた」「どれも自由感がある」 「よいきっかけになった」とポジティブな感想を多く得ることができた。
【CandYアートoffice】においては、オンラインのアート会議及び講義(計13回)の参加者(1〜10名/回)を対象にしたふりかえりのインタビューでは、活動の前後に何かしらの意識変容が起きたと回答した参加者の割合は70%。参加者のインタビューからは、先の見えないコロナ禍で、参加者主導で本事業を実施する難しさがわかった。その一方で、「国文祭みやざき2020分野別フェスティバル」の制作に係わった参加者は、「アーティストへの意識」や「接客意識」が変化したと回答。「学校ではやれない体験ができた」「それなりにいい写真が撮れた」という感想からも、本事業に参加したことをプラスに捉えていた。
4月23日及び5月29日に当企画のコンサートが行われましたので、簡単ですがここに報告いたします。
4月23日、大阪市天満橋にあるエルおおさかB1プチ・エルで開催いたしました。
Cl.南方美穂さん、Pf.戸田優佳 のデュオコンサートでした。
CLの南方さんも、Pfの戸田さんも関西において実力のある若手の演奏家です。確かな演奏技術と表現力そしてクラリネット特有の優しい響きと、スタンウェイD-274の凛とした響きが織りなすハーモニーが会場を包みました。
前日、同じ会場でピアノ、チェロ、オーボエのトリオコンサートがあり私もそのコンサートを拝聴いたしまして偶然にも同じシューマンの3つのロマンがありました。 もともとはオーボエが正しい編成ですが、クラリネットの音色がもつ温かみと優しさがよく合い、室内楽の面白さと可能性を感じました。
またお客様からは、座席が演奏家が見やすいように配置されていたと好評いただきました。
5月29日は学生も含めた若手演奏家によるヴァイオリン、チェロ、ピアノによるトリオコンサートでした。当初依頼したときはまだ学生だったVn.梶原さんも京都市立芸術大学を首席で卒業され、着実にキャリアを重ねていっております。この規模での室内楽での演奏は将来的に貴重になるかもしれません。
松蔭さんも現在学生ではトップのチェリストです。尾上さんはソリストの経験も豊かな素晴らしいピアニストです。
プログロムもオールピアノトリオで、特にスメタナとメンデルスゾーンは演奏家にとってはハードなプログラムです。3人の織りなす音は公演名である千以上の音数で聴くものを圧倒しました。若いながらも確かな技術に裏付けされた素晴らしい演奏でした。
梶原さん主賓の"千の音"と銘打ったシリーズですが、#02は11月下旬を予定しております。
プチ・エル、今福音楽堂、両会場とも責任者の方が大変親切に対応してくれたおかげで、公演は無事に進行できました。
今回寄付は目標金額には届きませんでしたが、企業メセナ協議会様の採択をいただく事の社会的および文化的重要性は存じ上げておりますので、継続して助成認定制度に申請させていただく所存です。
オーケストラとは違い、一人一人の演奏家の音が直接聞こえる室内楽の素晴らしさをもっと多くの方達に知っていただきたく、またお客様がより快適にコンサートにお越し下さるよう、これからも精進を忘れず活動してまいります。
活動をしてみて
本活動においては大阪市の中心部、淀屋橋にある財界のサロン「大阪倶楽部」でのマンスリーコンサートを実施した。18世紀音楽の普及啓蒙を大きな目的とし、バロック時代や古典派の作品を中心に、裾野を広げるためにスタンダードジャズとシャンソンも取り上げた。各月の公演は次の通り。
4月予定していた公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。6月公演はA.ヴィヴァルディの珍しい協奏曲ばかりを取り上げた。7月公演では楽団首席奏者による弦楽四重奏を、9月公演ではバッハ作曲管弦楽組曲第3番のオリジナル版を、11月公演ではテレマンの様々な楽器のための協奏曲群をそれぞれ取り上げた。12月には毎年定番となっている高田泰治リサイタル「バッハ作曲ゴルトベルク変奏曲」の公演と首席チェロ奏者鷲見敏によるバッハ「無伴奏チェロ組曲」の公演を実施した。2月はアメリカのクラシック音楽作品とスタンダードジャズを取り上げた。3月にはバロック楽器でバッハの管弦楽組曲などを取り上げた。