今回、初めて企業メセナの助成認定制度に申請し、採択されたことは、コロナ禍で重大な問題となっていた資金面に、新たな道を拓き、今後の活動への大いなる希望となった。
当公演では、学術的内容でも、より多くの人に、わかりやすく楽しめるように、「演奏会に演劇を取り入れる手法」を用いた。これは、ここ数年当会で模索しつつも積極的に行って来た、独自のイベント形式である。
第一部では演劇を主軸に置き、オリジナル脚本を書き下ろし、劇中で難解なバロック初期作品を受け入れ易い形にして聴き、バロック音楽の成り立ちを知り、第二部からは、そこでの理解を基に、オーソドックスな演奏会形式で、ゲストと当会の演奏家たちでチェンバロ独奏、バロック声楽独唱と二重唱を行った。それにより、発信側と聴衆が共にステップアップしていく事ができたと考える。
寄付活動も含め、今まで以上に様々な人々が公演に関わったことで、より充実した公演に向け、イベントそのもの、加えて運営面での課題も見えてきた。会の発信側の活動者が1つにまとまるきっかけの公演ともなったので、今後に活かして更に精進していきたい。
多くの方々の支えによって公演を終えることができたことを心から感謝いたします。市民ミュージカルでありながら、随所にプロの皆様の仕事があったことで、寄付者の方々にも満足していただける作品として、オリジナルミュージカルを生み出すことができました。
テーマとした「天からのサイン」や「人間の創造性とAIの関係」についても、物語を通じて観客の皆さまに問いを投げかけ、一人一人が見守られているというゴスペルメッセージを作品の世界観で伝えることができたと感じています。
何よりも、新型コロナ感染症の広がる中、まん延防止措置が石川県内に発令されている中での公演であったにも関わらず、キャスト・スタッフが一丸となって本番を迎えることができたことに安堵しております。
また、今回、助成認定制度を活用したことによって、作品や作品づくりの意義を言語化することができたことは内部的にも良い効果がありました。
コロナ感染の先行きが見通せない中での公演でしたが、ご来場下さいましたお客様からは、とても懐かしく青春時代を思い出し豊かな気分になり、とても良かったとの声を多く頂きました。半面、予定していた来場者数は半分しか入らず経営的には厳しい公演になりました。
公演前日にキャンセルの連絡が多く、コロナ感染の心配か?チケットは865枚の配布(招待含む)で合ったが、2割ダウンの来場者でした。
それでもご来場下さいましたお客様は年齢も幅広く、正月らしいとても暖かい雰囲気の中での公演でした。何より前日の寒さ厳しい天気と違い、暖かく真正面にそびえたつ「富士山」の素晴らしさには感動!!
演奏においては20歳でクリーヴランド国際コンクールで優勝、国内より海外公演が多い、ピアニスト福間洸太朗氏をお招きしての公演、素晴らしいテクニックで大喝采を浴びた名演奏でした。
指揮者には5年続けての篠崎靖男氏で、今年が最後になる事もあり、楽員の協力もありチャイコフスキー交響曲第4番は、とても熱の入った演奏でした。
活動をしてみて
普段は地元の高知で演奏会を行っているが、今回初めて東京での演奏会を実施することができた。コロナ禍の中で十分練習ができない中で臨んだものであったが、高知で育んできたバッハの音楽を、音楽に精通した方も多い東京の皆さまに聴いていただけたことは感謝であった。来てくれたお客様(304名)からは、演奏に対する高い評価をいただくことができた。共演していただいた器楽の客演の方々からの感想も含め、今後の活動の糧としていきたい。