開催日が平日金曜日19:00、学生さんは試験週間と重なり、集客が一番難しい状況でした。またメセナを通しての寄付は集まりませんでしたが、クラウドファンディングは返礼品がチケットと出演者との交流会があり、こちらに寄付をしていただきました。
作品は生演奏の迫力と声色掛け合い活弁がとても素晴らしく、より良くして再演出来たらよいな、思っております。
調和を保ちながら異文化を受け入れて多民族国家を形成しているシンガポール。International Friendship Youth Campは、そのシンガポールに1週間身を置き、アートをツールとして、アジアの同世代と交流し視野を広げることを目的としている。今回、日本からは特に生活環境に恵まれているとは言えない3人の青少年を選抜し参加させた。なるべく通訳(アテンド)が介在しないよう遠くから見守る形で交流を促したところ、言葉の壁を感じながらもアートをとおして理解し合う姿勢が見られた。「Zoo Project」での共同作業では、当初翻訳サイトをつかっていたものの、訳も分からず制作の手伝いをさせられるうちに、何を作ろうとしているのか、何故この作業が必要なのかが理解でき、後は制作行為そのものが言葉の役割を果たすようになった。それゆえになおさら、翌日の展示作業は楽しかったようで時間を忘れて作業に没頭していた。一緒に物を作ることで、だれでも一つになれる、ということが理解できたようだ。
いくつものプログラムの中で特筆すべきは、Little Arts Academyで年少の子どもたちの美術製作をアシストした経験である。恵まれない環境の子どもをシンガポールの社会がどう助けようとしているのか、アートという表現手段が人にとってどれほど重要か、そしてアートをとおして自分が出来ることは何か、を考えるきっかけになった様子で、どの参加者もまたシンガポールへ行く機会があれば、あの場所に戻って子どもたちを助けたいと語っていた。
今回のプログラムはシンガポールの主催者がメインで計画・運営した。お国柄か、ぎりぎりまで細かい点(時間、移動手段など)に変更があり、来年以降は細かい点も私たちが関わるべきかもしれないとも思うが、これによって参加者もシンガポールの人のおおらかな国民性を理解できたようにも感じる。また同じように、この1週間で各国の参加者のそれぞれの国民性を見せられたことで、色々な人がいる、皆が同じではない、という当たり前のことを改めて肌で感じたようだ。
帰国に際しては、三者三様にもっと英語を勉強したいと意欲を燃やしていたことが印象的だった。そして、今回のキャンプの感想として次のようなコメントを得た。「盲目のアーティストのアート作品がとても素晴らしいと思いました。無機質な針金で出来ているのに、表情が浮かんでくるようで、素敵だなぁと思い目を奪われました。不安そうに、しかし上を見上げて踏み出す姿に、自分と重ねるところがありました。」「隣で平然と話していた人が舞台の上で演奏している。すごいと思う気持ち反面、悔しい、自分の無力さが恥ずかしかった。努力してきた人間としてこなかった人間の差を実感した。」「勇気を出して、グループの中に入っていけたことが自分自身でまずは評価したいです。」このキャンプがそれぞれに自分自身を見つめる機会になったことを、主催者として大変うれしく、来年以降も開催できるよう努力していきたいと考えている。
最後になってしまいましたが、今回は資金の心配をすることなく、恵まれない環境の青少年のためにキャンプ運営に集中できました。ホテルオークラ東京様に心から御礼申し上げます。ありがとうございます。
石巻同様、なかなか演劇を見る機会の無い土地という事で、当然演劇公演に携わる機会も無いという事。今回の会場であるK-portしかり、企画や広報などを手伝ってくれた町おこし団体「気楽会」のメンバーしかり、打ち合わせ段階でなかなか演劇の製作過程に於いての意思疎通がうまくいかないことが多々ありました。
例えば会場であるK-portにては、前日から会場を使わせて頂き、リハーサルを行いたい旨を相談したところ、ライブの際は約1時間くらいリハーサルの時間を取るので演劇も同じでよいかと持ちかけられ、演劇のリハーサルはもっと時間がかかり、細かい確認が多数ある事を説明してどうにか芝居の尺の倍の時間の3時間を使わせてもらう事ができました。
「気楽会」さんと打ち合わせでは、予算がギリギリである事を相談したところ、前日のリハーサルの会場費が勿体ないから、リハーサルは別の場所で行い、会場は本番当日だけ使えばよいのではないかと提案され、演劇のリハーサルの特長などお伝えして、本番と同じ会場で行う事の重要性をお伝えしました。
今回、演劇公演を開催するにあたって、何度も気仙沼に足を運び、直接対話を重ねることで、演劇に対する共通認識、共通言語を作っていけたような気がします。その結果として、前日の会場でのリハーサルには多くの関係者が駆けつけて下さり、お手伝いいただきながらリハーサルに立ち会って頂きました。ステージの上では決して見れない裏側を見て頂き、K-portさん、気楽会さん、また地元の俳優さんたちも大変興味をもって見てくれていたのが印象的でした。
終演後、K-portさんにも、気楽会の皆さんにも、今回このK-portで演劇を上演してもらって良かったと仰っていただきました。K-portさんとしては、今後、今回の舞台公演を一つのマニュアルとして、地元や近隣地域の俳優さん、劇団さんも積極的に迎え入れられればと話して下さり、「こうして演劇公演が実施出来た事、オーナー(渡辺謙さん)もきっと喜びます」と仰って頂けました。
