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活動者の声

能リ・イマジンドxNature Unwrapped 東京公演

活動期間2022年 3月 9日 ~ 2022年 6月 30日

活動をしてみて

現地での評価
1. コロナ禍、現地での歴史的な鉄道ストライキにも拘らず予定通りにプログラムを実施できた。また、現地の聴衆や関係者から高い評価を得ることができ、参加した能楽師、イギリスのアーティストからも大きな収穫と達成感があったという感想が多かった。国際協働、国際文化交流の視点からも成果を生むことができた。
聴衆の評価:全体で80%以上の集客率。メイン会場であるホール1のプログラムは24日が98%、25日が99%だった。この数字は会場にとっても稀にみる良い成績だった。更に、4年前と比べ聴衆の能に対する興味、関心が確実に高くなっていると実感した。どの演目でも熱狂的な拍手が起き、特に古典演目では大勢のスタンディングオベーションがあり、能楽師もアンコールで気持ちよく応えた。
関係者の評価:会場のスタッフや会場のアーティティックディレクターHelen Wallaceの評価も非常に高く、継続して能リ・イマジンドを共催していく意欲を示し、すでに2年後のフェスティバルの日程の打診があった。

能が表現する自然と人間の対話や関係を、現代社会における重要なメッセージとして発信できたかどうか。

フェバルのテーマである「花の精」の背景説明は、佐野登氏とロンドン大学の田口和美先生によるオープニングトーク(字幕と謡のワークショップを含む)で聴衆にテーマの本質を理解頂けたと思う。これは無料イベントで招待枠もないイベントだが230名の参加があった。また、「藤」のように、静謐で草木の精を表現する能の曲を、大半が能を見たことがないロンドンの聴衆が、息を凝らして鑑賞した。舞台から能楽師全員が退場するまで待ち、割れるような熱狂的な拍手をおくった。ロンドン大学のAndrew Gristle博士の能を知る為のセミナーでも、フェスティバルのテーマについて触れて頂いた。有料でも多くの参加者があった。(イギリスでは無料のレクチャーが多い)。以上能に対するロンドンの聴衆の関心の高まりが伺えた。

国際協働プロジェクトと新作の初演は成功したか?
協働したアーティストの中でThick&Tightのように、イギリスでも先駆的な現代舞踊のアーティストが 委嘱作品「Two Moths in Real Time」を通じ、「能リ・イマジンドに参加することで、より大きな芸術的表現の自由を得ることができた。」と感想を述べた。 Thick & Tight, Evansとのプロジェクトは今後も継続していきたい。また、美術家のCerith Wyn Evansと一噌幸弘による能管と現代美術のコラボレーションの初演も成功した。

「変幻化2022」は、文化と分野を超えた協働に欠かせないと思われる信頼関係、柔軟でオープンな態度、お互いの立場や考えの尊重、情報やスキルの交換を実現した作品となった。能楽師とイギリス人アーティストが濃密なコラボレーションの時間と空間を共有した。能楽師は、イギリス人アーティストの未知な芸術分野に挑む前向きでプロフェッショナルな姿勢、柔軟性、高い芸術性、人間性に感銘し、能楽とは何かと考える機会を持った、等の感想があった。イギリス人アーティストらも、能の伝統と自分たちの芸術が繋がる瞬間は、刺激的で貴重な経験であったと述べている。


能スパイアされて制作したイギリス人アーティストによる3つの委嘱作品(「Two Moths in Real Time」,「Sumida River in Sign Language」,「Noh (A-Drift)」について

これらの委嘱作品はコロナ禍の為、予定した日本での能の研修やリサーチに遅れや中止があった。イギリス人アーティスト、能楽師らとオンラインのミーティングを継続し、最終的には世界初演が達成されたが、委嘱作品は、イギリス国内におけるアーティスト独自のリサーチに頼る部分が大きかった。今後、協働する海外のアーティストに体系的に、能楽に関する情報を提供する手法を開発する必要がある、と感じた。

今後の対応と課題について

次回は早い段階から、実行委員会、会場、関係者、能楽師と討議し、どのように聴衆に作品を見せ伝えるかを考えていきたい。また、能を外国人アーティストの伝える手法の開発のプロジェクトをプロデュースし、能楽師、イギリス人アーティストを交え取り組んでいきたい。

参加能楽師からのフィードバック

(佐野登、シテ方)イギリスでの公演は初めてだったが、過去に経験した海外公演より、ロンドン(イギリス)の聴衆の関心の高さを感じた。能を軸にした物事の伝承について、次回はもっとできる事があると思った。外国人アーティストとの協働については、引き続き能の根底にあるものを教え、更に深く理解して貰えたら、更に良い作品を協働で制作し発表できると思う。

