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活動者の声

川俣正/仙台インプログレス2018

活動期間2018年 4月 1日 ~ 2019年 3月 17日

活動をしてみて

本プロジェクトをすすめるアートノードは、仙台市の教育局生涯学習部所管のせんだいメディアテークの事業である。したがって、かかる費用に応じた「学びの機会設定(メモリアル、経験、実践と学びなど)」が問われており、経済波及効果などの目標は求められていない。現時点で意識されている評価ポイントは以下の通りである。

①被災沿岸部の復興への寄与、被災地への広い関心を惹きつけることができるか(メモリアル)
国際的なアーティストである川俣氏を、伊東豊雄氏らによる「みんなの家」につなげ、仙台市沿岸部地域の課題に長期で取り組む本事業は、復興への関心層、アートへの関心層、メディア、行政などから関心を惹きつけることができている。

②仙台市の政策へのアーティストの接続、行政に「しなやかさ」が求められる経験を提供。(経験)
建設局・公園課との連携など、市の通常業務を超えた経験、また縦割りへの「横の回路」を形成することができた。

③地元のアーティスト、文化事業者、地域人材への経験、学習機会の提供。(実践と学び)
「貞山運河」に関わる諸活動との関わりを形成しており、さらに、アーティストや地域人材の発掘、連携を求めていきたい。


人や地域と作品、文化と行政をつなぐ状況作りを試みる本プロジェクトにおいて、進行段階や都度の達成目標に向けた企画と働きかけとが必要となる。SOMPOアート・ファンドの助成は使途の規定が厳しくないため、本プロジェクトの変化し続ける現場に対し、予算面において無理なく一つ一つのアクティビティを検討し、効果的に実践するための機会創出を可能としている。この点がSOMPOアート・ファンドの助成を受けることの最大のメリットだと考えています。

当事者による記録活動活性化モデル形成事業(「3がつ11にちをわすれないためにセンター」関連事業)

活動期間2018年 7月 14日 ~ 2019年 3月 31日

活動をしてみて

1)自ら記録を残していくことの可能性
活動前後で、大きく変化したことは、次の二つである。①自分たちの地域を残す方法(ビデオカメラによる映像記録)を自ら手で使えるようになった。②どのような映像を残すことが出来るのか否かを考えながら、インタビューを選ぶなどのマネジメントができるようになった。
さらに「星空と路」で展示する機会を提供したことにより、映像をどのように見せていくか(編集すること)についても考えるようになってきている。また、今回の記録活動をきっかけに、震災後の居住地域移転後、関わる機会が減っていた住民同士が顔をあわせる機会の増加にもつながった。
今後は、必要に応じて技術支援を続けるとともに、映像の残し方や利活用の仕方について考えていく。

2)「話を聞きあう」空間の提供
家族、友人、職場の同僚や親しい間柄同士で、知っているようで知らなかった震災時の経験や思いがあったことが、記録された音声データから分かった。二人きりの密な空間で少し緊張感をもちながらも、安心して話せる空間を用意したことが、今回の貴重な言葉を残す結果につながったと考えられる。今後、運営方法について改善していきながら、より多くの声を集めていく。また、あわせて記録したデータの利活用について検討を重ねていく。

川俣正/仙台インプログレス・新浜

活動期間2019年 4月 1日 ~ 2020年 3月 31日

活動をしてみて

本プロジェクトは、まずは動きはじめ、そこから起こる地域住民の声を拾いながら進めてきた。「みんなの木道」は、震災後、あらためて防災林植生のためのかさ上げがなされた新浜地区の沿岸部で、沿岸部へ続く道の一部として制作された。これまでにも、地域住民の主導により史跡を巡るフットパスなどが開催され、沿岸部へ行くことができる機会はあったが、そこに木道という人が歩くことのできる作品があることで、沿岸部へ行くことの意識が明確になり、より身近に感じられるようになったのではないかと思う。
様々な調整の必要性により「みんなの橋」ができるまでは、まだ時間がかかるが、少しずつ「仙台インプログレス」の試みも根付き始め、地域住民の方々や貞山運河界隈で活動するさまざまな人々への刺激になっているようである。こうして周辺の動きが活発になることで、また「みんなの橋」実現への熱もより上がっていくことが期待できる。橋の実現に向けて引き続き調整をしながら、年ごとに、新たな作品制作による周辺環境へのアプローチに引き続き取り組んでいきたい。

