現代芸術分野の若手アーティストを国内外から招聘し,滞在中の創作活動を支援する活動「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」や海外のアート団体と連携(アーティスト等の相互交流)する「エクスチェンジ・レジデンシー・プログラム」をはじめ,ワークショップやレクチャーを行う「地域プログラム」などを展開し,身近にアーティストと交流し,楽しみながら芸術創造活動を体験できる機会を提供するとともに,魅力ある地域づくりを推進した。
海外から招聘した2名のアーティストと,1名の日本人アーティストの計3名は,100日間の滞在の中で制作に集中するのに十分な時間と環境, また経済的な支援を得ることができ,今までに実践する機会を得られなかった新たな制作方法や参加者との協働によるプロジェクトなどに実験的に取組み,表現の幅を広げた。日本の文化や社会状況,歴史や地域性に強い関心を持ち,これらの要素を制作に関連づけた表現を実施・開拓した。このことから, アーティストの活動を通じて,日本の歴史や地域社会における人的・物的資源の再発見などへと繋がり,また,日本における現代芸術支援活動を国際的に発信する範囲を広めたといえる。
招聘アーティストに対しては,日本の他のレジデンス運営団体,大学機関や日本人アーティスト, キュレーターなどとの意見交換や交流の機会を多く設け,招聘アーティストが国内外において今後,滞在や制作を継続的に行うための基盤形成,ネットワーク形成に寄与した。
海外のアート団体との連携プログラムでは,ホスピタルフィールド(英国・スコットランド)と連携し,日本人アーティストを派遣,スコットランドよりリサーチャーを招聘した。招聘リサーチャーのエミー・マクラスキーは,日本発祥である合気道について調査し,インタビューや映像撮影に取り組んだ。その映像作品は自国にて発表予定。派遣アーティスト佐藤朋子は滞在先での活動レポートを2020年立ち上げ予定の文芸ウェブサイト「ENGLIFF」へ寄稿予定。2名の作品や活動報告を介した他国文化の相互理解促進が期待される。
地域プログラムでは,日比野克彦,田中彰によるワークショップを開催し,地域住民に制作体験・作品発表の機会を提供し,地域住民がより身近にアートを感じることのできる環境づくりを行った。新たな取り組みとしてアートカレッジでは5つのテーマでレクチャーを行い,今知っておくべき世界のアートの動きを紹介し, アートの意義や力をさまざまな視点から参加者と共有する期会を創出した。
以上の活動から,あらゆる世代の住民が現代芸術への理解を深め,アーカスサポーターとして本団体の活動を積極的に支援する人材が増えた。また精神科医療の現場でレジデンス運営を試みる袋田病院と恊働し,異分野を横断したレジデンスの可能性に関する意見交換を行い, さらに経験を共有する機会として報告会を開催した。
現代芸術分野の若手アーティストを国内外から招聘し、滞在中の創作活動を支援する活動「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」、ワークショップやレクチャーを行う「地域プログラム」を展開し、アーティストと交流し、楽しみながら芸術活動を体験できる機会を提供するとともに、魅力ある地域づくりを推進した。
レジデンスプログラムでは、2組の外国籍のアーティストと、1組の日本国籍のアーティストの計3組を招聘し、85日間のオンラインによる調査・制作に対するサポートと創作活動費、生活費を与え、2021年度の実際の滞在制作(予定)に向けた準備を進める環境を整えた。外国籍のアーティストは自国からICTを利用し、情報収集、国内外の研究者や専門家へのインタビュー等による調査に取り組み、日本国籍のアーティスト1組はそれに加え現地訪問もおこない、新たな調査制作方法に実験的に取組んだ。3組は共に日本の文化や社会状況、歴史や地域性に強い関心を持ち、調査を深めていった。このことから、成果発表の機会となる報告会では、視聴者に対して、アーティストの活動を通じて、日本の歴史や地域社会における人的・物的資源の再発見を促すことが出来た。
また、招聘アーティストに対しては、日本のキュレーターとの意見交換の機会を設け、招聘アーティストが国内外において今後、滞在や制作を継続的に行うためのネットワーク形成に寄与した。
例年実施している海外のアート団体との連携プログラムは、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け実施を断念したが、状況が改善すれば、2022年度以降に再び実施できるよう連携団体のホスピタルフィールド(英国・スコットランド)やその他の団体と協議を進めている。
地域プログラムでは、アーティストの日比野克彦、志村信裕によるワークショップを各1回開催し、地域住民に制作体験を提供し、地域住民がより身近にアートを感じることのできる環境づくりを行った。レクチャー・シリーズのアートカレッジは5回実施し、今知っておくべき世界のアートの動きを紹介し、アートの意義や力をさまざまな視点から参加者と共有する期会を創出した。
さらに、精神科医療の現場でアーティスト・イン・レジデンス運営を試みる袋田病院と協同し、精神科医療と芸術を横断したアーティスト・イン・レジデンスの可能性について、精神科医やキュレーター、美術家、コーディネーターらを交えて意見交換を行った。また、そこで交わされた議論をZoomウェビナーで公開し、さらに深めた。
以上の活動から、コロナ禍という状況でもあらゆる世代の地域住民、またオンラインのプログラムでは通常アーカススタジオに訪れるのが難しい遠方のあらゆる地域の人々が現代芸術への理解を深めた。
