今回、本プロジェクトで取り組んでいる下張り文書は「エヴォラ屏風下張り文書」と称されるものである。同一屏風の下張り文書が400年を超える時のなかで、エヴォラとリスボンに分断されて歳月を重ねて来た。リスボン、ポルトの下張り文書を修復することによって日本の歴史の隠されていた事実が明らかになりつつある。
本プロジェクトは二国間に股がる連携が必要とされる。国情や歴史認識の違いを乗り越えて作業を進めていくには時間が必要とされるということをあらためて痛感した。
既に返還した下張り文書についてはスムーズに進行したが、ポルトガルの政権が交代し担当部局の責任者が代わったことで今までになく手続きに時間を要した。慣習の違いとはいえ、相手国のレスポンスが遅く事務手続きが思うように進まないことを実感した。
本プロジェクトを理解し支援してくれている方々が現地の視察と協力要請にポルトガルまで出向いてくれたのは心強く、嬉しかった。今しなければ伝え残していくことが出来ないこのプロジェクトの意義を改めて支援者とともに認識し、成し遂げなければならないことと確信した。
企業協賛を募るにあたって理解はしてもらえるが、企業との関係性・メリット、投資家への説明責任が最優先されるのが現状で、このような文化振興と継承への寄付要請の難しさを感じる。
地元の小さな町にたくさんのご協力を頂いたこと、
すべての皆様のお力により開催できたことを心より感謝しております。
アーカスプロジェクト実行委員会では,海外から現代芸術分野の若手アーティストを招聘し,滞在中の創作活動を支援する「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」を核として,「地域プログラム」では日比野克彦氏によるワークショップや,教育とアートの融合を図るアートエデュケーション構想事業などを展開し,身近にアーティストと交流し,楽しみながら芸術創造活動を体験できる機会を提供するとともに,魅力ある地域づくりを推進した。
アーティスト・イン・レジデンスプログラムでは110日間にわたるアーティスト・イン・レジデンスを実施したことで, 3名のアーティストは制作に集中するのに充分な時間と環境, また経済的な支援を得ることができ, 今までに実践する機会を得られなかった新たな制作方法, 新しいメディアでの制作や参加者との協働によるプロジェクトなど実験的に取組み, 表現の幅を広げた。3名とも日本長期滞在が初であったため, 日本の文化や社会状況, 歴史や地域性に強い関心をもち, これらの要素を制作に関連づけた表現を実施・開拓した。このことから, アーティストの活動を通じて, 日本の歴史や地域社会における人的・物的資源の再発見などへと繋がり, また各アーティストを通じて日本における現代芸術をはじめとする文化芸術活動を国際的に発信する範囲を広めた。
招聘アーティストに対し, 日本の他のレジデンス運営団体, 大学機関や日本人アーティスト, キュレーター, さらには県内で開催された茨城県北芸術祭で再来日を果たした過去アーカス招聘海外アーティストなどとの意見交換や交流の機会を多く設け, 招聘アーティストが日本において今後, 滞在や制作を継続的に行うための基盤形成, ネットワーク形成に寄与した。現役招聘アーティストらは, 過去に招聘したアーティストと面会し経験を聞く, またはリサーチに協力してもらうなどの機会を得られた。
地域プログラムでは、市内の小学生を対象としたプログラムを学校・教育委員会との連携のもとに実施し、アート活動を通じて児童の想像力を育む取り組みを行う、また日比野克彦氏によるワークショップを開催するなど、地域住民に制作体験の機会を提供し、地域住民がより身近にアートを体験することが可能となる環境づくりを行った。
活動をしてみて
集客は相当に伸び悩み、直前に招待を出したところ招待客はかなり来場した。また、来場者の評価は有償来場者も含め比較的高かった。実際のクオリティと価格バランスには問題がなく、一般的な関心度もあるが、それでも集客には繋がらないため、実施スタイルについては抜本的な方向性の見直しが必要。子供の発表と勘違いされない工夫を凝らす、入場料に頼らない資金繰りをして入場料を抑える、ワークショップを中心として子供の体験事業を中心とする、地域の別事業と提携するなど。
また、各団体とのコミュニケーションはメール・電話がほとんどであったが、リハーサル時に一部混乱を生じることがあった。直接事前の打ち合わせは必要。
我々としては今回の事業により、日中伝統芸能団体との繋がりが更に広がり、また在日外国伝統芸能団体という特異な立場ならではの実績を積むことができたと考えている。これまでは京劇を中心とした活動をしていたが、その枠を超え、子供たちを中心とした異文化交流と広くアジアの伝統芸能継承を推進するために、より多くの団体に積極的にアプローチして多分野協同のプロジェクトを推進していく。そして、オリンピック開催年に向けて国際性の機運を高める一翼を担う。