岡山芸術交流2019

活動期間2019年 5月 27日 ~ 2020年 2月 26日

活動をしてみて

【課題】                                      
・前回(2016年)以上に先鋭的なアート作品が集結した今回の本展は、専門家やアート愛好者を中心に非常に高い評価を集めた一方で、「作品が非常に難解でわかりづらい」という意見も多く寄せられた。→わかりやすい解説についての工夫と、作品の理解を深めるパブリックプログラム等の実施により、多くの来場者が楽しめる仕掛けづくりが必要。      
・当初の目標を大きく上回る来場者数を記録したものの、地元における認知・理解度が充分とはいえず、岡山芸術交流が広く市民に浸透したとは言い難い。                

【次年度以降の継承・展開】                              本展(2022年を予定)へ向けて下記の点を重点的に取り組みを行うことで、上記の課題の解決を図る。                                       
・岡山芸術交流2019における課題をふまえた市民への浸透プログラムの実施        
・岡山芸術交流を支える人材(サポートスタッフなど)の継続した育成及び活躍の場の提供

「日本近代洋画大展」

活動期間2017年 1月 20日 ~ 2018年 3月 31日

活動をしてみて

今回の展覧会は、日本洋画商協同組合創立60周年、東京藝術大学創立130周年の記念事業として、国立台北教育大学北師美術館と国際交流基金との共催で「日本近代洋画大展」を企画し、開催することが出来た。開催期間3か月で2万人以上の入場者を集めて大好評のうちに幕を閉じた。
明治から昭和にわたる約100年間に制作された油彩画・水彩画を日本全国から精選して、油彩画52点を2階展示室に台湾人留学生が直接学んだ東京美術学校系の作品を、3階に留学生達も影響を受けたであろう独立美術協会など在野系の作品を対置して展示して、地下には水彩画35点を一堂に並べた充実した内容で、台湾で初めて開催された本格的な日本近代洋画の展覧会であった。また、日本以外の東アジア地域で、こういう規模でレベルの高い日本近代洋画展は初めてのことである。
展示会場には最先端のAR(拡張現実)技術を導入したスマートフォンを利用した鑑賞体験ゾーンを設置した。アプリを使って記録写真、3Dイメージ映像、より詳しいインフォメーションなどが表示される仕組みである。専門的な展覧会のため、日頃関心のない人や、若い人にも興味持ってもらう工夫や現代的な要素を取り入れた。
アンケートの回答でもおおむね好評であった。
より有意義な展覧会にするために、国際シンポジウムも開催した。重要な展覧会こそ、
国際シンポジウムを行う必要がある。今回は、展示された作品だけでなく、戦争画、
近代においての台湾と日本の関係や、台湾の近代化など、重要かつ複雑な課題が幾つもでた。アートに高い関心を持つ人々でシンポジウムは、130人余りが参加するなど会場となった北師美術館は連日賑わいをみせた。
1927年に開催された第1回「台湾美術展覧会」(通称「台展」)に水彩画家・石川欽一郎が乾坤一擲の想いを込めて描いた油彩画「河畔」が偶然にも発見されて、90年ぶりに展示公開されたこと、1931年の第1回「独立美術協会展」は台北でも公開されて、その時に評判となった児島善三郎の「赤い背景」も出品されたことなども大きな話題となり、
台湾における日本近代洋画の再認識に繋がった。それだけにとどまらずに、この展覧会が両国の文化交流の大きな一里塚になってくれることを願っている。

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