(田邊恭資、小鼓方)能の囃子方は、普段は極めて閉鎖的な状況で演奏している。和楽器奏者でも現代では五線譜が読めないと活動でない、という話はよく聞くが、能楽師はほとんど読めないし、またその必要もない。今回はあえて西洋音楽的な発想による新作曲を演奏することで、どの程度まで古典的な囃子の技法が活用可能か、また不可能かを知り、能の囃子の普遍性と特異性の境を実際に確認するよい機会になったと考えている。また、コラボレーションしたイギリス人アーティスト達が、非常に前向きに好意的に取り組んで下さったことに励まされた。聴衆のかなりの数の方が能に興味を持っているのを実感できて嬉しかった。

(姥浦理紗、太鼓方) イギリスの観客の好奇心が能の雰囲気を感じ取り、最後の余韻まで浸って下さったことは、とても嬉しい事ですごく驚いた。素晴らしいと思った。
「変幻化」の2番目の曲「12拍子の三番叟」のThick & Tightの振り付けで、まだ本人たちが決められない部分がありロンドン現地でリハーサルと、能楽師やスタッフとのアイデア交換を行った。五穀豊穣のテーマを掘り下げることによって豊作や収穫を祈り、感謝するという世界共通の営みから生まれる伝統行事や踊りがある等話し合った。イギリスの文化と能における三番叟との両方の視点を合流させ、生まれた素晴らしい作品になった。新しいダンスをThick&Tightが生みだした瞬間は、真の意味で日英の文化交流ができたようで感激した。その後、本番で私たちの囃子に合わせて踊った彼らの十二拍子の三番叟は、間違いなくThick&Tightのオリジナルでオーセンティックな作品だった。また、短い時間で難解な曲に取り組んだリコーダー奏者のPiers Adamsのプロ意識と、自由な音楽性、誠実で真摯な態度に大変感銘を受けた。(以上)


本事業を通じ、海外のアーティストと聴衆の能楽に対する関心と能リ・イマジンドに参加する関心を更に創出する事ができたと思う。また、能楽師とイギリスのアーティストとの信頼関係を構築し、芸術の新たな方向性を指し示す質の高い事業を成功させるという目標は、ある程度達成することができた。 また、以下の質問については、全員が以下の質問について、能楽師全員が、「そう思う。」または「大変にそう思う。」と答えた。

質問:今回のロンドン公演で能リ・イマジンドの目的が達成されたと思いますか?

目的「能リ・イマジンドは、能と海外の現代芸術との協働による、オープンで創造的なプラットフォームを確立する為に、英国においてフェスティバル及びワークショップの実施、国内外の芸術団体とのパートナーシップの構築、プログラミングのリサーチ、海外の芸術家との協働の為の手法の開発を行う。様々な芸術分野が融合、凝縮し、洗練されて成り立つ能は、日本の芸術分野の発展に影響を与えて来たが、能が世界レベルで現代の芸術文化と聴衆が模索する新たな表現のインスピレーションと創造の源となる可能性をさぐる。」


<達成されなかった点・改善すべき点とその理由・根拠>

今回はコロナ禍で、当初予定していたイギリス人アーティストとの国内におけるリサーチやリハーサルの時間と空間の共有ができなかった。 次回は、イギリス人アーティストに能舞台を日本で見てもらい、解説、楽器や謡の説明、実際に楽器を手に取ってワークショップ行う、などのプログラムを行い、能楽に対する理解を深めた上で、作品作りに取り組むプログラムを作る努力をしたい。

また、今回もシテ方2名、囃子方4名の能楽師の参加で、半能「藤」も、二日目の「黒塚」短い時間の上演となった。「黒塚」も本来の準主役であるワキ方がいる事で、本来の鬼女との緊迫したやり取りの持ち味が出せるので。
次回はワキ方の参加が望ましい。

一噌幸弘氏の「変幻化2022」は変拍子、ピアース氏のパートの作曲など音楽要素の工夫にエネルギーと時間を使ったが、今後は能に欠かせない要素である、ストーリー性をしっかりと考えていきたい。

<上記の達成されなかった点・改善すべき点に関する今後の対応>
イギリス人アーティストの日本でのワークショップ開催の予算確保とノウハウの確立。
ワキ方、シテ方の人数を増やして実施する為の、予算などの確保。
スケジュールの管理。



プロジェクトの国際発信力について
舞台芸術家、現代美術家、音楽家、そして「ろうあ者」であるイギリス人芸術家が、独創性溢れる新作制作に挑み能リ・イマジンドフェスティバル2022のテーマである「人間と自然の関り」を、独自の芸術分野、スタイル、表現を通して掘り下げた。
以下のイギリス人アーティストのフィードバックより目標に対する成果が伺えた。

