今回『イル・カンピエッロ』を上演するにあたり、ヴェネツィア語(ヴェネト語)の発音が課題でしたが、ヴェネツィア出身の歌手シルヴィオ・ザノン氏に、Zoomにてディクションをご指導いただき、発語のみならず文化的背景などもお教えいただき大変有意義な時間を持つことができました。また、出演者の成長にも繋がり、ベテラン歌手と共に公演に挑んだ若手新人歌手にとりましても、将来が広がり、オペラの継承につなぐ事が出来たと考えます。
この演目は上演される機会が少なく、皆様には馴染みのない作品でしたので、プレレクチャー、プレコンサート、SNS等で『イル・カンピエッロ』の広報に力を入れましたが、思いの他観客数に伸び悩みました。この結果をこれからの演目選択・広報活動にも役立てたいと思います。半面、今回の公演では若い観客の方が多くなったと感じました。
公演終了後は、お客様から笑顔で「大変楽しかった。」とお喜びのお言葉を多数いただきました。アンケートでは「楽しいヴェネツィアの町人たちのかけあいが現実味があって、観ていて楽しかった。」「テノールの方が母親役をするなんて初めてでしたが、だんだん違和感がなくなり納得できました。」「それぞれの人間性や関係性や心情がよく伝わりました。舞台美術や動きと相まって美しい世界観が作られていて、すーっと物語の中に入れました。」「オーケストラとのかけ合いなど普段みられないような組み合わせを見ることができ、とても面白かったです。」「賑やかなパーティとしっちゃかめっちゃかのダンスが好きでした。」等の感想をいただきましたが、「もう少しメジャーな作品がよかった。」というお声もいただきましたので、今後の公演選択にも繋げて参りたいと考えます。
皆様にこの作品をご紹介できた事は、オペラの普及、文化向上に繋がったと考えます。
輪島出身の寄席三味線奏者が能登の子どもたちにもナマの〝演芸〟を味わってほしい、昔ながらの人情味ある落語の温かさを教えてあげたいと震災前から考えていた企画が、震災が起こって、復興応援という形での開催となりました。
震災から2年近く経ちますが、元々通っていた校舎が使えないため遠くからスクールバスで通っていたり、授業は仮校舎で行われ、まだまだ非日常が続き気持ちが落ち着かないであろう子どもたちに〝演芸〟を受け入れてもらえるか笑顔を届けることができるのか不安な中、本番の日を迎えました。
開演してみると、子どもたちみんなで「寿限無」を大合唱したり、落語ではあどけない笑顔で無邪気に笑ってくれ、太神楽ではハラハラドキドキの技に一喜一憂し、学校の一室が手作りの寄席に変わったひとときでした。落語や演芸の本質を届けるには短すぎる時間でしたが、日常を忘れてたのしく過ごしてもらえたのかなと思います。
キャリア授業は、せっかく輪島まで来てもらえたのだからと市からの提案で行われた授業でした。出演者側も慣れない経験でどこまで伝えることができたのか心残りなところもありますが、いつか大人になってこんな職業に就いている人もいたなと思い出してもらえたらうれしく思います。
のと応援学校寄席、ひとりの力ではできないことですが、復興が続く限り機会を探して続けていきたいと思います。
開催にあたりお力添えいただいたことに心より感謝いたします。ありがとうございました。
◎ニュースでも取り上げてもらいました。
https://www.youtube.com/watch?v=WhTA9Ly90RI&t=729s
今回の活動を通して、音楽が人の心を支える力を改めて実感しました。被災地では、日常の生活が失われ、静まり返った仮設住宅に音楽が流れることで、空気が一変します。最初は遠慮がちに座っていた方々が、演奏が始まると表情を緩め、涙をぬぐいながら笑顔を見せてくださいました。終了後には「また来てほしい」「心が軽くなった」といった声が多く寄せられ、音楽が人と人を再びつなぐ架け橋になっていることを感じました。