現代芸術分野のアーティストを国内外から招聘し、滞在中の創作活動を支援する活動「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」、ワークショップやレクチャーを行う「地域プログラム」を展開し、アーティストと交流し、楽しみながら芸術活動を体験できる機会を提供するとともに、魅力ある地域づくりを推進した。
レジデンスプログラムにおいては、昨年度に続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外国籍のアーティスト3組はリモートでの参加、日本国籍のアーティストはアーカススタジオでの滞在制作を行った。当実行委員会は、調査・制作に対するサポートと創作活動費、生活費等を提供し、制作に専念できる時間と環境を整え、アーティストの制作活動を支援した。2020年度から引き続きプログラムに参加しているアーティスト3組はそれぞれのリサーチテーマに合わせて制作し、オープンスタジオで成果発表を行った。2021年度から参加しているアーティストは自国からICTを利用し、情報収集、国内外の研究者や専門家へのインタビュー等による調査に取り組み、オンライン・オープンスタジオで経過発表を行うとともに、2022年度に実際の滞在制作(予定)に向けた準備を進めた。4組は共に日本の文化や社会状況、歴史や地域性に強い関心を持ち、調査を深めていった。このことから、成果発表の機会となる報告会では、視聴者に対して、アーティストの活動を通じて、日本の歴史や地域社会における人的・物的資源の再発見を促すことが出来た。また、招聘アーティストに対しては、日本のキュレーターとの意見交換の機会を設け、招聘アーティストが国内外において今後、滞在や制作を継続的に行うためのネットワーク形成に寄与した。
エクスチェンジ・レジデンシー・プログラムは、日本国籍アーティストと外国籍アーティストの共同制作を支援し、アートを通じた国境を超える制作活動に寄与した。
AIRブリッジ2021では、小規模AIR団体と連携しアーティストを招聘することで、AIR団体を支援するとともに、地域住民がアートに触れる機会を創出した。
地域プログラムでは、アーティストの日比野克彦によるワークショップ、冨井大裕による作品鑑賞ツアーとトークを開催し、地域住民に制作体験を提供し、地域住民がより身近にアートを感じることのできる環境づくりを行った。レクチャー・シリーズのアートカレッジは3回実施し、現代アートと社会の関係を読み解く期会を創出した。
以上の活動から、アーティスト育成に寄与するとともに、コロナ禍においてもあらゆる世代の地域の人々へ現代芸術にふれる機会を提供することができた。
東京島嶼部への交通の便はお世辞にも良いとはいえません。そのため本土では当たり前のように身の回りにあるものがありません。大きな楽器が必要になるクラシック音楽の演奏会も、その際たるものです。今後も、こうした訪問活動を続けることで、島嶼部にお住いの方々に喜んでもらえれば、と考えております。
活動をしてみて
現代芸術分野の若手アーティストを海外から招聘し,滞在中の創作活動を支援や海外のアート団体と連携(アーティスト等の相互交流)する「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」を始め,日比野克彦氏によるワークショップなどの「地域プログラム」を展開し,身近にアーティストと交流し,楽しみながら芸術創造活動を体験できる機会を提供するとともに,魅力ある地域づくりを推進した。
海外から招聘した3名のアーティストは,110日間の滞在の中で制作に集中するのに十分な時間と環境, また経済的な支援を得ることができ,今までに実践する機会を得られなかった新たな制作方法, 新しいメディアでの制作や参加者との協働によるプロジェクトなどに実験的に取組み,表現の幅を広げた。3名とも日本長期滞在が初であったため,日本の文化や社会状況,歴史や地域性に強い関心を持ち,これらの要素を制作に関連づけた表現を実施・開拓した。このことから, アーティストの活動を通じて,日本の歴史や地域社会における人的・物的資源の再発見などへと繋がり,また,各アーティスト出身国の在日大使館との連携を深めるほか,日本における現代芸術支援活動を国際的に発信する範囲を広めたといえる。
招聘アーティストに対しては,日本の他のレジデンス運営団体,大学機関や日本人アーティスト, キュレーターなどとの意見交換や交流の機会を多く設け,招聘アーティストが日本において今後,滞在や制作を継続的に行うための基盤形成,ネットワーク形成に寄与した。
海外のアート団体との連携プログラムでは,ホスピタルフィールド(英国・スコットランド)と連携し,2名の日本人アーティストを派遣,1名のキュレーターを招聘した。派遣したアーティスト青柳菜摘が帰国後,2019年よりICCでの展示に参加した。また,今回の連携が発展し, 2019年度には日本と英国のそれぞれ3団体(アーカス含)の協働による,より広範な2国間の交流事業の実施が予定されている。招聘キュレーターは,「日本の芸術教育の取り組み」への関心や「日本人アーティストの発掘」をリサーチ活動の主軸とし, 東京藝術大学の教授やアーカス過去招聘アーティストへのインタビューのほか,若手アーティストのスタジオ訪問など精力的に日本のアートシーンを調査されたため,将来的な日本人アーティストとの協働が期待される。
地域プログラムでは,日比野克彦氏によるワークショップを開催し,成果発表の展示を行うなど,地域住民に制作体験・作品発表の機会を提供し,地域住民がより身近にアートを感じることのできる環境づくりを行った。
以上の活動から,あらゆる世代の住民が現代芸術への理解を深め,アーカスサポーターとして本団体の活動を積極的に支援する人材が増えた。また県内外でレジデンス運営を試みる他の自治体と,レジデンスを通じた地域づくりに関する意見交換が活発になった。