2022年9月より当財団の名を冠したホール、HalleRundeで公演を重ねております。
2023年秋から2024年春にかけても少しずつ、近隣地域へのホールの認知とともに、コンサートへの新しいお客さんが増えてきております。毎回のように聴きに来て頂く聴衆も増え、さらに活動の認知を広げて生きたいと思っています。
当面の目標である、毎回のコンサートの有料入場者100名を目指してさらに魅力的な公演をつづけていきたいと思います。
寄附金に関しては、室内楽コンサートが地域文化にあたえる影響の実益の部分が伝わりにくく難儀をしておりますが、 引き続き粘りづよく近隣の法人へお願いにあがり続けたいと思っております。
2023年、新型コロナウィルス感染症が第5類感染症に移行したことに伴い、それまで行われていた様々な制限が緩和され、人々の往来や活動が戻りつつある年となりました。
開催期間中の来場者合計が約130,000人、1日あたり約14,444人となり、前年に比較してプラス38%UPという結果となりました。
2023年は「全国公募展」とその入賞アーティストのグループ展「アートパラ・マーケット・フェア(AMF)」を交互に開催するという2年シークエンスへ移行した最初の年となります。
全国公募展の開催年を「萌芽の年」、グループ展の開催年を「輝きの年」と位置づけ、新たなアーティストと作品の発掘、およびこれらに光をあてる事をパートナー企業様の力を借りながら、2年セットで丁寧に実施することにした最初の年でもあります。
「輝きの年」となった2023年、「アートパラ・マーケット・フェア(AMF)」では期間限定のECサイトを導入し、240万円超の売上を記録し、全額アーティストへ還元することが出来ました。また「アートパラ・マーケット・フェア(AMF)」開催期間中、多くのアーティストがご家族や支援者等に伴われ来場されました。皆さんご自分の出展作品の前でにこやかに記念写真を撮られていたのがとても印象に残りました。
芸術祭「響きあうアート宗像」では、歴史ある建物と町並みと一体となった作品群と訪れた人の心とが響きあい、各々に感動の記憶を残すことができたことから、次回を期待する声を耳にします。今年度はその実績を振り返り、出展作品と宗像の精神性についてより深く学び、今後の土台固めと方向性を強固なものとし、そのことにより、次年度は宗像の精神性と芸術の関わりをもって、県外や海外に芸術のある大島の魅力を発信し、一度は訪れてみたい島、観てみたい芸術祭を目指します。
課題としては、予算集めは厳しく、会場案内のサイン等が不十分だったこと、また、事業の規模に対して実行委員、ボランティアの人手不足だったことが挙げられる。
2021年も新型コロナウイルスの流行の影響を大きく受けた年となりましたが、ワクチンの接種が進み、社会が徐々にウイルスとの共存の道を歩き始め、「ニューノーマル」な社会生活へと移行を始めました。国際渡航の制限も2022年より段階的に解除され始め、ACCの主たるグラントプログラム事業の実施も再開することが出来ました。
ニューヨークフェローシップの三野新氏は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の公共図書館やアーカイブでエドワード・スタイケンのリサーチを行いながら、ニューヨークの美術館や展覧会、劇場を訪れ、ワークショップやパフォーマンスに参加しました。その中で、地域で社会的・政治的問題に関わる人々が真摯にアート作品を制作していることに衝撃を受けたと言います。 「渡航前は、自分の作品のテーマを模索していましたが、最も重要なテーマは、自分が当事者であるコミュニティ、人種特性、国に関する問題であることに気づいた。今回のフェローシップは、今後の日本でのアート活動について考える機会となった」と語っています。
同じくニューヨークフェローシップの田中みゆき氏は、ニューヨークをはじめ、シカゴ、ワシントンD.C.、サンフランシスコなどの都市で、アートにおけるアクセシビリティとインクルーシビリティについて研究しました。また、多くの講演会やシンポジウム、研修会に参加し、同じ関心を持つ多くのアーティストや実践者とアートをもっと身近なものにするにはどうしたらいいか、その過程で何を考えるべきか、どのように人々と関わっていくべきかについて意見を交換しました。 「フェローシップのおかげで、研究テーマだけでなく、アートの鑑賞や発表全般において、私の視点が変わりました。アートの中にある政治性、制度的抑圧、社会構造をより意識するようになり、それは日本にいたらできなかったことです」と語っています。
ACCのフェローシッププログラムは作品制作といった成果物を前提とせず、自身のリサーチのためだけの海外での滞在の機会を提供しています。アーティストが異文化の中に実際に身を置き、現地の人々と交流しながらのリサーチに集中することによって、自身の視点や思考に大きな変化を起こすーそれがすなわちグローバルな相互理解につながるのだということが、両氏のコメントに表れていると思います。
この期間を通して、非対面のコミュニケーションツールが大きく発展、普及し、対面でなくても交流を図ることが出来るようになりました。しかしながら、実際に対面での交流が再開されると、対面でのコミュニケーションによって得られる情報の量や速度、そこから生み出されていく新たな出会いや機会の多さに大きな差があり、その大切さに改めて気づかされました。その意味で、グランティの渡航や支援者を含めた交流が可能となったことは大変喜ばしいことで、今後も非対面の利便性を活用しつつ、対面でのコミュニケーションによるエンゲージメントの向上につなげていきたいと考えています。
ロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢が不安定さを増す中、ACCで行ってきたアーティストや研究者、アートの専門家に国際文化交流の機会を提供する事業とともに、国際文化交流の重要性を人々によびかける活動にもさらに重点を置いて続けていくことが、調和のとれた平和な社会の創造に寄与するために必要なのであると感じています。
活動をしてみて
2015年に活動を開始して以来、コロナ禍の停滞を経て、活動を拡大させてきている。特に、コロナ禍以降、開催回数と参加人員は飛躍的に増加している。
本事業に掲げている「クラシック音楽を通じた感動の共有」「演奏家と社会をつなぐ演奏機会の創出」「地域コミュニティの活性化」の3つの目標が、社会に広く認知され、浸透し始めていると実感するところである。実際、感動の共有を基軸に、「日常に音楽が溢れる街」づくりを目指して、ライブ開催に向け、群馬県太田市、東京都豊島区、奈良県奈良市など、いくつかの自治体、企業、団体や個人による地域連携、組織連携がさまざまな形で進んできている。さらに、内閣府孤独・孤立対策室の官民連携ネットワークの総会で当財団の活動を紹介する機会を与えられたり、東京都の「笑顔と学びの体験活動プロジェクト」に採択されたり、行政からも関心を寄せられるようになってきている。
また、様々な事情により支援を必要とする親子・それらの支援団体や市施設にライブを届ける子どもプロジェクトの届け先も前年比+80%に増加した。遠隔地・島しょ部でのライブ開催にも継続して取り組んでおり、全国に幅広く展開できたと考えている。
開催回数の増加に対応して、良質な演奏家の確保と育成システムを整備してライブの質の維持・向上の確保に努めるとともに、システム化や分業化の推進により、開催に向けた企画制作、演奏家手配、チラシ制作・プログラム調整や諸連絡などの業務の徹底効率化も推進している。
総じて、活動は順調に推移してきていると考えているが、さらに、心のケアや社会課題の解決に資する社会インフラの一つに成長できるよう、取り組んでいきたい。