Thick & Tight(マイムダンス)からのフィードバック:
能リ・イマジンドへの参加は、私たちの作品のスタイルに大きく影響しました。歴史も体の動きも異なる能楽とのコラボに挑戦する為に、私たちは能の動きや踊りの構造を研究し、私たちの作品に取り込むプロセスについて考えました。能楽のように型やきまりの使った新しい練習方法を開発しました。その結果、動きを制限することでより大きな芸術的自由を得ることができたのです。能リ・イマジンドは私たちの芸術性の発展のための素晴らしい体験を与えてくれました。 また、能楽師、笛のピアース氏とのコラボレーションは非常にエキサイティングで、また舞台でご一緒したいと願っています。https://www.thickandtight.com/two-moths-in-real-time

Piers Adams(リコーダー奏者)からのフィードバック:
笛の一噌幸弘氏をはじめ、囃子方の驚くべき鍛錬とシャープで刺激的なリズム、シテ方の様式化された舞、そしてThick and Tightの魅惑的な振り付けのダンスなど、今回初めて出会うアーティストと一緒に仕事ができたことは大変に刺激的でした。言葉の壁があるZOOMリハーサルは、大変なこともありましたが、プロデューサーの柳沢晶子さんが全体をうまく調整しながらクリアに通訳してくれました。楽譜の到着がかなり遅かったので覚えられるか心配でしたが、最終的に明確な指示と楽譜も手に入り、本番前にリハーサルの時間がありました。私にとっては全てが初めての経験でしたが、このような素晴らしい貴重な機会を与えてくださった事に感謝します。

Deborah Nash (Sumida River in Sign Language プロデューサー)からのフィードバック:
「ろうあ者」が健常者とともに対等に仕事をし、それぞれの文化的言語、「ろうあ者」の視点を作品に取り入れ、多様性のある舞台芸術を成功させたこと。そして 出演者、参加者、聴衆との間で、日本文化と「ろうあ文化」の両方に対する理解と評価が高まった事も大きな成果だと思う。


以上のようにイギリスの芸術家が能を通じ新たな芸術表現の可能性を探る機会を提供し、将来、能リ・イマジンドに参加するアーティストの関心を創出する事に成功した。

その他のフィードバック:

オープニングトークでモデレーター役をお願いしたロンドン大学SOASの田口和美先が、「東京外語大学グローバルジャパンオフィスSOASロンドンレポート」として能リ・イマジンドの記事を掲載してくださった。その内容からも本プロジェクトが日本文化の国際発信力に貢献したといえる。
http://www.tufs.ac.jp/abouttufs/gjo/soas/2022.html

 実施会場がランダムに聴衆に送ったアンケートのフィードバック: 回答15名
 能リ・イマジンドフェスティバルの5段階評価: 素晴らしい72%/ 良い15%/ まあまあ13%。
 能リ・イマジンドを友人や仲間に薦めますか:はい 86%/いいえ 12%
 次回のNoh Reimaginedフェスティバルに参加しますか?はい 93%
 今度日本に行った時に能の鑑賞を予定にいれますか? はい100%

25日のプログラム(黒塚、Two Moths in Real Time, 変幻化2022)のフィードバック:国際交流基金ロンドン事務所 シニアプログラマー 

「英国のダンサーとの協働により、伝統的な能とは違う新たな演出があり面白かったと思います。その一方で、ダンサーと能楽師が一緒に何かするのかと思っていましたが、別々の「舞」であったことが残念でした。一方で、お囃子はフュージョンも含めて素晴らしかったです。せっかく女性の太鼓奏者が出演したので彼女に焦点をもっと当てる等したら良かったと思いました。お客様の大半が非日本人で、鉄道ストにもかかわらずほぼ満席だったので、日英文化交流の点でも合格点を見事にクリアしたと思います。」

会場 Kings Placeのアーティスティック・ディレクター  Helen Wallaceのフィードバック

「今回の能リ・イマジンドフェスティバルは 聴衆の数、評判の点、プログラムにおいて最も成功したと思う。コロナで2度の延期に見舞われたが、今回のフェスティバルが無事成功に終わったことを大変に嬉しく思う。次回のフェスティバルに向けて、できるだけ早い段階からプロデューサーの柳沢晶子と相談をし、よりよいプログラムを企画したい。能リ・イマジンドのビジョンは、今後もっと多くのイギリスの芸術家やアーツシーンに影響力を持つ可能性をもっている。これからはロンドンだけでなく、イギリス各地で、様々なアーティストや芸術団体と協力していきたいと思う。そしてKings Placeは、今後も能リ・イマジンドの重要なパートナーであり続けたいと思う。」


