(2)達成できたこと
コロナ禍の影響による3年ぶりのリアル開催では、規模は小さくなりましたが、「初めて人前で踊る」という子ども達も一定数おり、実際の観客の前で踊る楽しさや感動を提供することができました。演舞直前の緊張感、演舞後に拍手をもらう達成感等、オンライン開催では体感できなかったことも多く、参加者からも「開催してくれてありがとう」という声を多くいただきました。
また、このコロナ禍で世界中に広がったオンラインでの輪も、リアル開催とは別日にオンライン開催をすることによって、「世界中の参加者がチャットメッセージで交流する」「自分たちの出番をゆっくりと自宅やスマホで居ながらにして見られる」というリアル開催では体感できない「オンラインならでは」の良さを提供することができました。今年も、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、カナダ、ハンガリー、タイ、シンガポール等、世界中からの参加を頂戴しました。
(3)現状の課題
リアル開催では、申請書にも書かせていただきましたように、どれだけの子ども達を中心とした踊り子が戻ってこれるのか、という点がありました。結果、特に学校園等からの参加チームは減少しました。これは、コロナ禍で中断していた運動会などの学校行事は再開されても、ダンスや民謡演舞など密を伴うものは再開されず、競技種目のみの簡潔化されたものになったことや、たとえ取り組みが再開されても、学校の外のイベントや祭りに参加することへのハードルは高いままであったことが挙げられます。
また、大人の参加チームについても、コロナ禍でメンバー数が激減するなど、この3年超にわたるコロナ禍が落とした影は非常に大きなものとなっています。
ただ、実際に開催をしてみて、子ども達を中心とした踊り子が、踊りやダンスを通して学ぶ社会性の大切さは、改めて重要だと感じておりますので、子ども達への働きかけをどのような形で進めていくのか、それが大きな課題となっております。
(4)今後の改善点
(3)で記載したように、学校園単位での参加は、なかなか元に戻らないと考えております。戻らないからといって、これまでのやり方を踏襲し続けるのではなく、新たな声の掛け方を模索してまいります。幸い、活動自体(踊りやダンスという文化芸術面の素晴らしさ)への理解は減ることはありませんでしたので、今一度スタッフが一丸となって、活動の輪を広げてゆくことが大切です。
(5)自己評価
23年にわたる民間NPOの活動としての自負を持ちながら、コロナ禍でもなんとかして子ども達に活動の場を、と継続してまいりました。コロナ禍は終了したわけではありませんが、ようやく先が見えてきた、そのように感じています。
しかし、このコロナ禍で中止や終了に追い込まれた地域行事やイベントも多く、その背景にはコロナ禍を理由にした「大人の手抜き」も多く存在するかと考えています。子ども達に感動の場を提供するのは大人の責任である、という私たちの活動の原点を思い返し、少なくとも私たちだけでも「本気」を出して、次年度以降の取り組みにつなげてまいります。
(6)「2021芸術・文化による社会創造ファンド」採択によるメリット
毎回書かせていただいておりますが、今回も、特に企業にとっては、損金扱いにできるこの仕組みを使わせて頂くことが多く、心から感謝しています。そして、採択を頂けていることによって、活動の「社会的信用」にも大きくつながっています。
広島県の豊かな自然と伝統に育まれた文化の発掘,継承,育成を図るとともに,新たなひろしま文化の創造を目指し,喜びと感動をわかちあうことのできる県民の祭として,けんみん文化祭ひろしまを平成2年度から継続的に開催をしている。今年度においても,多くの出演者に対し,日頃の成果の発表の場を提供し,また,多くの来場者が文化芸術に触れ,親しむ機会を創出する等,県内の文化活動に大きく寄与できたと感じており,今後も継続していきたい。
資金集めにやはり今年も苦労しましたが、会場提供や出演機会提供など資金以外の協働も増えてきて、予定の事業はほぼ行うことができたと思います。また、ArtsFundによる信頼感のサポートにより個人からの小さなご寄付も集めることができました。まだ普及していない、文化芸術により福祉と社会(経済)をつなぐ事業ですが、協働者が日本全体に広がりつつあることで、私たちの活動がその一端を担っていくことが感じられました。
NFT画廊準備が道半ばでしたが「To know あなたが何かを知るために」即興演劇作品及び「アートノカケラ」活動の実施及びデジタル化の段階まで大きく進めることができ、福祉界隈のみならず不特定多数の人へ「特性から生まれる文化芸術活動の価値」の認知を進められたと感じます。
また、活動に参加している障害のある若者の成長が目覚ましく、このことを広く発信するためにも最後のイベントではアカデミックなゲストを招き、障害当事者やご家族も含めた対話で活動効果を検証し合いました。「もともと障害が軽い人が集まっているのではないか」とみられることがありますが、成長を感じられているご家族から「体験を重ねる場があることで子供の人生が180度変わった」というご発言をいただき、障害や支援とは何か考えさせられます。
多様な人々による小さな交流の場が、回を重ねで人を育て合い、社会に理解を広げていくことを体感しております。
以上のようにプログラムの成果は大きかったので、今後も事業をより安心して進めていくために、効果的な広報や資金調達、営業的な人材確保がまだまだ課題だと感じています。
さまざまな応援をいただきまして、ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今回は特に、一般部門のエントリー者が過去最多となり喜ばしい限りでした。
世界的に有名な海老彰子氏を審査員に迎えたことも影響しているかもしれません。審査員の人選は大切だと思いました。
第6回ということで、これまで以上に知名度が上がってきていることも実感しました。
今回の参加者の一人、一般部門で第3位受賞、併せて聴衆賞も受賞した重森光太郎さんが、昨年秋にフランスで開催された「ロン=ティボー国際音楽コンクール」で、見事4位に入賞されました。この「いしかわ国際ピアノコンクール」から世界に羽ばたくピアニストが誕生したと、スタッフ一同大変嬉しく、誇らしく思いました。
活動をしてみて
今年度は前年度に比べ、新型コロナの影響が少しずつ緩和され、寄付件数も回復傾向となったことから、前年度よりも多くの学生を公演に招待することができました。来年度もこれまでご寄付いただいた企業・個人の方々に加え、当団の活動理念にご賛同くださる方を積極的に募り、継続的にご支援いただけるよう活動して参ります。