今回はコロナの影響で活動自体が中止(延期)となってしまいました。
この期間中、寄付を集める難しさを感じたのと同時に、その中でも寄付をくださる方の温かさとそのご好意に対してできる限り良い結果を出そうと思うことができました。
それだけでも挑戦してみてよかったと思っています。ありがとうございました。
本展会場の位置する下寺町は、江戸初期以来寺が軒を連ねる地域で、今は近畿一円の交通の乗換駅があって国内外から人の集まる繁華街と歓楽街に隣接する。「大阪」「お寺」「現代美術」の出逢いは、「食の街」「商都」だけではない、歴史と陰影に富んだ大阪を芸術から照射することになった。歴史や記憶と、今生きる人々による絶え間ない変化で重層的にかたち作られた大阪の街は、「場」の持つ魅力とそこに集う人々のつながり全てが有機的に作用することで、その場ならではの「現代」芸術作品が立ち上がってくる可能性を多く持っているように感じる。今回の大舩展で、作品自体の完成度とともに「場」との出会いが大きな構成要素となった発見があり、今後は、場所や人々の出会い、つながりに一層留意して、より広い観客層に、芸術との出会いで得られること、それが生きる力になることを伝えていきたい。来場者アンケートでは50%が大阪市内からの来場、35%が近畿。遠方は東京・茨城・香川など。「時間や空間、生や死を行き来して様々な境界が曖昧になる不思議な体験。自分も別の次元へ連れていかれるような、自分が拡張するような感覚」「夕刻からすっかり日が暮れるまで居て、なぜか涙が出た。隣で一緒に観ていた、と思っていた人がゆっくり踊りだしてびっくりしたが、暗くなっていく瞬間のなかに伸びていく彼の腕や背中を見ていると、なぜかとても癒された」「はじめは驚いたが絵をみたあとは『空』の中に入った感じ。静けさと人の動きが絶妙なバランスで心地いい」「不思議な感覚で、観るというより場の雰囲気がとても良かった。エネルギーを感じた」
このような被災地公演がもし私達の独り善がりで、被災地の方々から押しつけがましい活動と受け取られてしまったらどうしようかとの不安もありましたが、公演を終えると多くの観客の皆様から「来てくれてよかった!」「来年もまた来てほしい」という声をかけていただき、ほんの少しでも被災地の方々の心が温かくなっていただけたのかもしれないと感じられ、心から嬉しく思いました。
助成金制度認定の審査の場で、審査委員の方から震災発生から7年も経過している中での活動に対して疑問の声もあったとのお話でしたが、被災後すぐに趣味や芸術あるいは文化活動に元のように心が向くのは非常に難しいことで、物理的なインフラ等とは違い、被災前のように芸術などに触れたいという心の余裕を持てるようにはたかだか数年ではならないとの被災者の方々の声も多く聞かれました。そしてこうした活動があることを知り、足を運ぼうとしたことでやっと心の復興が始まりつつあるのかもしれないというお話も聞けました。
また、多くの方に足を運んでもらうにはどうしたらよいのかと広報の仕方について、試行錯誤をしてまいりましたが、公演に足を運んでいただいた方が口をそろえて「ほとんどの人はこの公演を知らない」とおっしゃっておりました。ブログ、Twitter、フェイスブック、さらには現地でのチラシ・ポスターの配布などで周知活動をしてきた私共とするとショックでした。
地方での広報はやはり新聞が一番とのことで、公演直前で河北新報に大きく記事を掲載していただいたおかげで電話が鳴るようになり、一番嬉しかったのはその新聞記事を大事にとっていて必ず観に行きたいと電話口でおっしゃってくださった年配の方々からの声でした。若い人々にはネットでも年配の方々は「電話」なのだという事をあらためて実感しましたが、被災地の方々との声を通じての交流はとても嬉しいものでした。
その他、三陸新報に掲載すれば多くの人が公演開催を知ることができたようで、広報の仕方については、現地の方々との声を聞くことも非常に大事だということもわかりました。
寄附金を募るにあたって、助成認定制度の説明をしても「公的な補助金」と勘違いされてしまうことが多く、制度について理解をいただくことがかなり難しいとも感じました。
また寄附してから「かるふぁん!」サイトに反映されるまでに一定の日数もかかるため、心配をされていた寄付者の方もいらっしゃいました。
そのあたり説明をもっとわかりやすく伝える事ができたら良かったと感じております。
全公演を通じ、作品や演奏のレベルは非常に高く、来場者からも「すばらしかった」「面白かった」等の感想を得ました。音楽創造の発展に寄与するという点では、成果を得ることができたと考えています。しかし残念ながら、来客数については一定数にとどまっており、音楽祭としての知名度を上げ広報の充実を図るとともに、公演の日程調整などにも工夫すること等が今後の課題となると考えています。
今後とも、芸術音楽文化の創造と発展を導くために、作曲家・演奏家・聴衆の三者が、互いに芸術的刺戟を与え合い、分かち合う“場”をつくる活動を続けて行きます。
活動をしてみて
リモートによる業務やオンライン会議が日常となる中、国際会議の在り方も検討や工夫の余地があると思われる。
国際木版画会議の場合、海外からの参加者は訪日して、昔からの歴史的な文物に直に触れたい要望が強い傾向がある。一方オンライン会議の実施により、公募展、オープンポートフォリオを含め150人を越える参加を得たことは大変驚く現象であった。
これらを踏まえ、リアルとオンラインをどのように組合せるか、時代にあった会議構成の検討が今後の課題である。