開催地における広報に関する取組等
 会場King Placeの広報チームと、今年2月以降に2回ミーティングを行い、広報戦略を練り実施した。コロナ禍、鉄道ストライキにも関らず、チケットの売り上げは会場にとっても満足のいく結果となった。

 また、環境への配慮とコロナ禍による紙媒体の大幅削減、広報のデジタル化により、会場の方針でポスター、チラシ、5月、6月のプログラムリーフレット(1万部)は印刷しなかった。

 デジタル・マーケティングはソーシャル・メディアをはじめとし、夫々のプログラムに適切な方法を考え実施した。

 ロンドンの日本大使館のウェブサイト上での情報発信、国際交流基金によるニュースレター配信などの広報サポートも助けになった。

 会場のプレス担当者より、フィナンシャルタイムスの文化記者が能リ・イマジンドフェスティバル全プログラムを取材しレビューすると聞いていたが、鉄道ストライキにより来場できなかったと連絡を受けた。

以上

秋の舞楽会

活動期間2022年 11月 1日 ~ 2022年 11月 8日

活動をしてみて

当舞楽会は、2005年から毎年継続しており、
今年度までで、舞楽の演目全般を上演することができた。
特に、子供たちの舞は、近年「鳥」と「蝶」のいずれかを上演してきたが、
子供たちに恵まれ、8年ぶりに両方の舞を連続して上演することができた。

絶滅危惧の素材と道具 調査&シンポジウム事業2021

活動期間2021年 8月 10日 ~ 2022年 9月 30日

活動をしてみて

せっかく助成認定をいただいたのにもかかわらず、本年の本事業での成果物は、寄付者の名前を冠すような成果物ができなかったため、また、予定していた経費のかかる調査事業もコロナ関連で次年度にしたため、寄付を募ることは積極的にできなかった。
故に、経費のかかる活動(旅費と人件費を伴う調査や記録撮影など)は本年は控え、電話メール等でできる範囲のことにとどめた。
なお、本事業と同時に展開している日本工芸週間実施にあたり、実行委員会参加団体の協賛金、日本博イノベーション型助成をいただいている。
本事業では、全ての日本文化につながる工芸分野に通底する、近い将来大きく影響が露出しすることが明白な、ものづくりの根幹を支える素材や道具のノウハウが一気に失われていくことを放置するのか?という課題に向けて、民間の緩やかな活動で解決策を探るという、中間支援組織だからこそできる活動であるが、本年行なった2つの調査事業である程度の数量(2015年の同様の調査結果70件程度)を集約できなかったことを受け止め、活動そのものの展開を、今後経費をかけずにできることに限定してゆく必要があると感じている。

第15回 八ヶ岳音楽祭 in Yamanashi

活動期間2021年 11月 21日 ~ 2022年 10月 10日

活動をしてみて

八ヶ岳音楽祭in Yamanashの合唱団はこれまでボイストレーナー、合唱指揮者により磨き上げた歌唱力、音色で悲願であった待望のベートーヴェン作曲「荘厳ミサ曲」を3年かけて挑戦してきました、残念ながらコロナ過により2年間で2回の延期となり余儀なく演奏を断念いたしました。2021年は小編成でシューベルト作曲「ミサ曲第2番ト長調」本年、第15回2022年はモーツアルト作曲「レクイエム」の開催で新型コロナ感染の様子を見て開催しました。コロナが終息した時には山梨県では最初の難曲ベートーベン作曲「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ)」の全曲を演奏する予定ですがまだ状況が厳しい状況です。2023年は地元八ヶ岳やまびこホールではステージ上が過密になり広い会場の甲府市YCC県民文化ホール会場でベートーヴェン音楽の神髄に迫ります。コロナ禍の中での演奏開催は入場制限、ゲスト宿泊費等経済的に厳しいですが企業メセナ協議会の寄付金により八ヶ岳音楽祭の灯を消すことなく開催出来たことが幸いでした。

吉松派若柳流旭甫会設立50周年記念 文化継承邦舞踊公演 未来への懸け橋

活動期間2021年 10月 29日 ~ 2022年 10月 29日

活動をしてみて

札幌市内では古典舞踊及び邦楽を身近に感じることが少なく、ご来場の方からの驚きの声を頂きました。日本の文化の面白さ、このような文化がまだ小さい子にも受けつかがれているのを目の当たりし、感動したなど。また昔に自分も舞踊をしていたが、公演自体が少なくなり、見る機会が少なくなる中、このようなダイナミックな公演を見ることができて感動した。など多くの方からの好評な声を頂きました。
活動を通し、これまで一度も見たことない方、かかわったことのない方の貴重な意見を聞き、今後の公演に生かしてまいります。

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