新型コロナウイルスの影響が多大でしたが、やはり生の音楽は直接心に響き、いつになく涙を流した方が多かったです。延期した企画は、客席数を減らしてのコンサートでしたが、開催して良かったです。
神戸・六甲山の秋の定番イベントとしての定着が図れてきたと感じています。
(一過性のイベントとしてではなく)毎年、そして長く続けることで、六甲山にアートを根付かせ、毎年、多くの方に足を運んでいただきたい、という所期の目標にも、ある程度近づきつつあるとも感じています。
一方で、この活動を続けていくための資金やマンパワーの不足などの課題もあり、その解決を図りつつ、来場者にも引き続き支持をしていただけるよう、新規取組みへのチャレンジなどを続けていくことが必要であると考えています。
当社単独では解決が難しいことも多いため、ご支援、ご協力をいただいている関係各所の皆様との連携を引き続き維持、強化させていただくことで、今後の継続開催につなげていきたいと考えています。
舞台芸術のプロフェッショナルを対象とした舞台芸術のプラットフォーム「国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2017」を2017年2月11日から19日に開催し、12演目+1展示の主催公演を実施するほか、公募のプログラムとなるTPAMフリンジでは53団体が参加し、横浜や東京にある38の会場にて様々な公演が実施されました。シンポジウムにおいても、「アジアン・ドラマトゥルク・ネットワーク」や「舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)」などの国内外のネットワーク団体との提携によるシンポジウムを実施いたしました。
今年度は816名(うち海外からは41カ国355名)の舞台芸術のプロフェッショナルの参加と141名の主催演目のアーティスト、計952名の方にご参加いただきました。昨年度の参加登録者数716名に対し、今年度は200名以上増加、プロフェッショナルの参加者数の目標であった750名を大きく上回る方々にご来場いただくことができました。特に海外から350名を超える方々がご来場されました。
一般の方にTPAMの存在を知ってもらうために一部の演目を一般にも広く販売したことで、のべ2,202名の一般参加者にご来場いただくことができました。特に、TPAMの主催演目のひとつであるアピチャッポン・ウィーラセタクン『フィーバー・ルーム』は、観客の過半数以上を一般のお客様が占め、今年度はプロフェッショナル以外の多くの方々にもご来場いただくことができました。
一般のお客様にも多くご来場いただいたことで、TPAMの認知度向上はもちろんのこと、横浜にある劇場やスペースの存在や活動が広く認知されることができました。加えて、横浜に訪れる機会を創出し、観光地という横浜とは異なる側面を知っていただく機会とすることができたと考えています。
また、TPAMの参加者から、国外のフェスティバルや劇場のディレクターから招聘の話がでている、あるいは招聘に躊躇していた団体からTPAMでの公演を見て招聘が正式に決定したとの報告をいただいており、今後活動の場を広め、各地の劇場、フェスティバルとの交流を広める団体が出てくるのではないかと思われます。
今回、SOMPOアートファンドのご助成をいただき、公的資金だけではなく、民間の助成を受けることで、TPAMの価値に広がりをもたせることができました。また、先述のアピチャポン・ウィーラセタクン『フィーバー・ルーム』は、実施予定の演目が急遽キャンセルとなり代わりに招聘した作品で、キャンセルとなった演目よりも上演にかかる経費が高くなることが予想されましたが、今回実施可能と判断できたのは、SOMPOアートファンドからの助成のおかげだと思っております。
この数年、廃校や空き家など地域の資源を活用した創造活動拠点の創出に取り組んできたことで、高齢化が加速する地域においては、従来の町内会のしくみが崩壊しつつあり、新たな地域コミュニティのあり方を創出する必要があることが分かってきた。アートが地域に入ることですぐに解決に結びつくわけではないが、我々のような地域に根ざした創造活動が継続していくことで、再生、再編への糸口を見出すことはできるのではないかと考えている。しかし、それには時間や手間暇がかかるということを、<作業場>や<たんす>での取り組みから改めて感じている。
<新・福寿荘>と<たんす>では、今年度は新たなにアーティストを招聘してプロジェクトを立ち上げる年でもあったため、リサーチや準備に期間を費やすことが多かった。しかし、このプロセスにおいて、新たな出会いや発見も多く、そのことがクオリティの高い充実した作品・活動へとつながり、ひいては創造的な地域づくりへつながると考えている。また、始動した2つのプロジェクトとも、地域や住民との関わりを拡げながら、アーティスト自身が新たな表現活動に挑戦できているという点で、先鋭的な作品が創作され、そこから派生する副次的効果(地域社会に対して)が生まれる可能性を感じている。
<作業場>についても、作業の充実化と少しずつではあるが活動の定着化を進めることができたので、今後も、より多くの住民や他領域の組織、施設との連携を図れるよう、常設化に向けて活動を継続していきたい。
活動をしてみて
メセナの支援を受けたことが、社会的に信用を得る一つの契機となりました。思いもかけない方からご支援いただいたり、大変遠方の方から(大阪、愛知など)ご支援いただいたり、これまで疎遠だった方も関心を持ってくださったりしました。「これなら、寄付しやすい」、とおっしゃる方もいらっしゃいました。来年第5回西方音楽祭も、メセナに申請しようと思っております。