今回、予想を大きく超えるお客様にご来場いただくことができ、地元メディア、そしてご近所同士の口コミに大変助けられた公演でした。惜しむらくは、1ステージしか行えなかった事、そして翌週には気仙沼の1年に一度の大イベント「みなと祭り」を控えており、多くの若者はその準備に追われて、興味はもっていても劇場に足を運んでいただくことが出来なかった事でした。
今回、実際に演劇公演を行い、K-portさんにも様々な可能性を感じてくれたようで、今後貸し出しの条件がもっと容易になること、そして演劇を観る機会がより恵まれる事を期待しております。
また、今まで気仙沼で演劇を上演するときはどうしても【劇場=ホール】というイメージが強く、予算も高額となり、気軽に演劇を上演する機会、観てもらう機会というものにめぐまれなかったと思います。実際、東京在住で気仙沼出身の俳優たちによって昨年気仙沼での演劇公演が開催されましたが、市の中心部から離れた公共ホールで、予算もクラウドファンディングを利用しての上演で、第2回の公演の目途はたっていないと伺いました。
今後、ホール規模の公演でなくても、近くのカフェでも演劇公演が出来て、また沢山のお客様にも駆けつけて頂ける前例となれたと思うので、どうかこれから、気仙沼の内外で、だれでも気軽に演劇が出来る!観れる!そんな演劇の上演が一つでも多く開催されることを、切に願う次第です。
【石巻】
月いちよみ芝居
会場と協力し8月から再開した月いちよみ芝居に関して、地元メディアに開催前後に大きく報道されたことも有り、特にどの様な感染対策を行っているかを丁寧に報じてくれたおかげで、来場されたお客様は安心してご来場くださった様子だった。
公演後も市民からの反響は大きく、その反響を一番感じたのは、翌月の9月に開催した第20夜に関して、開催日程が地元紙に報じられると問い合わせの電話が多く寄せられ、これまでにはない反響であった。
9月は、当初は完全予約制にしていたが、開催前週にガイドラインが更新され、会場の入場者数の制限が解除されたこともあり、当日予約無しのお客様も入場頂くことが出来るようになった。
想定していた入場者数を超える集客があり、また初めて観に来たという観客が多いのも特徴だった。演劇公演が渇望されているという現状をヒシヒシと感じた。
10月は市内の別の会場での開催となり、感染対策等は全て自主的に行ったが、これまで過去2回のノウハウが活かされ、初めて関わるスタッフにも問題なく対応して頂くことができ、感染対策に関しての独自のマニュアルを製作・実施できたのが何より大きな成果だった。
出演者には地元石巻市の市民(高校生含む)を起用。出演者の関係者やご友人に大変好評だったと喜びの声を頂いている。
また、全ての上演を、YouTubeにて配信(配信予定)。
会場に来るのを躊躇われている方にも楽しんで頂けるよう対応した。
11月も仙台の俳優をゲストで招き、上演。石巻市内外からも創客ができ、新たな広がりをみせた。
12月の開催も、旧観慶丸商店にて予定していたが、12月に入り宮城県内、および石巻市内での感染者数拡大の影響から、会場より、開催見合わせの依頼があり、協議の上、開催中止を決定。
【仙台】
朗読劇「調律師」
主催者、そして脚本家と協議を重ね、上演台本が完成。
当初は少人数での上演を予定していたが、作品の性質上、ある程度の人数が必要な事と、このコロナ禍に於いて、仙台・宮城は特に若手俳優や若手劇団が公演を実施する機会を喪失されている現状を鑑み、少しでも多くの若手俳優に出演の場を、という想いを共有し、8名の俳優による朗読劇として動きだした。
在仙の直木賞作家の作品の舞台化という事もあり、また公共ホール主催のワンコインで観れる公演という側面からも、注目度は高く、県内メディアから取材・報道していただいた。また、すでに開催されていた関係事業である「ワンコインコンサート」から、音楽繋がり・ピアニスト繋がりで興味をもち来場するお客様も多数おり、新しい観客層へのアピールもできた。
原作者の熊谷先生がアフタートークでご参加下さった事による、文芸界隈へのアピールも叶い、多方面の文化芸術を巻き込んでの公演とすることができた。
作品のクオリティーの面に於いても、千葉県在住の演出家・吉水恭子氏の指導のもと、前半はリモートで稽古を重ね、後半は滞在製作という形を取り、細部まで細かく創り上げた。完成した作品は、身体表現や群読の多様等、様々な表現技法を用い、リーディングステージの枠を超える作品として上演する事が出来、会場関係者、原作者等々、大変好評を得る事となった。
最大のアピールポイントであった“ワンコインで観劇できる”という気軽さから、マチネ・ソワレ両ステージとも満席(通常の50%)で公演を終える事が出来、仙台・宮城の街に於いて、文化芸術を気軽に楽しんで頂く事によって、文化振興に寄与できたものと考えている。
活動をしてみて
今回の舞台は、コロナ禍でどのように活動していくかが課題でした。当初予定していた会場もコロナワクチン接種会場となったために変更となり、かなり状況は変わりました。
「with Corona」こんな時期だからこそできる、ここでだからこそできるものを、今、この時に届けたい。そう思いながら、参加者全員で頑張ってきました。残念ながら、生での舞台を届けることは叶いませんでしたが、ライブ配信とDVD販売という形で届けることができました。今回の舞台を安心して実現できたのも、この助成金のおかげです。こどもたちも、どんな状況下でもできることをできる形で動いていくことの大切さ、そしてそれが実現できた時の達成感が得られたのではないかと思います。これからも活動支援をしていただければ幸いです。