「アニッシュ・カプーア IN 別府」では、全国から来県する従来のアートファンへの誘客活動とともに、国民文化祭との相乗効果を図りながら、県内のアートファン予備軍層を誘客し新たなファンの獲得に努めた。結果的にこれまで来場しなかった層 (大分県民、特にファミリー層) が多く来場し会場は連日賑わった。しかし、申請時の来場者目標数20万人に対して計54,716人と、目標より大幅に下回る結果となり集客の面において大変苦戦をした。今回初めて来場した方に向けて、能動的に芸術を体験する機会を提供しファン層の維持に努めるとともに、まだ来場していない方々に向けた、参加意識の向上につながる取り組みを開発・実践し、層の拡大を図りたい。本展に対する反響の一例として、来場者の中には、連日会場に訪れ、作品を模した自作の模型を披露する中高年も現れるようになった。さらには、氏の作品を鑑賞した高校生が「将来はアーティストになりたい」と語るなど、少しずつではあるが、受動的な鑑賞者から能動的な創作者への変化がこの地で生まれ始めていることは我々にとって大きな評価だと考えている。このような能動的な創作者の存在は、創造的で活力のある地域の実現において極めて重要な要素である。今後も市民の創作意欲の向上にもつながる機会を創出し、ますますこの動きを加速させ、世界のモデルとなるような創造的で活力ある地域づくりを目指したい。
「アニッシュ・カプーア IN 別府」では、全国から来県する従来のアートファンへの誘客活動とともに、国民文化祭との相乗効果を図りながら、県内のアートファン予備軍層を誘客し新たなファンの獲得に努めた。結果的にこれまで来場しなかった層 (大分県民、特にファミリー層) が多く来場し会場は連日賑わった。しかし、申請時の来場者目標数20万人に対して計54,716人と、目標より大幅に下回る結果となり集客の面において大変苦戦をした。今回初めて来場した方に向けて、能動的に芸術を体験する機会を提供しファン層の維持に努めるとともに、まだ来場していない方々に向けた、参加意識の向上につながる取り組みを開発・実践し、層の拡大を図りたい。本展に対する反響の一例として、来場者の中には、連日会場に訪れ、作品を模した自作の模型を披露する中高年も現れるようになった。さらには、氏の作品を鑑賞した高校生が「将来はアーティストになりたい」と語るなど、少しずつではあるが、受動的な鑑賞者から能動的な創作者への変化がこの地で生まれ始めていることは我々にとって大きな評価だと考えている。このような能動的な創作者の存在は、創造的で活力のある地域の実現において極めて重要な要素である。今後も市民の創作意欲の向上にもつながる機会を創出し、ますますこの動きを加速させ、世界のモデルとなるような創造的で活力ある地域づくりを目指したい。
2019年度で10周年を迎えた『ベップ・アート・マンス 2019』は、目標来場者数を上回る14,590名もの方々が参加した。10周年記念企画として3つのイベントを実施し、そのいずれもが企画者の協力を得れたことで実現できた企画であった。また2013年から毎月実施している企画者同士の交流・相談の場である『ベップ・アート・マンスをつくろう会』も参加率がまだまだ低いことが課題ではあるが、継続実施することができた。このような取り組みの結果、企画者に対するアンケートでは、「取り組みへの満足度」「企画してよかったか」「次回も企画者として参加したいか」の3つの質問項目に対し、いずれも90%以上が肯定的な回答となった。今後も『ベップ・アート・マンス』を継続していくことで、多くの市民の発表機会を創出し、地域活性化を担う人材育成に寄与していきたい。
『関口 光太郎 in BEPPU』では、会期前から別府市や大分市を中心とし、さまざまな場所でワークショップを実施した。また別府市役所にて関口氏の過去作品を展示するなど、事前広報に力をいれたことから、例年よりも多くの子ども連れ、ご年配の方が来場し、広く市民に本事業を周知することができたと感じている。その成果もあり来場者数は目標を達成することができた。
ワークショップは会期前、会期中あわせて2,829名の方々が参加し、受動的に鑑賞するだけでなく、能動的に参加することができる創作活動の機会を多くの県民に提供できたことは大きな成果だったと考えている。ワークショップ参加者の中には、主に子どもを中心として会期中に何度も会場を訪れる方も見受けられた。
