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活動者の声

NARRATIVISUAL:M "M氏の告白:矛盾を純粋培養するアイデンティティの病"

活動期間2018年 6月 23日 ~ 2019年 2月 28日

活動をしてみて

助成活動に関して、名古屋を中心に約180社に問い合わせと、助成のお願いを行った。唯一1社最終の支援段階までこぎつけたが、結果的には拝受することができなかった。
多方面から企画内容に関しては申し分ないとのご意見をいただいたが、助成に至らなかった主な原因は、愛知県出身者で構成されたイベントではなかったことで地域への還元性が乏しい判断された点、経団連や組織を通じた助成活動ではなかった点が大きく上げられた。さらに、2つの事業を統括した企画であることで、助成団体への出資に不透明感が出たことが上げられた。もし次に機会をいただけるのであれば、以上の点を考慮に入れ、よりわかりやすく、出資してくださる方々に、より明快な地域への還元性を示せる様にしたい。

Music Dialogue 室内楽塾 in 東京

活動期間2018年 10月 1日 ~ 2019年 2月 10日

活動をしてみて

今回の塾の受講者は、芸術監督が何らかのかたちで知っていたり、信頼する演奏者からの紹介で集められた実力派の演奏者たち9名。年齢は18歳から30代後半まで、活動地域は東京、札幌、フランス、ソウルと、幅広いバックグラウンドをもっていました。通常であれば出会うことがない演奏家同士が、故園田高弘のスタジオという特別な空間で、朝から晩までみっちりと指導されながら音楽の作り方や深め方を学び、実際にその成果を披露しました。

1日目は初対面の演奏者たちも多く、かなり緊張感がありましたが、2日目以降、演奏者同士が打ち解けるにつれて、音楽づくりの場ももっとオープンな雰囲気に。塾長からはそれぞれについて技術的なこと、時にはかなり根本的なことまで細かく指導され、これまでやってきたことを自分で疑うというような辛い感覚を乗り越えなければいけない人もいました。塾では単に演奏の技術だけでなく、楽譜をどう読み込むのか、人と一緒に弾くとはどういうことなのか、音楽をつくるとは何をどこまでしないといけないのか、というようなことまで含め受講者に考えてもらい、意識を変えて音楽づくりに関わるようになることを目的としています。

演奏者たちは精神的にもアップ・ダウンが激しい3日間のレッスン・リハーサルを乗り越え、最終日の発表会では皆、初日と比べると別人のような演奏を披露してくれました。受講者たち自身にとっても、「こういうプロセスを経たらこんな深い音楽を作れるんだ」という驚きがあったとともに、自信につながったようでした。

受講者からのコメント:
・「こんな風に楽譜を深読みできるなんて初めて体験した、もっともっと一緒に学ぶ機会が欲しいです」(18才の芸大生)
・「北海道からきて、東京の演奏者のレベルの高さに驚きながらもなんとか必死にがんばった。北海道に戻ったら学んだことを室内楽の仲間と共有したい。ものすごい刺激になりました」(30代、札幌在住)
・「ドイツから帰国して何年も経つうちに日本基準に染まってしまっていたことに改めて気づいた。留学中も先生に問題点として指摘されていたことを今回も指摘され、日々の仕事に追われて根本的に解決していなかったと反省。時間をかけてでも、また気持ちを新たに取り組んでいきたいです」(30代、プロオケのエキストラや室内楽の演奏者)

また今回の塾は全てのリハーサルを公開、どんな方でも聴講できるように設定しました。来場された方たちからは「3日間で若い演奏者たちによる音楽がどんどん変化していく様子を見られて大変興味深った」、「技術のことだけでなく考え方や哲学的なところまで踏み込んんだ指導だったことに驚いたが自分にも大変役立った」「企業経営者としてチームワークについて学ぶことが多かった」などのコメントをいただきました。

旧園田邸は登録文化財(吉村順三による建築)に指定されている建築物でもあり、その見学会とリハーサルをセットにしたため、建築やデザインに興味ある方も多く来場され、ついでにリハーサルをのぞいてみた、というパターンも。このようにお客様も様々なバックグラウンドを持つ方たちであり、休憩時間にお互いに話したり、演奏者に直接質問したりという交流も、この塾ならではの濃密な時間だったと思っています。

またこの塾では演奏家やお客様だけでなく、音楽事業に携わる人たち(アーツマネジャー)を育てるということもミッションに掲げています。今回の運営には東京音楽大学の学生2人(大学3年生と大学院2年生)に関わってもらい、塾長・受講者・聴講者・共催団体などとのやりとりや印刷物作成やプログラム解説執筆などを担当してもらいました。プログラム解説執筆についてはプロのライター(MDサポーター)にメンターとしてついてもらい、学生が書いたものを何度も添削してもらいました。

Music Dialogueが開催する「塾」は演奏家のためだけのものではなく、お客様やアーツマネジャー、地域団体、共催団体など、皆にとって学びの場を提供するものとして根付かせていきたいと思っています。

