パイロット企画の公開リハーサルでは、「普段のレッスン」であれば指導が集中するはずの弦楽器奏者への指導が少なく、ピアニストへの指導に熱を帯びる様子にお客様が驚いていた様子で、ピアノは伴奏ではなく「共演者」である、ということを再認識していただくきっかけとなったのではないかと実感した。
本公演では、リハーサルにもご参加いただいた方から「こんなに変わるなんて…!」という感想があり、リハーサルを通じて若手演奏家たちがよりその音楽性を高めた様子をお客様にも感じていただける場となった。
オーディション予選にはMusic Dialogueアーティストにも審査員として参加してもらうことにより、若手演奏家のアーティストにも審査経験を積んでもらう機会となっただけでなく、演奏を聴くことによって自身の演奏を振り返るきっかけや新たな気づきの場となった。
オーディション本選の授章式では、審査委員長を務めた大山平一郎の講評での「音楽演奏とは単に素晴らしい技術を披露するためのものではなく、作曲家が意図したことをくみ取ってそれを最大限に表現(再現)することで聴衆に感動を与えるものです。技術の習得は必須ですが、そこから先の長い道のりが重要なのです」という言葉に参加者が皆、真剣に頷きながら聴いている様子が印象的で、参加者にとって学びを深める機会となった。
残念ながら、奄美文化センターでの恩返し公演は中止、延期となったが、まず朝崎郁恵の生まれ故郷の島である加計呂麻島で、規模は縮小したとはいえ公演をし、また、主要な奄美の協力依頼先候補の方々とお会いすることができ、これからの恩返し公演について説明することもできたので、長い目で見た「恩返しプロジェクト」は順風満帆とは言えないながらゆっくりと滑り出したと言えるだろう。現在は今後の恩返し公演のための準備中である。
小生が参加したのは2日のみであったが、着物ショーを福岡市と企画、学生の卒業休暇も重なり若々しいオープンアートになった。日本とペルーの物理的な位置が丁度スエーデンから等距離になり、伝統的な両国の異文化に対する関心も高まっていたように思われる。
作品に忠実に従った規則的なダンスは出演者各々が抱えている社会に対する疑問や不満を率直にぶつける姿として映り、やがて数を重ねるほどそれは膨大なエネルギーに変わり、自他共にそれを真髄に受け取ることが出来た。
どんな困難な状況でも真っ直ぐに立ち向かう。
そのようなダンサーの芯の強い姿勢は、観ていた同世代からの反響は大きかった。
今回この上演は、芸術文化と社会への意欲的なアプローチを仕掛けていく世代への架け橋となった。
今回が初めての三都市ツアーということもあり、一部を除き移動費や宿泊費はダンサー、スタッフが自費で負担するなど経費削減をしました。
活動をしてみて
今年度は、新型コロナウィルス感染症の影響を受け、変わりゆく状況に対し、会場変更や出演者変更など、企画されていたものから多くの軌道修正が必要となった。しかし、座席数の制限や検温の実施をはじめとする感染症対策を講じたうえで、演奏会を実施することができ、演奏活動の機会が激減していた若手音楽家に学びと演奏の機会を提供することができた。
ご来場いただいたお客様からは、「久しぶりに生で聴くことができて良かった」、「これからもコンサートに通いたい」などの声がアンケートに寄せられ、お客様へ演奏を聴く機会を提供することも、意義のあることだと再確認する機会となった。アンケートからは、「リハーサルも見ていたのでとても興味深かったです。本番での完成度の高さに鳥肌が立ちました。」、「公開リハーサルから歌い方が大きく変わって驚くことばかりです」など、演奏だけでなく演奏家の成長も楽しんでくださっている様子も伺えた。
今年度のシリーズでは、大学在学中の演奏家から既にプロとしての活動をしている演奏家など、様々な背景の若手音楽家が出演していたが、大山平一郎との共演を通し、公開リハーサルでは個々が抱える課題の指摘を受け、それと向き合う時間となった。各公演での対話(ダイアローグ)の時間では、お客様から質問に対して自身の考えを話すことで、若手音楽家にとって言葉でも表現することについても学びとなる時間となった。
このコロナ禍において、今年度の活動は、人と一緒に演奏すること、人に同じ空間で聴いていただけることがどんなに特別なことであるかを実感するところとなった。そういった場の提供が継続できたのには、ご来場くださるお客様や、活動を支えるサポーター、ご支援を賜った寄付者の方々のおかげである。