2021年も新型コロナウイルスの流行の影響を大きく受けた年となりましたが、ワクチンの接種が進み、社会が徐々にウイルスとの共存の道を歩き始め、「ニューノーマル」な社会生活へと移行を始めました。国際渡航の制限も2022年より段階的に解除され始め、ACCの主たるグラントプログラム事業の実施も再開することが出来ました。
ニューヨークフェローシップの三野新氏は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の公共図書館やアーカイブでエドワード・スタイケンのリサーチを行いながら、ニューヨークの美術館や展覧会、劇場を訪れ、ワークショップやパフォーマンスに参加しました。その中で、地域で社会的・政治的問題に関わる人々が真摯にアート作品を制作していることに衝撃を受けたと言います。 「渡航前は、自分の作品のテーマを模索していましたが、最も重要なテーマは、自分が当事者であるコミュニティ、人種特性、国に関する問題であることに気づいた。今回のフェローシップは、今後の日本でのアート活動について考える機会となった」と語っています。
同じくニューヨークフェローシップの田中みゆき氏は、ニューヨークをはじめ、シカゴ、ワシントンD.C.、サンフランシスコなどの都市で、アートにおけるアクセシビリティとインクルーシビリティについて研究しました。また、多くの講演会やシンポジウム、研修会に参加し、同じ関心を持つ多くのアーティストや実践者とアートをもっと身近なものにするにはどうしたらいいか、その過程で何を考えるべきか、どのように人々と関わっていくべきかについて意見を交換しました。 「フェローシップのおかげで、研究テーマだけでなく、アートの鑑賞や発表全般において、私の視点が変わりました。アートの中にある政治性、制度的抑圧、社会構造をより意識するようになり、それは日本にいたらできなかったことです」と語っています。
ACCのフェローシッププログラムは作品制作といった成果物を前提とせず、自身のリサーチのためだけの海外での滞在の機会を提供しています。アーティストが異文化の中に実際に身を置き、現地の人々と交流しながらのリサーチに集中することによって、自身の視点や思考に大きな変化を起こすーそれがすなわちグローバルな相互理解につながるのだということが、両氏のコメントに表れていると思います。
この期間を通して、非対面のコミュニケーションツールが大きく発展、普及し、対面でなくても交流を図ることが出来るようになりました。しかしながら、実際に対面での交流が再開されると、対面でのコミュニケーションによって得られる情報の量や速度、そこから生み出されていく新たな出会いや機会の多さに大きな差があり、その大切さに改めて気づかされました。その意味で、グランティの渡航や支援者を含めた交流が可能となったことは大変喜ばしいことで、今後も非対面の利便性を活用しつつ、対面でのコミュニケーションによるエンゲージメントの向上につなげていきたいと考えています。
ロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢が不安定さを増す中、ACCで行ってきたアーティストや研究者、アートの専門家に国際文化交流の機会を提供する事業とともに、国際文化交流の重要性を人々によびかける活動にもさらに重点を置いて続けていくことが、調和のとれた平和な社会の創造に寄与するために必要なのであると感じています。
PANCETTAとして初の京都公演「PAETTA LAB 2024 IN KYOTO」はロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム「KIPPU」の企画として、京都芸術センターに滞在して創作を行い、ロームシアター京都ノースホールにて作品を上演した。
本企画では、事前に脚本を用意せず、京都でのフィールドワークを重ね、感じたことを元に作品を創作。稽古場を開放し、何かが生まれる瞬間の面白さを体験できるように創作過程を共有しながら、作品を生み出し、約1ヶ月の創作期間を経て出来上がった作品を、生演奏とともに上演した。当初、本企画は申請した助成金の採択にいたらず深刻な資金難にあったが、助成認定制度を利用して企業からも寄付金を得られ、また団体として初の試みであるクラウドファンディングに挑戦し目標金額を達成することで、今後の地方展開の第一歩として公演を成功させることができた。LABの創作体系は今後も継続的に行い、本企画で得られた経験をもとに今後も全国でLAB企画を展開し、PANCETTAの作品に込められている「生きることを面白がる」ことを社会に伝えていきたい。
今大会から、選手入場の際に1チームごとに舞台袖からステージに向かって入場するように演出を変更しました。出
場した高校生たちは、最初こそ戸惑っているようでしたが、練習を重ね、本番では全チームが元気に笑顔で入場して
いました。
例年同様、舞台正面に200インチの巨大スクリーンを設置し、大画面で映像を投影したことで臨場感のある舞台演出ができたと感じております。各チームによるステージ、ランウェイでのウォーキングもそれぞれ衣装にあわせたパフォーマンスをしており、審査員・観客の皆様によくPRできていました。最終審査会終了後は、毎年好評な出場者交流会を開催し、審査員から衣装のアドバイスをいただいたり、出場者同士で記念撮影している姿も見られました。
3名の共同ディレクターによるフェスティバルのプログラムも4年目をむかえ、海外からの招聘や、コロナ禍で実施できていなかった関連プログラムも含めて、予定通り数多くのプログラムを実施できたフェスティバルとなった。
Shows(上演プログラム)では、国際的に評価の高い日本人アーティストや、世界的に注目を集める海外アーティスト、気鋭の若手ダンサー、さらに美術や文学、匂いのアートといった異ジャンルをミックスさせたアーティストによる舞台作品を創作・上演し、多様な表現が交差するフェスティバルを実施することができた。紹介するアーティストやプログラムを包括するキーワードとして「まぜまぜ」を設定し、キーワードに立脚した作品群の上演により、参加した観客が多様な思考を生み出すことができるよう工夫した。一方でKansai Studies(リサーチプログラム)、Super Knowledge for the Future(エクスチェンジプログラム)と上演プログラムが相互に影響し合うようなプログラムの組み方については、今後も工夫の余地があると感じた。
感想シェアカフェやフリンジ More Experimentsは予定通りに行うことができ、幅広い参加者を得ることができた。
フェスティバルの情報拠点となる特設ミーティングポイントを市内の2箇所に分散して設置したことや、長期間受付をする作品が複数あったこともあり、会期中のスタッフの人員配置やその強化に苦労した面があった。
活動をしてみて
芸術祭「響きあうアート宗像」では、歴史ある建物と町並みと一体となった作品群と訪れた人の心とが響きあい、各々に感動の記憶を残すことができたことから、次回を期待する声を耳にします。今年度はその実績を振り返り、出展作品と宗像の精神性についてより深く学び、今後の土台固めと方向性を強固なものとし、そのことにより、次年度は宗像の精神性と芸術の関わりをもって、県外や海外に芸術のある大島の魅力を発信し、一度は訪れてみたい島、観てみたい芸術祭を目指します。
課題としては、予算集めは厳しく、会場案内のサイン等が不十分だったこと、また、事業の規模に対して実行委員、ボランティアの人手不足だったことが挙げられる。