来場者アンケートでは、展覧会に対し高い評価を得ることができた (満足度99%) 。ただし、来場者の居住地の内訳を見ると、県内からの来場者が80%、県外からの来場者が20%という結果になり、例年に比べアート関係者や行政関係者の視察が少なく、全国版の新聞や雑誌への掲載も少なかったため、今後全国に向けての発信の仕方をより検討していく必要があると考えている。
「想像力の源泉を枯れさせない」
これは、当実行委員会が2020年度の事業を実施するにあたり発信したメッセージである。
新型コロナウイルス感染症は観光業を主とするここ別府にも多大な影響を与え、私たちの日常は一変した。全国的に多くの文化芸術に関するイベントが中止や延期を余儀なくされている中、先行きの見通せない今こそ文化芸術の力の必要性を信じ、『ベップ・アート・マンス』と『in BEPPU』の開催を決めた。
この困難な状況を乗り越えるには、明るい未来を信じ、そこに向かって一歩踏み出すための「想像力」こそが必要だと私たちは考える。「想像力の源泉を枯れさせない」というメッセージには、人々の内側にある想いや活力を失わないようにという願いと、この場所にアートを絶えさせないという想いを込めた。
この想いを今年度の活動の中心に据え、『in BEPPU』の招聘アーティストである梅田哲也氏や地域で活動する市民の皆さんと協議を重ねながら、「今だからこそできる形の芸術祭」を模索した。基本的な感染対策を講じるのは当然ながら、今までのやり方に捉われず新しいチャレンジをすることと、コロナ禍が収束し自由に行き来できるようになった時に一番に選んでもらえる地域となるよう、この取組や別府の魅力を広く発信することを重視して事業を組み立てた。
新しいチャレンジとしては、両事業ともオンラインを積極的に活用した。『ベップ・アート・マンス 2020』では、オンラインで発表する企画も募集。実施された99プログラムのうち、34プログラムがZoomやYouTubeを活用したイベントであった。また、『梅田哲也 イン 別府』では、会期や会場を限定せずに実施できる展覧会のあり方の開発を目指し、別府市内を回遊する鑑賞体験とオンラインを活用した作品公開やイベントを実施した。
新型コロナウイルス感染症が今後どのような影響を及ぼすか、まだまだ不透明な部分が多い。しかし弊団体は歩みを止めず、さまざまなチャレンジや工夫をしながらこれからも事業を実施し、「観光地型・文化芸術創造都市としての別府」の実現を目指して活動をしていきたい。
活動をしてみて
2010年から継続開催する『ベップ・アート・マンス』は、今年度で8回目を迎え、1ヶ月の開催期間の中では過去最多のプログラムを実現することができた。これは市内の文化芸術におけるさまざまなプレイヤーが育った成果だと考える。しかしながら、事務局業務の質の改善や、プログラム企画者とのより密接な関係の構築、さらなる事業周知活動など、課題も散見される。
また、その中核事業として開催する『in BEPPU』は、西野 達氏を招聘し中心市街地を舞台にアートプロジェクトを展開した。さまざまなイベントを通しアーティストや作品についての理解を深める場を設けるなど、市民や来場者に向けた情報発信に工夫を凝らしたことにより、概ね好評を得ることができたと感じている。氏にとって過去最大規模の個展となった本展は、多くのメディアにも取り上げていただき、当初予定していた目標数を超える13,391名の来場者を迎えることができた。さらに、1人のアーティストにフォーカスするというこの新たな取り組みは2年目を迎え、徐々に地域に浸透し始め、多くの方々のご理解とご協力を得ることができた。これは作品の質の向上にも繋がったと考えている。この結果が評価され、氏が平成29年度芸術選奨・文部科学大臣賞 (美術部門) を受賞したことは我々事務局にとっても大きな成果である。
しかしながら、『ベップ・アート・マンス』『in BEPPU』を始めとした当実行委員会事業の質をさらに高めるためには、事務局の至らない部分を増強していかなければならない。事業を遂行する事務局体制の強化や、スタッフそれぞれの目的意識の向上など、多数の課題が眼前にある。
そこで我々は、現状の課題を明らかにし事務局の成長を当実行委員会の目指すべきビジョンの達成に直結させていきたいと考え、2011年度より利用していた事業評価シートの改定を行うことにした。作成にあたってはアーツ・コンソーシアム大分にご協力いただいた。今後は、このシートを事務局スタッフにとっての「活動の心得」「道しるべ」として機能させ、評価指標として活用していく所存である。