Music Dialogue ディスカバリーシリーズ 2019-20

活動期間2019年 5月 20日 ~ 2020年 3月 28日

活動をしてみて

ディスカバリー・シリーズは演奏家と聴衆の双方に発見や気付きがあるような機会となるように企画をしている。
その中で、若手演奏家には、公演での聴衆との対話の時間(ダイアローグ)で、音楽だけでなく言葉でも自分を表現する機会を提供している。聴衆からの質問に答えることや、自身の音楽についての考え方や自身を取り巻く環境について言葉で発信していくことで、彼らの「音楽家としての意識」に変化が見られている。
それだけでなく、若手演奏家には、演奏会へ向けて団体のFacebookページでメッセージを書いてもらうことにも取り組んでもらっている。ダイアローグで話すことやメッセージを書くことを通して、若手演奏家に言葉での発信の重要性が伝わってきていると感じている。
また、字幕実況付きリハーサルとしてゼロからの音楽づくりの場を公開したことによって、「音楽の知識はないが、大変面白かった」といった意見や「解説がなければ全然分からなかったが、引き込まれて楽しい時間が過ごせた」という意見がアンケートに寄せられた。ここから、今までに音楽や室内楽へ関心を持っていなかった層へもアプローチをし、関心を持ってもらえるような取り組みができているといえる。
ダイアローグについては「芸術的興味をこえて、人材教育にも通じるところがあると感じた」といった声や「演奏家の生の声を聞くことで新しいことを色々と学べた」というような意見もアンケートにあり、音楽のことだけに留まらず色々な面で、お客様にとっての新たな学びの場として機能してきている。
こうした取り組みが認知されてきたことで、リハーサルと演奏会の両方に申し込んでくださる方や再度Music Dialogueの公演に申し込んでくださる方も増えてきている。それだけでなく、Music Dialogueの取り組みや出演アーティストを応援してくださる方も出てきており、演奏家や団体にとって励みになっている。

Music Dialogue 京都シリーズ2019

活動期間2019年 7月 14日 ~ 2020年 2月 15日

活動をしてみて

解説付き公開リハーサルということで、お客様には初めて練習の様子を字幕解説とセットで見ていただいた。「アレグロ」や「ドルチェ」といった、クラシック音楽に馴染みのない人にとっては難解な専門用語について解説がつくことで、「あまり難しさを感じることなく楽しむことができた」というお声をいただいた。
また、作曲家の意図をどう楽譜から読み取っていくのか、それを奏者同士でどうすり合わせていくのか、そしてそれによって音楽がどう出来上がっていくのか、ということを間近で見てもらうことで、本番で出来上がった演奏を聴くだけでは得られない楽しみを感じていただけた。
このようにクラシック音楽への理解を深めたお客様は、今後演奏会に足を運ぶようになる、というように、ステップを踏んだクラシック音楽ファン層の拡大に貢献できているのではないかと感じている。
ダイアローグの時間では、毎回多くの質問をいただき、関心の高さに驚かされた。練習時間や趣味など、簡単なものから、作曲家の特徴や専門的な奏法上のことまで、質問は多岐に渡った。時にはアーティストが普段意識していないようなことまで質問され、議論になることもあった。
今回は、ロマン派を代表する3人の作曲家による3つのピアノ四重奏曲を取り上げた。3回を通じて聞いてもらうことで、作曲家同士の特徴とそれぞれの作曲家のつながりをより感じてもらえる企画となったのではないかと思う。

Music Dialogueディスカバリーシリーズ2020-21

活動期間2020年 5月 12日 ~ 2021年 3月 27日

活動をしてみて

今年度は、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、変わりゆく状況に対し、会場変更や出演者変更など、企画されていたものから多くの軌道修正が必要となった。しかし、座席数の制限や検温の実施をはじめとする感染症対策を講じたうえで、演奏会を実施することができ、演奏活動の機会が激減していた若手音楽家に学びと演奏の機会を提供することができた。
ご来場いただいたお客様からは、「久しぶりに生で聴くことができて良かった」、「これからもコンサートに通いたい」などの声がアンケートに寄せられ、お客様へ演奏を聴く機会を提供することも、意義のあることだと再確認する機会となった。アンケートからは、「リハーサルも見ていたのでとても興味深かったです。本番での完成度の高さに鳥肌が立ちました。」、「公開リハーサルから歌い方が大きく変わって驚くことばかりです」など、演奏だけでなく演奏家の成長も楽しんでくださっている様子も伺えた。
今年度のシリーズでは、大学在学中の演奏家から既にプロとしての活動をしている演奏家など、様々な背景の若手音楽家が出演していたが、大山平一郎との共演を通し、公開リハーサルでは個々が抱える課題の指摘を受け、それと向き合う時間となった。各公演での対話(ダイアローグ)の時間では、お客様から質問に対して自身の考えを話すことで、若手音楽家にとって言葉でも表現することについても学びとなる時間となった。
このコロナ禍において、今年度の活動は、人と一緒に演奏すること、人に同じ空間で聴いていただけることがどんなに特別なことであるかを実感するところとなった。そういった場の提供が継続できたのには、ご来場くださるお客様や、活動を支えるサポーター、ご支援を賜った寄付者の方々のおかげである。

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