本年度は、昨年度および一昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、例年開催していた学校や公共施設でのアウトリーチコンサート、および全国から応募があるアマチュア演奏家クリニックについては中止としました。
一方で、直近2年間において入場制限していたコンサートホールでの公演を、入場制限を解除して開催したところほぼ満席となり、お客さまが「生の演奏」を待ち望んでいたことがよくわかりました。
ただし、前回よりフェローの宿泊施設が余儀なく変更されたことに加えて、今回からセミナー会場の運営母体が変更になったことを主因に経費が増大したことから、コロナ前まで開催していたプレコンサートおよびアフターコンサートは今回も見送りし、本番コンサートのみ実施しております。
前述したとおり、お客さまからは昨年、一昨年と同様に「生の演奏が久しぶりに聞けて本当に良かった。とても素晴らしかったです。癒されました。」との声を多くいただきました。
富山県民に向けた芸術振興の一環として、サントリーホールと連携して当音楽祭を毎年開催していますが、このようなコロナ禍でも中止することなく、継続して多くの県民に音楽の素晴らしさを体感してもらっております。
企業メセナ協議会様のご支援のおかげであり感謝申し上げます。
チェコではコロナ感染症はまだ終息していませんが、社会は普段の生活に戻り、国際音楽祭ヤング・プラハは通常通りに開催されました。聴衆の皆様はようやく戻って来た音楽のある生活を喜び、例年以上に盛り上がった音楽祭だったと思います。
今年は有名な新市庁舎のホールをお貸しいただきました。この建物は新市庁舎といわれても14世紀後半にチェコの国父、カレル4世により建設された由緒のある建物です。5百年を超える天井の高い、木で覆われた素晴らしい音響のホールで、イタリアで修業中の森本隼太さんがピアノでチェコの作曲家ヤナーチェクの楽曲とシューマンのエチュードを演奏して下さいました。
ポーランド大使館ホールはプラハでも指よりの宮殿ホールです。なかなか使えないホールですが歴代のポーランド大使がヤングプラハのサポーターで特別に用意してくださり、日本大使、韓国大使も列席され、外交官の社交の場にもなっています。ポーランドに相応しく“ショパン”のエンブレムがついた特製のベーゼンドルファーが設置されていて、ピアニストはそれを弾けるのが楽しみとなっています。今年は黒沼香恋さんが出演され、ラベルと勿論ショパンを軽やかに演奏されました。
コロブラット宮殿はヤングプラハを毎年支援して下さっているボヘミアの大貴族のコロブラート財団の持ち物です。プラハ最大のオペラ劇場“国民劇場”、モーツアルトがドンジョバンニの初演の指揮を執った“エステート劇場“、も同財団の持ち物で、今日でもチェコのクラシック音楽の大パトロンとして、一族の使命を果たされています。
コリーンはヤングプラハ創設以来、今日までメインスポンサーとしてずっと支えて下さっているトヨタ自動車の工場がある街です。チェコはユダヤ人が活動をしていた国として有名で、シナゴークは彼らの教会です。ロマネスク様式の分厚い石壁の建物でコンサートにはぴったりの教会。
こうして多くのサポーターの皆様が支えて下さり30年を超える音楽祭が成り立っていることを肌で感じ、毎年、心から感謝しております。
本展開催は、まず全ての関係各位のご協力の賜物であります。様々な不手際や広報活動の力不足など、反省点は多々ありますが、それと同時に肯定的あるいは批判的を問わず、本展の目指す方向性に対する認知度が、僅かながらも高まりつつあるという情況の変化を実感する事ともなりました。「’80年代以降の版画、即ち、拡散の飽和の後に出現した多様性を引き受けた上で、「版画なるもの」を新たに発見し直す事は可能か?」*1という問題意識が、活動を遂行する前提として実行委員会に共有されていた思いであります。その上で、実行委員会が目指した方向性は、「版画」の、ある一面を拡大/強調してみせると言うのではなく、現在の版画制作の現場の実態を、「平明に、偏り無く、直裁に」反映する舞台/枠組みの提供でした。実現の為に採用した方法、企画遂行の2本柱が、指名推薦制と広い展示空間の提供です。様々な不備や弊害を内包しつつも、自然発生的且つ自発的な批判/批評を誘発する事が出来る開かれた場として進化する為に、いまだ有効な装置であると認識しております。
*1「1980年代の現代版画が問いかけたもの」国立国際美術館ニュース2016.4 213号
世間では公演開催を躊躇する風潮がありましたが、団員の熱意が高く指導者も呼応して下さったので、万全の対策を講じて実施に踏み切りました。大変エネルギーの凝縮した演奏会を開催でき、いろんな面で収穫を得られたと感じています。これを糧に当団は一歩一歩前進を続けてゆきたいと思っています。
活動をしてみて
2022年2月 予定していた定期公演『卒塔婆小町』『赤い陣羽織』は中止せざるを得なくなったが、 5月に大槻能楽堂(大阪)、6月に金剛能楽堂(京都)で特別公演として開催した。
公演のわずか10日前に中止を決定し、復活公演を望む声が大きくその声に応えるべく実現することが出来た。能楽堂で公演するのは初めての試みであったが、その機構が作品にマッチして効果的であったと思う。お客様もいつもの公演より舞台が近く堪能していただけた。
この種のオペラの新しい方向性を示したと評価を得た。