芸術の持つ人を魅きつける強い力と情報発信力によって、大町市の魅力は引き出され広くアピールする機会となった。地元住民でも普段は行くことの少ない市内の各所をめぐる芸術祭は、地域の新たな魅力を再発見するものであった。他所から来る人々の観光は、土地の人々に誇りを与え、土地の人々の感幸はまた、来訪者に喜びを返してくれたのだと感じる芸術祭であった。
また、芸術祭の開催にあたり、作品制作から運営まで携わっていただいた多くのボランティアサポーターの存在は、今後の大町市という地域にとってかけがえのない財産となった。このように人と人がつながる、結び付くことは、地域にとっての宝であり、まさしく芸術祭開催の一番の本旨であると思う。
クローデル生誕150年の記念としてさまざまな企画を運営したが、このことによってクローデルの作品が再評価され、日本におけるクローデル研究が深まることを願っている。ポール・クローデルは現在、あまり名前が知られていないのではないかと考えていたが、実際に企画を運営してみるとどの企画も予想を上回る来場者、参加者があり、クローデルの知名度が想像以上に高かったことは、予想していなかったことであった。しかしこのことでクローデルの愛好家が増え、研究が進む可能性を見出すことができた。
一年にわたる企画であったが、日仏会館の関係者や日本フランス語フランス文学会の学会員からは、一連の企画に対し、今後のフランス人作家の周年事業の在り方の一つのモデルを示したと高い評価を得ることができた。
すでに地元では、定着し、恒例化している感があるが、まだまだ認知度は、高いとはいえない。今後、さらなるPR活動の必要性を感じています。
身体を動かし表現したり、何か物を創り出す活動の中でも寄り添い笑顔を生み出すことが避難所で一番重要なことでした。避難所以外でも震災後、アートを届ける活動をさせていただいておりますが、「塞ぎ込んでいたけど今日は出て来てよかった」そんなふうに声をかけてくださる方がいます。生活再建のためには衣食住を整えるために経済的な支援が不可欠です。ただそれだけでは、震災のトラウマ、その後のストレスにより塞ぎ込んだ気持ちを立て直すことはできません。崩壊したコミュニティの再生もそうです。震災直後より今後更にアートに出来ることは増えてくると確信して、熊本復興の一助を担いたいと強く決意しています。
活動をしてみて
建物内部を自由に、壁一面にペイントしたり造形物を創ったりする事ができるイベントは、場所の都合もあり、なかなか行う事ができない。
事実、今回の会場で開催する事ができるまで、何度も予定していた会場が使えなくなるなどのトラブルにも見舞われた。
会場が決まってから非常に短い期間での準備になり、大急ぎになってしまったが無事に開催する事ができた。
出演を打診したアーティストも快く引き受けていただく事ができ、皆で非常に意欲的に取り組む事ができた。
お客様の反応もありがたい事に、開催後、SNS等で「楽しかった!」という書き込みが散見されたり、当日に親子連れのお客様から、「子供が中学から美術部に入りたいというので、じゃあこのイベントは絶対行かなきゃ!といって連れて来た」という嬉しいお言葉もいただいた。
今回たくさんの方との交流をする中で、表現活動に対する意欲や、地震後の生活に対する底力を改めて感じ、このイベント後も、さらに力強い熊本のコミュニティ、表現が生まれていくであろう確信とともに「開催して良かった」という手応えを感じた。