たくさんの支援者のおかげで、2018年も無事継続して開催することができました。
このアートプロジェクトのきっかけは、アーティストやクリエイターの力を借り、たくさんの人に集まってもらい、日々忘れてしまいがちな「311」のことを思い出すきっかけを作ることです。
その後、国内をはじめ海外でも大規模な自然災害が続きました。現在では、テーマとチャリティを継承しながら、新しいアートプロジェクトとして活動しています。
アーティストの支援とチャリティを持続的に活動していきたいと考えております。
助成により、「KAIRリターン・アーティスト・プログラム」を実施することができました。参加から一定期間(5年以上)過ぎた過去のKAIR招聘アーティストに再訪していただき、KAIRに参加した後、神山での滞在が彼らのその後の制作にどのような影響を与えたのか、AIRなどについてのヒアリングの場を設け、また彼らの視点からも自分達の活動を振り返り今後のKAIR活動をどのように展開させていくのかということを考える場となりました。この機会をこれまでKAIR事業に関わってきた人々や住民と共有することで、継続して活動してきたこの事業がもたらした変化について考えると共に、またアーティストの活動や制作に対する考え方を通じて、それぞれ違った分野で活動している人達にとっても自身の日々の生活や仕事について熟考する場となり、多くの意見が交わされました。AIRという活動から派生する多面的、かつ多元的な効果や成果を実感する場となりました。
また、2018年度は秋のKAIR期間のみならず、春から秋にかけて長期的にプログラムを実施し、また幅広い年齢層をターゲットとしたプログラムを実施したことにより、新規の訪問者数を増やすことができました。春のプログラムに参加された方に、秋のプログラム時にも再訪いただき、中にはサポートスタッフとして事業に関わってくださる方も出てくるなど新規のサポーターへの増加にも繋がりました。秋のプログラムでは、町内の2つのエリアに作品を集中させることで、車での移動がメインである町内の通りを人が散策する風景を目にすることができ、近隣住民の方々にも喜ばれました。経済波及効果としての数値は取れていませんが、町外、県外からの展覧会鑑賞者の方も多く、期間中は町内での宿泊や飲食の面では貢献できたと思います。
1999年にスタートしたKAIR事業をきっかけに活気や新たな交流を過疎の町に生んできました。事業をきっかけとして人と人との繋がりが生まれ、移住支援事業やサテライト誘致など新しい事業が生まれ、後退の道を辿っていた商店街に新規店舗が開店するなど少しずつではありますが、さまざまな活動が生まれつつあります。
今年度は4月から11月にかけて、21回目となる神山アーティスト・イン・レジデンスプログラム2019プログラム、自費で参加するAIRプログラムのBed&Studioプログラム、過去のアーティストを再度招聘するリターンアーティストプログラム、新しくスタートしたKAIRxABCDEFプログラムなど4つのプログラムを通じて、海外より10名、国内より2名のアーティストが滞在制作を行い、1年間を通じて、国際色豊かなアーティストと共に多様な芸術表現を共有する場となりました。
2019年度は新しい試みとして、これまでのKAIR、Bed&Studioプログラム、リターン・アーティストプログラムを発展させたプロジェクトとして、ベッド&スタジオ プログラムなどを利用し、長いスパンで神山に関わっているアーティスト達と共に「KAIRxABCDEF(A=art, B=base, C=culture, D=document, E=education, F=food)」をいう新しいプロジェクトをスタートしました。このプログラムを通じて、アーティストと共に建築や文化、記録、教育、食などの分野から神山町や徳島県内の職人や関係者との協力を得ながら、各分野でのプロジェクトやリサーチを開始することができました。このプロジェクトは2019年度に始まり、単年度で終了するのではなく、継続的にリサーチ、制作、展示をすることを目指し、今回実施したことで新たな可能性や将来性が明確になり、アーティストや協力者とともにひとつひとつのプロジェクトを深めながら進めていく予定です。
これまでの活動実績やアーティスト間での繋がりから、この数年の間に神山を核としたアーティストのネットワークが形成され、共にプロジェクトを企画するなど国内に留まらず、世界的な規模での神山を通じたネット―ワークが築かれつつあるという喜ばしい事象が生まれていることを再確認した年でした。
2019年度は海外の神山に近い環境(人口が700人~2000人)でアーティスト・イン・レジデンス事業を行っている団体(3団体)とのネットワークができ、今後は彼らとの関係性から新しく事業を展開させる方法を模索しています。建築やデザイン、パフォーマンス、アートなどあらゆる分野でのネットワークが神山を核として有機的に生まれており、彼らとともに神山AIRプログラムをさらに飛躍させる可能性を感じていると共に、今後も神山や世界各地で新たな動きや可能性が育まれる場となるよう制作やネットワークの場づくりに引き続き努めます。
国民文化祭おおいた2018の市町村事業は「カルチャーツーリズム」をテーマとして掲げており、文化を観光資源として活かし県内外の誘客を促すために日田市のリーディング事業として当事業を位置付けた。
結果、県外の来場者は全体の28%にのぼり、国内32都道府県からの集客が実現した。
また、2017年7月に起こった九州北部豪雨の復興に勤しむ市民の心に希望を与えるプロジェクトとなるよう、日田の風景や歴史、人々の暮らしを掘り下げ、場の記憶を作品に反映することで、市民が改めて自身の生きている土地に連綿と受け継がれた文化的な豊かさを体感できる展覧会を実現させた。さらに、編集された男女混声合唱団の歌声や、作品の案内役として市民スタッフが伝承を語るなど、日田で暮らす人々自身が作品の一部を担っている。
前述の通り作品演出および安全管理のためにスタッフを増員し追加人件費が発生したが、助成を受けたことで十分な人員配置が可能となった。
来場者数は目標数値を下回るが、来場者一人一人の作品体験の質を高めることに重きをおいた結果である。
その結果としてリピーターは2会場合計で199名、そのうち日田市民は68%を占める。小学生から高齢者まで幅広い世代が足を運んでおり、そこに暮らす人々の記憶に寄り添った作品であったことが伺える。
また当事業の開催がきっかけとなり、関連事業として市内の読み聞かせボランティア連絡協議会「日田ブックラブ」が主催した企画「日田の歴史から未来へ望むアウトリーチ」が派生した。この企画は大巻氏と日田市民が協働で「日田のはじまりの物語」をテーマに縦2m×横10mにも及ぶ巨大木版画を作成した。版木は県建設業協会日田支部が提供した日田杉を使用し、日田林工高校の生徒が加工した。彫る作業には約一か月、市民延べ約600人が参加した。
活動をしてみて
当初想定していた規模・集客での開催には至りませんでしたが、中身の充実したリサイタル開催となりました。特に終演後の観客の感想から、タイトルに表されたリサイタルの意図、それを実現するためのプログラム構成をよく汲み取っていただけたことがわかりました。フランスからの帰国から3年しか経っていないが、今回のリサイタルを通して、福井のピアニズムを日本の方々に紹介する一歩をこのように進めることが出来たことことに大きな意義を感じます。今回のリサイタルのコンセプト「Nostalgie du Futur/未来のノスタルジー」は今後の活動にも通底するテーマであることを確信し、来年以降も活動テーマの一つとして、継続した取り組みを行っていくこととなりました。