今回、助成金をいただき、本事業を実施したことで、目標とする来場者数30万人を達成することができ、開催による経済効果についても、全国の経済波及効果16億5,830万円とパブリシティ効果13億0,018万円を合わせた、29億5,848万円と推計いたしました。
また、参加者数は目標に掲げていた10万人には達しなかったものの、「共につくる、参加する芸術祭」というコンセプトのもと、作品制作の過程に多くのサポーター(ボランティア)や市民が参加するなど、アーティストと市民との間で様々な文化的交流が行われました。閉幕後も、サポーター有志により、さいたまトリエンナーレを振り返るシンポジウム(さいトリ未来会議2016)が開催されたり、サポーターによるトリエンナーレの記録集が作成される(6月発売予定)など、市民の文化芸術活動をサポートする取組が継続されることで、「文化芸術都市さいたま市」の認知度向上及び機運の醸成が成されたと考えております。
さいたまトリエンナーレ2016では、「場所性を重視し、遊休施設や屋外空間を活用してプロジェクトを展開する」ことを特徴の一つとして、開催テーマに照らして、それぞれ異なる3つのエリアを選定したうえでプロジェクトを展開しました。その結果、場所性にこだわった作品ができあがり、トリエンナーレが地域の魅力を再発見するきっかけとなったと考えております。
その一方で、こういった場所におけるプロジェクトの展開は、既存の芸術・文化のための施設での開催と異なり、ふさわしい場所の選定に時間がかかるなど、会場の確保が困難であったことが今後に向けての課題と考えております。
文化は長い歴史と風土の中で育まれていくものであり、時間をかけて文化の振興を図る必要があることから、今回のような国際芸術祭については、継続的に開催したいと考えております。
次回の開催については、今回の事業の評価を踏まえながら、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムとしての実施も視野に入れ、開催時期や手法等の見直しも含めて、検討していきたいと考えております。
報告画像① 大友良英+Asian Music Network《Ensembles Asia Special》(2016)
photo : KUTSUNA Koichiro, Arecibo
報告画像② アイガルス・ビクシェ《さいたまビジネスマン》(2016)
photo : KUTSUNA Koichiro, Arecibo
報告画像③ 川埜龍三《犀の角がもう少し長ければ歴史は変わっていただろう》(2016)
photo : KUTSUNA Koichiro, Arecibo
報告画像④ 目 《Elemental Detection》(2016)
photo : KINUGASA Natsumi
報告画像⑤ ユン・ハンソル《サイタマ・フロンテージ》(2016)
photo : KUTSUNA Koichiro, Arecibo
当日は、4歳から85歳までと幅広い年代の方々100名以上にご来場いただき、好きなアクティビティに参加したり、ただ座って歌に耳を傾けたりと、各々好きなことを好きなだけ、くつろぎながらその空間を楽しんで頂けた様子でした。
イベント終盤には、全員で「上を向いて歩こう」を歌い、空間を共にしているだけの他人同士にもかかわらず、なにか温かい一体感のような雰囲気になったのが印象的でした。カラオケを通じて『歌でつながる』ことが実現できたような手応えを感じました。
【お客様の声】
「私たちの本当に身近にあるカラオケを通じて国や世代を超えてコミュニケーションが図れるのは本当に素晴らしいことですし、まだまだアイデア次第でいくらでも幅を広げられる大変フレキシブルな試みですので、これからの展開が楽しみです。」(50代男性)
「娘と参加させて頂き、現場では非常に緊張をしていた娘ですが、家に帰るとさっそく工作でマイクを作って歌ったり、踊ったりと、土曜日・日曜日の二日間はとにかく影響を受けて歌いまくっていました。アートというものに触れ、その瞬間は縮こまってしまっていても、しっかりと影響を受けているんだなあと、とても感慨深いものがありました。」(30代男性)
【今後の展望について】
The KARAOKE Projectは日本発信型カルチャーであり、今回の実施で国も世代も超えてつながる可能性を見出すことができたように思います。今後、このプロジェクトを日本のみならず世界に発信できるような形に発展させていくべく、現在オーストラリア・チームと協議中です。今回、その第一歩を踏み出せましたのは、企業メセナ協議会さまのご支援があったからです。心より感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの影響で、人が集まって生の芸術を楽しむ行為が不可能となりましたが、厳しい数か月を経て、今回9月末より全6回の公演を無事に終えることができました。
まず、対策としては、客席数を限定30席とし、客席とステージは十分なソーシャルディスタンスを確保。公演開始と終了後におこなう客席の消毒作業や電子チケットによるチケットレス化等、ガイドラインに沿った感染防止対策を徹底して開催しました。
その中で、お客様からは様々な感想が寄せられましたが、共通していた印象的なことは「コロナ禍での癒しを生の芸術に求めていた」というお声でした。
人と話すこと・集まることが憚れる中で、新たなツールとし配信によるコンサートがおこなわれました。これらは危機的状況への打開策ではありましたが、一方でより生の芸術を渇望させるきっかけともなり、公開での公演の必要性を逆説的に証明したとも考察できます。
今回の公演を通して触れることのできたお客様の声により、これまで日常的におこなわれていたイベントが、いかに私たちの生活に潤いをもたらし活力になっていたか、ということを再認識致しました。
2020年11月現在では第3波が到来しつつあるとの見解も見受けられ、先の見えない状況ではありますが、できる限りの対策をとりつつ公演を続けていくこと自体に意味があると実感致しました。
まだまだ世界のアートシーンから見て、日本のアートが遅れていることを実感します。世界のアートフェアの状況を一人でも多くの方々に知ってもらえたらと思います。
現代アートの市場は約2兆円で、10年前の2倍となっています。そのうち、アメリカとアジアのマーケットが60%近くを占めています。アジアでは、香港が現代アート市場の中心的役割を果たし、欧米のギャラリーは続々とアジアに支店を出しています。しかし、現代アートという領域がこれほど大きく拡大していることは、国内の一般的な認識として浸透しているとは思えません。アジア各地での現代アート・コミュニティが、日本抜きで動いているという危機感がある中で、福岡のアートフェアが果たす役割は大きいと思っております。
活動をしてみて
Tarinof dance companyの新作公演であり、日本でははじめての単独公演として『Coco』を座・高円寺にて上演しました。
主宰である坂田守・長谷川まいこは、近年、作品ごとに異なる世界観を生み出すことに挑戦しており、それは作家として試行錯誤の連続ですが、本公演に携わったスタッフのチームワークの素晴らしさと、その周りを多くの関係各所のみなさんがサポートしてくださったことによって、無事に終えることができました。
平日のみの開催、また公演運営上の都合により、開演時間が少々はやめのスタートだったので、集客面の心配がありましたが、多くのお客様にご来場いただいたことに加え、まだTarinof dance companyの作品を観たことがない舞台関係者、批評家の皆さんにもお越しいただけたことは、これからの活動を進めていくうえで大きな糧となるでしょう。
寄付への呼びかけとしては、これまで関係のあった個人・企業の方を中心にご協力を依頼いたしました。また、すぐには支援には結びつかないような企業の方とも、事業を認定していただいたことをきっかけにつながりを持つことができました。ご支援いただいた方々、またこのような機会をくださった企業メセナ協議会様に心から感謝申し上げます。
今後も作品を通して多くの方と出会い、私たち自身も社会とつながり、芸術を通して新たな価値を創造することに挑戦してまいりたいと思います。