特に印象的だったのは、「止まっていた心が動き出した」と話された高齢の女性の言葉です。長い避難生活の中で外に出る機会が減り、会話も少なくなっていた方が、音楽をきっかけに再び周囲と関わり始めた姿に、活動の意義を強く感じました。また、コンサート後には「自分も歌ってみたい」と地元の詩吟や民謡を披露してくださる方が増え、地域に眠っていた伝統文化が再び息を吹き返す場面もありました。
子どもたちの反応も印象的でした。仮設住宅の一角に設置されたピアノに興味を持ち、ピアノを練習するお子様もおりました。その後、地域の人たちが歌の練習をするなど、世代を超えた交流が自然に生まれています。このような変化は、単なる娯楽ではなく、音楽が地域の再生や心の安らぎを支える文化的基盤であることを示しています。
参加したアーティストたちも、「自分たちでもできることがあることが分かった」と口を揃えます。演奏を届ける中で、被災された方々の強さや優しさに触れ、音楽家自身も成長する機会となりました。音楽は、言葉を超えて人の心に寄り添うものです。今回の活動でその力を改めて確信し、今後の社会貢献のあり方を見つめ直す貴重な時間となりました。
8回目を迎えた本企画は、今回も、東日本大震災とそこから派生した社会問題や個々人の生活について、それらへの関心を風化させないためのひとつの礎としてその役割を担うことができた。また同時に、地震・豪雨災害に見舞われた能登半島で、東日本大震災のその後の記録者・作家たちの取り組みを参照しながら立ち上がった記録者グループや、個々の試みとをつなぐ橋渡しができたことで、この企画が目指すところの広がりを実践・実感できた。今後も当映画祭にこのような場を設けることで、被災した方々、震災に関心を寄せる全国・世界各地の人々、そして、ドキュメンタリー映画という表現を通じて災害復興の状況を記録し続けようとする作り手たちの、それぞれの思いを支えながら、目に見える形や交流の機会を生み出していきたいと考えている。そのためには、被災地域にて継続的に記録・制作活動を続けている作家のリサーチや彼らとのコミュニケーションを続け、それら活動の成果発表とそれに対する意見交換の場としてのこの企画の意義を、今後もより深化させていきたい。
活動をしてみて
本事業では、ダンス・音楽・映像を等価な要素として統合する創作手法の実践を目的とし、映像作家、照明家、音楽家、舞踊家が企画初期段階から定期的にミーティングを重ね、コンセプトを共有しながら制作を進めた。各分野を完成後に組み合わせるのではなく、同時並行的に生成していく制作プロセスを実践できたことは、本事業における大きな成果である。
公演に先立ち、ホワイエ空間にてこれまでの活動の軌跡や映像資料を紹介する展示を行い、観客が作品の背景や文脈に触れた上で本編を鑑賞できる導線を構築した。また、公演後にはトークイベントを実施し、制作意図やテーマについて観客と直接対話する場を設けたことで、抽象的な表現への理解を補助し、鑑賞体験を言語化・共有する機会を創出した。
集客を目指してパブリシティ活動に注力した結果、一般来場者および招待者を含め、延べ422名が来場した。あわせて、多くの協賛を得ることができ、事業運営における実践的な経験の蓄積と、新たなネットワークの構築につながった点も成果として挙げられる。
社会との接点を広げる取り組みとしては、東京善意銀行を通じて、普段舞台芸術を鑑賞する機会の少ない方達を公演に招待した。福祉団体を介することで、安全面や引率体制に配慮した形で実施でき、申請時に掲げた目標の具体的な達成につながった。
一方で、子どもたちの年齢や背景に応じた鑑賞サポートや、事前・事後に体験を深めるためのフォローアップについては十分とは言えず、今後の課題として認識された。また、トークイベントについても、当日参加できなかった層への内容共有方法が課題として残った。これらを踏まえ、今後は鑑賞ガイドや対話型プログラムの開発、トーク内容の記録・公開等を行い、単発の取り組みにとどまらない持続的な実践へと発展させていくことを目指す。